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Coreシリーズ 英文法の核【問題演習編】

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【1】共感できる文法ルールの解説
 『英文法の核』本編は「文法の核」の理解を、本書は実戦力強化を目標として作っていますが、まずは文法とは理解可能なものであるということを強調しておきたいと思います。文法とは、世界認識の仕方が身体化され概念化される共通項をルール化することによって、意思疎通をしやすくするものだからです。文法的制約があるから、言語の意味が限定され意思の疎通が容易になるのです。
 また、そもそもルールに対する共感がなければルール化されることはありえません。共感できなくても覚えろ、というルールだと広く共有されることもないでしょう。もちろん英語話者と日本人との感覚が同じなわけではないので、覚えるだけという部分もありますが、文法ルールはやみくもに暗記しなければならないものではなく、基本的には理解可能なものだということを前提にしています。

【2】大学入試の変化への対応と文法問題の有効性
 今後、大学入試における英語の試験問題は、従来の1技能ないし2技能のみを評価する方式から、4技能をまんべんなく評価する方式に変わっていきます。文法事項の知識を単純に問う文法問題は減少していくでしょう。しかし、文法学習の目的は文法問題を解くことにあるのではありません。目的は英語を使いこなすための土台を作ることであり、それを利用して4技能を発展させることです。

 本来は文法事項を習った後には、それを使って英文を作る作業、それを使って英文を正確に読む作業に入るべきです。しかし、知ったことをいきなり英作文などに利用するというのは飛躍があります。まずはその前の確認作業として、文法問題を解いておくべきなのです。4択問題は、学習者が英語を書く際に誤りやすいものがあげられています。それを正確に選べるようになることで、英語表現力を発展させることになります。ですから、入試での出題頻度が減っていくとはいえ、文法問題を解くことは有効なのです。

【3】英語を使うための文法問題
 ところが、いざ文法を演習しようとすると、文法問題解法を目的とした問題集しか目につきません。受験生も、設問に正解できれば文法は大丈夫と思い込みがちです。しかし、先にも述べたように文法問題を解くだけではなんの英語力もつかないのです。ですから、現在ある多くの「大学入試のための文法問題集」は、残念ながら英語学習にとって効果的とはいえません。それらは、問題と解答、それに問題を解くための断片的知識を加えているだけのものだからです。
 たとえば、ある有名な問題集では「if _ not ~とunless ~が選択肢にあればif _ not ~を選びましょう。unless は限定性が高いからです。」とかいうように解説(?)していますが、これではunless を使えるようにならないだろうということはあきらかです(⇒ 10 章)。
 こういう勉強をしていると、問題を解くためのパターン認識はできても、それぞれの説明のつながりはわからないので、各単元の全体像はつかめません。しかも、英語の運用に不可欠な「文法の核」の部分そのものは文法問題として出題されないことが多いので、問題を解くだけでは「核」を理解しないままに周辺知識を増やすだけになりかねません。それでは、せっかく文法の問題に正解できるようになっても英語を使えるようにはならないでしょう。このような「文法問題を解くこと」だけを目標とする問題集では、配点の少ない文法問題の得点獲得以外の成果は望めないのです。

 そこで、本書では『英文法の核』で「説明を読み文法ルールを一通り理解した」ということを前提に、その知識を運用できるかどうかという観点で入試問題にあたってもらいます。おそらくは、理解したと思っていてもうまく活用できない部分があるでしょう。しかし、すべての問題を本編の解説とリンク付けることで本編の理解を確認、体得し、きちんと理解していれば問題に対処できるのだということが実感できるようになります。『英文法の核』でしっかり文法の核を理解し、本書でその理解を確認し、4技能の土台となる使える文法を体得していきましょう。

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