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高速マスターシリーズ


高速マスターシリーズ すらすらできる現代文基本用語700

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 現代文で正解をつかむために大切なものは何でしょうか。傍線部に注目する「解法」にせよ、頻出テーマに関する「背景知識」にせよ、そこでは常に「語彙」が必要になります。「語彙」は、筆者にとっても、出題者にとっても、当然知っているという感覚なのですが、受験生にとっては必ずしもそうでないのが現状です。しかし、言葉の意味を知らなければ、文章を満足に「読むこと」も「解くこと」もできません。そこで、文章を前にして久しぶりに辞書を引く人も少なくないでしょう。ところが、ここに大きな問題が生じています。例えば「主観」と「客観」という言葉を引いてみましょう。

 主観  (1)客観に対する語。語源的には流動する作用・性質・状態を担う自己同一的な実体、基体を意味する。近世以後は意味を逆転し、対象の認識を構成する自我となった。⇔客観。
      (2)自分ひとりの考えや感じ方。
 客観  (1)主観の認識および行動の対象となるもの。
      (2)主観の作用とは独立に存在すると考えられたもの。客体。⇔主観。


 これは辞書を引いたときに陥る典型的な形です。主観の(1)は「自己同一的」、「対象」、「自我」と見慣れない言葉だらけで、その意味をさらに調べる必要があります。また、「主観」の(1)に、「客観に対する語」とあるので、次に「客観」を引くと、「客観」は「主観の認識及び行動の対象となるもの」や「主観の作用とは独立に存在すると考えられたもの」とあり、結局は主観の知識がないと理解できないように書いてあります。これでは「主観」と「客観」の間で堂々巡りになってしまい、何が何だかわかりません。かろうじて理解したことは、「主観」と「客観」が対義語である、ということですが、それくらいであれば辞書を引かなくても気がつく人が大半でしょう。
 
 これらの言葉が現代文の本文や設問において、ほとんど出ないのであれば、受験勉強は効率との戦いでもあるので、そのままにすることも可能です。しかし、それらは筆者や入試問題の出題者にとって、非常に身近な言葉なのです。もっと言えば、文章はこれらの言葉なくしては成立しません。そこで、この本では「受験生にとって必要な基本用語」を「受験生ができるだけ理解しやすい内容」で説明していきます。また、第二章、第四章、第五章では、それらの用語が実際の現代文や小論文の中でどのように扱われているのかを設問形式でチェックしていきます。問題集としてはもちろんのこと、国語辞書に代わる「現代文基本用語集」として常に手元において活用してください。

二〇〇六年七月 大槻 岳

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