大学受験|世界史

名人の授業


名人の授業シリーズ 荒巻の新世界史の見取り図 下

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「努力」と「工夫」


 『荒巻の新世界史の見取り図』最終巻は,19世紀末から現代までのおよそ100年間の歴史についてのお話です。
 ぼくは,大学入試で世界史を選択しませんでした。高校でも学習することはありませんでした(理由は割愛)。そのために,大学で政治学や経済学を学んだときには,何が何だかちんぷんかんぷんでした。結局,何も身につかない無駄な時間を過ごしたことを覚えています。
 今の仕事を始めると,否が応でも世界史を誰にも習わず自転車操業で黙々と勉強しなければなりませんでした。そのときに,「あぁ,今,政治学とか経済学とかやればすごく理解できるだろうなぁ」という実感を持ったことを覚えています。
 ぼくの学力は大学入試で9割程度を確実に取れるくらいしかありません。別に控えめでも何でもなく,冷静な自己分析です。でも,いろんな学問の扉を叩ける程度の知識は身についています。何ら専門分野を持ち合わせていないけれど,ぼくがいろんなことをいろんな角度から眺める力が身についている(と思っている)のは,世界史をしっかりと勉強したからです。
 人生の半分を世界史の勉強に費やせば,誰だってそうなれるでしょうね。だから,ぼくが高校生のときに今のぼくに教わっていたとすれば,もっと学問の扉の前に立つまでの時間が短縮できただろうという反省が,この本を書こうと思った動機です。
 『下巻』の内容に関する書物は星の数ほど刊行されています。本書を通じて最低限の基礎知識をしっかりと身につけてから,自分の興味ある分野を掘り下げてみてくださいね。

 最後に。参考までに『下巻』の読み方をお話しておきましょう。冒頭から終わりまで読んでいくというのが普通の読み方になるでしょう。もちろん,それで構いません。1度しか読まない人もいるだろうから,章立ては無難に構成しました。でも,受験に向けて本書に書かれていることを「覚え」なければならない人は,(1度で頭に入る人は別ですが)反復して読む必要があるでしょう。2周目に読む際は,意識的に読み進める順番を変えてみてください。例えば,すべての章を地域ごとに切り取りながら読んでいくという方法があります。【帝国主義の章】の中で,中国の部分だけ,中東イスラームの部分だけ,と読んでみるやり方です。
 どんな読み方でも構わないのです。自分の気に入った章から読んでも構いません。とりわけ,第二次世界大戦以後の世界は,欧米よりもアジア・アフリカの動きをつかんでおくことの方が,歴史の全体像がつかみやすいと思います。
 世界史は,どのような学習をしようと,1度だけで全体像はつかめません。よく「ヨコがつながらない」とか「ストーリーが見えてこない」と愚痴をこぼす人がいるけれど,そういう人ほど効率を求めて楽をしようとしていませんか?
 本書に記されていることを年号だけでもしっかりと覚えようとすると,必ずストーリーを頭に入れなければならないことに気づくはずです。意味なく年号と事項だけを頭に入れようとする丸暗記型学習だけにはならないように(試験では丸暗記しなければならないことが多いため,丸暗記だけでは頭の記憶容量がパンクしてしまいます)。なお,『上巻』や『中巻』を持っている方は,そちらに立ち返ってみてください。ページ左右に記してある参照インデックスも活用するといいでしょう。
 では,始めていきましょう。

荒巻 豊志

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