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日本史A
全体概観

大問構成に変化なし。幕末を重視。 


大問数 減少 | 変化なし | 増加 
設問数 減少 | 変化なし | 増加 
マーク数 減少 | 変化なし | 増加 
難易度 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 

ペリー来航以前の問題が、昨年同様に第1問・第2問を中心に1割程度出題された。また、幕末の出題も多く、明治時代以前が手薄になっている受験生にとっては解きづらい問題であっただろう。明治時代以降については、第4問・第5問が日本史Bとの共通問題であったが、いずれも、今年度の日本史Bの問題の中でもっとも難しい2問であったため、日本史A選択者には厳しい問題であった。ただ、基本用語の暗記をしっかりおこなっていれば解ける問題も多く、昨年度の難易度を大きく上回っているとはいえず、やや難化したと考えられる。

【出題フレーム】


 

大問

出題範囲

問数

マーク数

配点

2007

第1問

地形図の変化

3

3

6

第2問

江戸後期から明治維新

8

8

23

第3問

近現代の政治・経済・社会

8

8

22

第4問

近代の政治

4

4

12

第5問

近現代の社会

8

8

23

第6問

近現代の娯楽と政治

5

5

14

2006

第1問

古代から近代までの信仰・宗教

3

3

6

第2問

近世・近代の対外関係・学問

8

8

23

第3問

近現代の児童教育

8

8

22

第4問

近代の東京

4

4

12

第5問

近現代の対外関係

8

8

23

第6問

近現代の外交・経済・社会

5

5

14

2005

第1問

古代から近世までの貨幣・流通

12

12

33

第2問

近代の政治と外交

8

8

21

第3問

近現代の政治と経済

4

4

11

第4問

近現代の領土と人口

8

8

24

第5問

近現代の女性

4

4

11

2004

第1問

原始・古代〜近世の交通・交易

12

12

33

第2問

近現代の技術発展と社会

8

8

21

第3問

近現代の社会と文化

4

4

11

第4問

近現代の対外関係

8

8

24

第5問

近現代の戦争・事変とその影響

4

4

11



過去17年間の平均点
2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998
57.55点 54.77点 45.23点 42.88点 43.14点 46.46点 43.90点 47.85点 47.26点
1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 1990 ?
48.62点 59.99点 57.37点 70.08点 73.37点 63.97点 66.22点 73.93点 ?

設問別分析
【第1問】 日本史Aの主題学習
日本史A特有の主題学習に関する問題。ただ、設問そのものは、標準的な内容の問題。ただし、問1・問2にあるペリー来航以前の内容については、多くの日本史Aの教科書に収録されていない内容が中心となっているため、得点しづらいと感じた受験生も多かったであろう。


【第2問】 江戸時代後期から明治維新にかけての対外交流
問題文には「江戸時代後期から明治維新にかけて」と記されているが、実際は、ペリー来航以前と幕末の問題が中心となっており、日本史A選択者にとっては手強い問題が並んだ。ペリー来航以前を扱った問1・問2・問3とも日本史Bでも通用するレベルの問題であったため、日本史Aだけを学習している受験生にとっては厳しい問題であった。なかでも問3の年代順整序は時代の幅が狭く、若干難問。このような問題は時代の流れをしっかりつかんでいるかどうかで大きな差がつく。また、ペリー来航以降も問5・問7・問8と若干難しい問題が並んだ。特に問8は消去法を用いなければ正解に至るのは難しい。


【第3問】 近現代の政治・経済・社会
A・Cでは標準的な問題が並んだ。概ね基本的な用語の知識を要求する問題で、解答しやすいものが多かった。Bのグラフを用いた問題では、問4・問5にセンター試験には珍しく、年号の暗記を前提とした問題が出題されたため、難問といえる。また、問8では1990年代まで出題された。

【第4問】 近代の政治
近代の政治に関する問題。日本史Aの受験者にとっては難しい問題であった。問1・問2は基本問題であったが、用語の暗記を問う私大的な問題。問3もセンター試験にしては非常に些末な知識を問う問題で、問4の年代順整序にあるIの事項は半数以上の教科書に収録されておらず難問といえる。

【第5問】 近現代の社会
近現代の国民生活と社会を中心とした、非常にセンター試験らしい問題。問1・問3・問5・問6・問7など、社会・生活史にまで手が回っていない受験生にとっては、難問揃いの印象を受けたかもしれないが、実際は非常に標準的な問題で、過去問対策をしっかりおこなった受験生にとっては容易に得点できた問題ばかりである。問2が難問といえる。

【第6問】 近現代の娯楽と政治
前年の漫画に続いて、娯楽に関する問題が出題された。第5問でも示したように国民生活と社会は、センター日本史頻出の分野であるため、手遅れにならないようにして欲しい。ただ今年度は純粋に娯楽を扱った問題は出題されておらず、政治に関する問題が中心となっている。問題自体は標準的な問題が揃っており、問5の正誤の組み合わせ問題も、2つの文の正誤を判定する問題になっており、解きやすくなっている。ただし、Xの文の内容は難。

新高3生へのアドバイス
日本史Aは決して「日本史Bの簡易版」ではありません。世界史的な視野に立ち、わが国を取り巻く国際環境などと関連づけながら、過去の日本を考察していく、これこそが日本史Aの主題といえます。そのため、近代日本の形成と国際関係、満州事変からはじまる十五年戦争の功罪、戦後の復興と高度経済成長、現代の生活のルーツとなる生活史など、現代と密接にかかわってくる分野については、それこそ、日本史B受験者と同様の学習をおこなっていく必要があります。以上の学習を効果的におこなっていくためには、歴史というものを理解して学習するという態度が必要です。歴史的展開(いわゆる「流れ」)を把握し、その流れの中で、歴史事項を定着させていくことこそが、日本史Aの本来の姿ですし、センター試験で高得点を取る最短距離でもあります。授業などをペースメーカーにして、歴史的展開を把握しながら、基本用語とその時期を理解しながら定着させていく学習を心がけてください。「いつ」「どこで」「だれが」「何を」「なぜ」「どうした」という5W1Hを常に念頭におきながら,大きな視点で歴史を全体的に考察する力を養うこと。また、過去問を解いて、正誤判定問題や図版やグラフの読み取りの問題を十分にトレーニングしておくことも必要です。毎年、共通問題で日本史B選択者も手こずるような問題が出題されますが、以上のような学習をおこなっていれば、十分に高得点は可能になります。
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