大学受験|英語

名人の授業


名人の授業シリーズ 宮崎の今すぐ書ける英作文<和文英訳編>



●もっと現実的な本を、と僕は考えた
 毎日、いろんなものを読んでいますね。ケータイのメールを読む。広告を読む。雑誌や新聞を読む。漱石だってたまには読む。
 書く、ということを考えてください。メールの返事を書く。時々作文やレポートを書かされる。これは苦しみますね。あんがい日本語が下手だと思い知らされます。広告のコピーや雑誌・新聞の記事を書くことはありません。これはプロの仕事ですから。漱石のように書こうなど、思いもよらない。「智に働けば角が立つし、情に棹させば流されるし、とかくに人の世は住みにくいものだねえ」なんてメールが友達から(どんな友達だ?)来たら、返事出すの、ためらいますよね。しかし読むということになると漱石だって読んじゃう。これが読む力と書く力の違いです。大変なギャップがあるんです。
 英語でも同じです。皆さんはかなりのものを読めるようになっていると思います。しかしテキストの文は、多かれ少なかれプロフェッショナルなものです。同じように書けるはずはありません。まずは現実的に、メールの返事くらいのものは書けるようになりましょう。そして次は学校の作文やレポートのレベル。しかし読むための技術はそのまま書く技術に応用できません。参考書や過去問の模範答案を見ても、これまた難しい英語です。模範答案を見ていると、それを書いた人に、そりゃあなたは英語の先生だから、全力出して書けばこのくらいは書けるでしょう、しかしあなたが受験生だった頃、これ、書けました? って、僕は聞きたくなります。
 受験生が意味の通ったまともな英語を書くための、そして入試の作文問題で最低6割得点するための、もっと現実的な本が必要だと思って、僕はこの本を作りました。この本の現実主義的なところはplain versionにもっともよく現れています。

●「型」と「発想」
 英語を書く第一歩は「型」です。英語を使う人々は同じ型を毎日使い、中身の語句を入れ替えてさまざまなことを表現しています。[第1部 10 Basic Patterns for Composition(作文のための基本構文10)]で、もっとも使用頻度の高いもの10パターンを自由に操れるようになりましょう。
 日本語で頻繁に使う語句や表現があります。たとえば「もの」という語が今まで(この前書きで)何度出たか、ためしに数えてみたら6回でした。こんな短い文章で。こうしたもの(7回目ですね)を英語でどう表現するかを[第2部 Common Japanese Phrases Put into English(よくある日本語表現、英語では?)]でまとめて覚えてしまいます。
 そしてここからが本番です。入試問題を題材に、英語を書くプロセスを5段階に分けて学習します。全体として「日本語の発想」→「英語の発想」という、思考法の転換が大きなテーマとなります。
第1講 Write Plain English!(易しい英語を書こう)では、易しい英語で言いたいことを言ってしまう、という基本スタンスを学びます。
第2講 The Shorter, The Better.(短いほど良い)では、余分なことを言わないで単刀直入に伝える技術を。
第3講 Organize Your Writing!(書くべきことを整理しよう)では、ごちゃごちゃした日本語を整理して、伝達内容をスッキリさせる。これは難関国立大学の英訳問題で必要になるテクニックです。
第4講 Think and Write Logically!(論理的に考え・書く)ではさらに、非論理的な日本語をわかりやすい英語に直してしまいます。できあがった英語は元の日本語より上等なものになるはずです。
第5講 Is This What You Mean?(これが本当に言いたいこと?)は、自分の書いた英文をチェックする技術です。

 全体を通じて皆さんはまずplain versionの英語を目指してください。読むだけではダメです。気軽に、書きながらやってください。終わったところで、これは結構何でも言えちゃうかな、と思っていただければこの本は成功です。では鉛筆を持って、始めてください!

宮崎 尊

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