大学受験|数学
センター試験対策 基本ツールで完全攻略 【数学II・B】

はじめに
センター試験の勉強の仕方
この本は、センター試験の問題が完全に解けるようになるために書かれた本です。その意味では、本書はセンター試験の過去問の単なる問題集とは、まったく異なる画期的な本であると思います。
その理由は、
(イ) 出題されたセンターの過去問を、時系列的に配列し掲載しているのではなく、作問委員の作問の狙いと出題の意図にしたがい、重要度を考慮して多くの問題の中から対策に必要な問題を精選し、学習の効率化を図ったことです。
実は、数学の有能な指導者の間ではよく知られているのですが、センター試験問題を作問する心構えとして、作問者は問題を作る時には明確な作問の狙いと出題の意図を持っています。一方、受験生はその狙いを知り、その意図を探求するのが、数学の学習の目的です。
高校数学の問題には見える意図と見えない意図がありますが、それを読みとる力こそが数学の問題解決能力であり、それを評価するのがセンター試験であり、さらに各大学の入学試験であるべきでしょう。
そして、作問の狙いと出題の意図となるべき視点こそが、後で述べる4つの視点と12個の力です。本書では、これらの事柄を詳しく述べています。
(ロ) センター問題の難易度は、教科書のレベルより若干高く、また教科書の中で展開されている論理よりも、センター試験問題が必要とする論理性は、より精緻です。さらに、問題の計算に使う式の種類や文字も多く、より多種多様です。
しかし、本書の主張は、教科書のレベルでセンター問題を解くという破天荒の試みをすることです。
(ハ) センター試験は60分以内に4問から5問を解くという苛烈な試験です。時間との競争という大きな壁があり、この困難を乗り越えなければなりません。問題も時間内で解けるか解けないかのギリギリのところで作問されています。
本書では、この時間の壁を破るべく、確実でかつスピーディーな解法を開発しました。
では、次にこれらのことを実際にどのように解決するのか、また、(イ)(ロ)(ハ)について、どのように本書で実現したのかを説明しましょう。
センター試験の当初の目的は、高校の教育目標を達成したか否かを確認することによって、大学の入学試験の合否判定の一助にしたいということでした。その高校の教育目標は、教科書を習熟することであり、教科書の内容を習熟しておけば解けるレベルを設定して、作問したのです。
センター試験が2次試験への道程の途中にあるという前提があるならば、この考え方は間違いではなかったのです。そして、センター試験のための勉強を改めてする必要もほとんどないといえるのです。
しかし、最近の高校の数学教育の現状は、2次試験を目標にするのではなく、このセンター試験が数学の教育目標になってしまったのです。これは、わが国の数学教育にとって誠に悲しむべきことであり、数学の学力低下の一因にもなっています。
そこで、センター試験作問委員の先生方が考えたのは、少なくとも教科書よりレベルの高い問題を出題することによって、たとえセンター試験が教育目標になったとしても、学力低下を少しでも防ごうということです。
この考えは、センター試験の当初の目的にはそぐわないものですが、このような社会の事情を勘案すればやむを得ないことでしょう。したがって、左に述べた(ロ)のことがいえるのです。
本書の目的の1つは、教科書の内容に習熟していれば、センター試験問題が攻略できるということを示すことです。
その方法と手段は次のようなものです。
まず、本書では精選されたセンター試験問題の良問を例題として取り上げました。これが(イ)のことです。
次に、この例題を構成している核と考えられる設問や文章の条件・定理など教科書レベルの小問に分解し、これを
基本ツール
として提示しました。
この提示された小問の形の基本ツールを自力で解いてほしいのです。習熟したことを自分で確認したら、もう1度、例題に戻ります。
ここでくり返しますが、「習熟したことを自分で確認する」とはどういうことでしょうか。これは、
基本ツールに働く固有の力
(4つの視点と12の力)
をきちんと理解し、基本ツールを学んだことは12個の力のどれかが習熟されたことだと確認されることです。この手続きを継続することによって、問題解決能力が高まり確実になるのです。
基本ツールは教科書レベルの内容ですが、そこに働く12個の力が、基本ツールという小問どうしを再融合させる粘着剤となり、もとの例題を形成するのです。
しかも、基本ツールに習熟していることによって、この例題についての題意の読解・分析は申し分のない状況で行われ、個々の小問は解けるのだから例題の設問も完全に解決できるという仕組みになっているのです。
それでも解けない問題に出会ったら、躊躇せずに【例題の解答】を見てください。そのとき、解答から、きっと自分の弱点がわかるはずです。そして、解けなかった箇所は、ただちに完全に理解するようにしましょう。そうでないと、2度目に解く場合にも失敗する恐れがあります。
つまり、人間の弱点はそのままではいつも弱点なのです。したがって、弱点をなくすためには、くり返し解いて習熟してしまうことです。
そして、例題が終わったら、【チャレンジ問題】に挑戦してください。
まず、題意を読解・分析します。それからとるべき行動は、問題を分解して、いくつかの小問といえる基本ツールをつくることです。
このためには、題意の読解・分析する力が必要です。この基本ツールを解いて、解答の流れを誘導していきます。このとき、必要な力が、
「問題の構造を捉える力」
「題意を翻訳する力」
「目標を設定する力」
「遂行力」
の4つの視点です。
そして、自分で作った解答と本書の解答を見比べてください。その際、時間を測って、もう1度解いてみます。その時間が現在の実力です。10分以上かかったら、もう1度解いて、スピードアップを試みてください。(ハ)の対策は実はこれなのです。10〜13分以内に解けることがセンター試験に勝つ秘訣なのです。
では、読者の御健闘を祈っております。
佐藤恒雄