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日本史B
全体概観

大問構成には変化なし。戦後史大幅増。 


大問数 減少 | 変化なし | 増加 
設問数 減少 | 変化なし | 増加 
マーク数 減少 | 変化なし | 増加 
難易度 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 

誤文判定問題が短文化したことや、正解が見えやすい問題が増加したため、解きやすい印象をもった受験生が多かったであろう。第1問のテーマ史・第2問の古代史が易化した。また、第3問の中世史、第4問の近世史は、例年並みではあるが、歴史用語の理解とその時期を総合的に問う問題であった。第5問はやや易化、第6問の近現代史はセンター試験で頻出する庶民の社会生活に関する分野であったため、過去問対策を行ったか否かで大きく差がついたことであろう。全体としては、易化したと考えられる。

【出題フレーム】


 

大問

出題範囲

問数

マーク数

配点

2007

第1問

歴史的文化財

6

6

12

第2問

古代の外交と政治

6

6

18

第3問

中世の政治や宗教

6

6

18

第4問

近世の人物

6

6

17

第5問

近代の政治

4

4

12

第6問

近現代の社会

8

8

23

2006

第1問

海外と日本の交渉

6

6

12

第2問

古代の土木・建築

6

6

18

第3問

中世の文物交流

6

6

18

第4問

近世の社会・経済

6

6

17

第5問

近代の東京

4

4

12

第6問

近現代の対外関係

8

8

23

2005

第1問

集落や都市の歴史

6

6

17

第2問

古代の歴史書と歴史研究

6

6

17

第3問

中世の社会と文化

6

6

17

第4問

近世の政治・社会・文化

6

6

17

第5問

近代の政治と外交

8

8

21

第6問

近現代の政治と経済

4

4

11

2004

第1問

学問・教育の歴史

6

6

17

第2問

古代の政治と文化

6

6

17

第3問

中世の総合問題

6

6

17

第4問

近世の外交と地域史(蝦夷地)

6

6

17

第5問

近現代の技術発展と社会

8

8

21

第6問

近現代の社会と文化

4

4

11



過去17年間の平均点
2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998
54.66点 59.27点 56.52点 63.93点 58.71点 55.26点 61.74点 58.98点 62.18点
1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 1990  
55.85点 59.99点 57.37点 70.08点 73.37点 63.97点 66.22点 73.93点  

設問別分析
【第1問】 歴史を考える手がかりとしての文化財
最初にいきなり、韓国の仏像が登場して、一見難問であるかのように見えるが、実際は、基本的な知識を問う問題が揃った。誤文選択の問題も、問題文が短文化し、誤答が明白なものが多く、年代順整序も、飛鳥時代か奈良時代かといった程度の識別で解けるものばかりであった。また、写真を使用した問題も、何時代のものであるかがわかれば解ける基本的なものであった。問6は受験生の意識に無かった出題であろうが,普段からニュースや社会に関心を持っていれば容易に解ける。それ以外は比較的高い正答率であったであろう。

【第2問】 古代の外交と政治
古代の外交を中心とした問題で、「世界の中の日本」を重点学習課題とする新課程の入試問題らしい問題であった。問題自体は基本的なものが揃ったが、問3・問4・問6など外交史まで手が回っていない受験生にとっては得点のしづらい問題であった。高得点の受験生とそうでない受験生の差が明確になった問題であると予想されるが、例年のセンター試験の問題に比べると易化している。

【第3問】 中世の政治や宗教
鎌倉時代の政治と、センター試験頻出の中世の仏教史を中心とした問題。鎌倉時代の政治史の問題は、私立大学の基本問題のような問題であったため、比較的取り組みやすかったであろう。中世の仏教史の問題はセンター試験では頻繁に出題されているので、過去問対策をしっかりおこなった受験生にとっては、ほぼ同様の問題が出題され、得点しやすかったであろう。ただ、中世の仏教史の問題は過去問対策をあまりおこなっていない受験生にとっては、手強い問題であったため、得点差はついたであろう。問5・問6が若干難問であった。

【第4問】 近世の人物
近世の人物に関する問題で、人物に焦点を絞ったせいか、一問一答的な事項の暗記で太刀打ちできる問題が多く、若干従来のセンター試験らしからぬ出題であるといえる。問3や問4のように、半数以上の教科書に収録されていない用語を説明無しで使用している問題が目立った。私立大学文系を第一志望にしている受験生にとっては、非常に解きやすい問題であったが、センターのみで日本史を必要とする受験生にとっては、手強い問題であった。問6が若干難問であった。

【第5問】 近代の政治
近代の政治に関する問題。昨年と比較すると,やや易化した。問1・問2は基本問題であったが、用語の暗記を問う私大的な問題。問3は三大事件の内容を把握していれば消去法で正解を導くことができる。問4の年代順整序にあるTの事項は半数以上の教科書に収録されておらず難問といえる。

【第6問】 近現代の社会
近現代の国民生活と社会を中心とした、非常にセンター試験らしい問題。問1・問3・問5・問6・問7など、社会・生活史にまで手が回っていない受験生にとっては、難問揃いの印象を受けたかもしれないが、実際は非常に標準的な問題で、過去問対策をしっかりおこなった受験生にとっては容易に得点できた問題ばかりである。戦後史については、およそ1960年代までの出題となっており、これも例年通りである。問2が難問といえる。問4はグラフの読み取りさえできれば、日本史の知識をほとんど要求しない問題であった。
新高3生へのアドバイス
新課程2年目を迎えて、センター試験の日本史の傾向がひとまず定着したといえます。それは、基本用語の定着と時期別の特徴を把握していくということです。年号や難解な歴史用語をひたすら丸暗記するのではない、歴史というものを理解して学習するという態度です。理解して学習するためには、もちろん基本用語の暗記はある程度は仕方ありません。しかし、学習の根本は暗記にあるのではなく、歴史を理解することです。歴史を理解するためには、歴史的展開(いわゆる「流れ」)を把握し、その流れの中で、基本用語を暗記していくことが必要です。そういった日本史本来の学習を行えば、高得点が取れるようにセンター試験の問題は作られています。また、年代に関しても年号を暗記するのではなく、「どの時期にはどのようなものがあったか」が識別できればセンター試験は多くの問題が正解できます。更に、センター試験では、多くの頻出分野があります。「世界の中の日本」についての把握や、日本人の精神の根本ともいえる仏教についての歴史、また、支配者の歴史ではない大衆の立場の生活・社会史。太平洋戦争へ至る経緯と結果、そして、現在の日本経済のベースとなる高度経済成長とその終焉など、センター試験で頻出する分野には多くの受験生が後回しになっている分野が多いのです。センター試験の日本史は決して難しいものではありませんが、独りよがりの学習ではどうしても、用語や年号の丸暗記に陥りやすく、また、センター頻出の分野がどうしても後回しになる傾向があります。そこで、授業などをペースメーカーにして、歴史的展開を把握しながら、基本用語とその時期を理解しながら定着させていく学習を心がけてください。また、「センタープレ入試」を毎回活用して、「自分に今何が足りないか」を定期的に認識しながら、足りない部分を補っていく学習をおこなうと効果的です。再度言いますが,センター試験の日本史は決して難しくありません。「丸暗記」というアプローチをとっているから、難しく感じてしまいます。「いつ」「どこで」「だれが」「何を」「どうした」という5W1Hを常に意識し,歴史用語を時代の中で立体的・有機的にとらえる鍛錬を反復しておこなうことが大切です。残された時間で正しい学習をおこなっていけば高得点が取れる、それがセンター試験の日本史です。
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