大学受験|日本史

一問一答

高速マスターシリーズ


日本史史料一問一答【完全版】2nd edition

message.gif

 私の中には,このような考えがあります。
 「史料問題は,ワンパターンなものが多く非常に勉強しやすい」。
 一方,受験生の多くはこのような思いを抱いています。
 「史料問題は勉強がしづらくて得点が取りにくい」。
 一体,このギャップはどこから生まれるのでしょうか。

 おそらくそれは,多くの受験生が「史料問題の出題パターンを知らない」ところからくるものです。私は職業柄,全国主要大学で出題された30年分以上の入試問題をすべてデータ化しています。東大・京大・早慶などについては過去40年以上の入試問題を解いています。それだけ何度も入試問題を解いていると,「あ~,またこの問題か」と,史料問題のほとんどがパターン化されて見えてくるのです。しかし,多くの受験生に「過去30年分の入試問題をすべて解いて,出題パターンを見抜きなさい」とは言えません。それはあまりにも膨大すぎて,1年や2年でできることではありませんし,受験生は私のように日本史の問題さえ解いていればいいわけではないからです。
 そこで,受験生のみなさんのために,本書を完成させました。史料問題の選別にあたっては,私のオフィスにあるデータベースにもとづいて,主観や私情を一切挟まず,客観的・統計的に史料の出題頻度を明確にしました。そして,出題パターンを踏まえた解説と,詳細な通釈(現代語訳)をすべての史料に施し,入試対策のみならず,普段の授業・学習の際にも絶えず手元に置いて史料にあたることができる内容にしました。これによって,私が今まで数十年かけて築き上げてきた成果を,みなさんは極めて短時間でマスターできることと思います。

 歴史は史料によって作られています。どういうことかというと,実は,教科書に記されているほとんどの内容が,歴史書や手紙・命令といった当時の「史料」をもとにできているのです。つまり,史料とは,加工される前の「ナマ」の歴史であると言えます。そこには,創作でない,歴史上の人物の足取りや決断が,また場合によっては息づかいまでもが聞こえてきます。それらを読み解くことで、無味乾燥ではない本当の歴史のダイナミズムが見えてくるのです。本書はそのような歴史のダイナミズムを味わうための入門書的な役割も果たしてほしいという思いで執筆しました。本書を学ぶことによって,入試対策にとどまらず,我が国の歴史を深く知る面白さも感じていただければ,著者としてこれ以上の喜びはありません。

金谷 俊一郎

閉じる