政治・経済
国際化・高齢化の視点から政治経済全体を問う基本的問題。
大問数 |
減少 | 変化なし | 増加 |
設問数 |
減少 | 変化なし | 増加 |
マーク数 |
減少 | 変化なし | 増加 |
難易度 |
易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 |
形式面は昨年度を踏襲した。近年、第1問に配点22点の政治経済分野全体にわたる融合問題、第2問〜7問には配点各13点の問題という構成になっていたが、昨年からは第1問に配点24点の政治経済分野全体にわたる融合問題、第2問〜第5問に配点各19点の問題という構成へと大きく変化し、今年も同じ配点であった。なお、図表・グラフを絡めた出題は昨年の5問から4問となったが、価格機構におけるD・S曲線のシフトに関するグラフ問題が1問出題された。昨年と同様大問の配点が大きい分、各大問の中で問われる小問は幅広く分野を超えた総合問題形式となっている。しかし、空欄数は昨年と同じ38であることから、受験生の負担は例年どおりと言える。
問題内容では、人権の国際化や情報の国際化によるメディア=リテラシーの必要性、安定成長を遂げるインドの工業生産指数、1980年代以降の行政改革と審議会、少子・高齢化対策、団塊の世代の定年退職者の就業の機会、バブルとバブル崩壊の原因、小泉内閣が掲げた三位一体の改革の内容など、近年の時事的話題を反映した事項が多く含まれている。だが、出題されている設問の多くは基本事項であり、制度・メカニズムなどの理解度を確かめる理論問題なので、その延長線上に最新の時事問題を意識して勉強しておけば得点できたであろう。
【出題フレーム】
|
大問 |
出題範囲 |
問数 |
マーク数 |
配点 |
2007 |
第1問 |
人権・情報・経済の国際化 |
10 |
10 |
24 |
第2問 |
世界の民主主義と日本の政治制度 |
7 |
7 |
19 |
第3問 |
地方政治と最近の政治課題 |
7 |
7 |
19 |
第4問 |
世界経済の動向と高齢社会 |
7 |
7 |
19 |
第5問 |
日本の経済動向とバブル崩壊 |
7 |
7 |
19 |
2006 |
第1問 |
政治経済の諸問題 |
10 |
10 |
24 |
第2問 |
各国と日本の政治制度 |
7 |
7 |
19 |
第3問 |
国際関係と日本の政治 |
7 |
7 |
19 |
第4問 |
企業・消費者問題と国際経済 |
7 |
7 |
19 |
第5問 |
財政と社会保障 |
7 |
7 |
19 |
2005 |
第1問 |
人権の尊重と手続保障 |
8 |
8 |
22 |
第2問 |
憲法の基本原理 |
5 |
5 |
13 |
第3問 |
地方自治と地方分権 |
5 |
5 |
13 |
第4問 |
行政の情報化とプライバシー保護 |
5 |
5 |
13 |
第5問 |
市場メカニズムと景気・雇用 |
5 |
5 |
13 |
第6問 |
日本経済と金融政策 |
5 |
5 |
13 |
第7問 |
国際経済と経済統合 |
5 |
5 |
13 |
2004 |
第1問 |
各国の政治制度 |
8 |
8 |
22 |
第2問 |
基本的人権の種類、新しい人権 |
5 |
5 |
13 |
第3問 |
労働問題と裁判制度 |
5 |
5 |
13 |
第4問 |
国際政治 |
5 |
5 |
13 |
第5問 |
国際収支、財政、金融 |
5 |
5 |
13 |
第6問 |
国民所得と景気、財政収支 |
5 |
5 |
13 |
第7問 |
情報化と金融 |
5 |
5 |
13 |
過去17年間の平均点
2006 |
2005 |
2004 |
2003 |
2002 |
2001 |
2000 |
1999 |
1998 |
61.05点 |
64.55点 |
61.49点 |
62.95点 |
52.45点 |
54.11点 |
58.30点 |
56.83点 |
71.10点 |
1997 |
1996 |
1995 |
1994 |
1993 |
1992 |
1991 |
1990 |
? |
63.32点 |
64.92点 |
67.03点 |
62.75点 |
62.34点 |
60.88点 |
63.31点 |
71.88点 |
? |
【第1問】人権・情報・経済の国際化
人権の国際化を進める条約、情報の国際化で生じるサイバーテロやデジタルデバイド(情報格差)、発展途上国の経済成長政策、GATT・WTOの交渉内容、地域紛争や人種問題、国際刑事裁判所(ICC)の役割など国際的に注目されている問題を問う。今年は国際的視野から政治・経済・安全保障・情報を分析する総合問題であった。
【第2問】世界の民主主義と日本の政治制度
わが国の国民主権の表れ、統治機構、わが国の個々の司法制度の目的、市民革命の歴史、アジア民主化の動向、外国人の人権を問う基本的な問題。
【第3問】地方政治と最近の政治課題
地方政治の機能、国家財政再建のための行政改革、21世紀の社会問題としての少子高齢化・若年者の失業対策など、最近の政治上の基本的な課題を幅広く出題。
【第4問】世界経済の動向と高齢社会
ASEAN・アメリカ・日本の経常収支の統計、企業の海外進出のメリット、通貨危機の被害国、インドネシア・タイ・ドイツの貿易品目の構成、高齢者福祉を進める制度や成年後見制度、高齢者の雇用促進など、経済の諸問題を国際化・高齢化の視点から問う。
【第5問】日本の経済動向とバブル崩壊
わが国の経済動向として、過去の景気の特徴、為替レートとGDP成長率・民間設備投資伸び率・物価上昇率の関係をグラフから読み取らせる出題、価格メカニズムについて間接税(消費税)などを課税した後の変化を問うD・S曲線が出題された。バブル崩壊の原因や小泉内閣以来進められている三位一体の改革の内容も問われた。
センター試験の「政治経済」は、時事問題を各大問に織り交ぜながら、そこに至るまでの基本的事項を問うパターンになっています。あくまで基本的な制度・しくみ・理論メカニズムの理解が出題の大半ですから、定義・理由付け・問題点・解決策(対策)を正確に押さえておきましょう。「現代社会」よりも学習範囲が狭いぶん、やや細かい点も出題されますので、じっくりと勉強しておきたいところです。そうした学習におけるポイントをつかむ上でも、2月の段階からセンター試験本番のレベルで出題される東進のセンタープレ入試を受験することをお勧めします。
高得点のカギは時事問題の克服です。日頃から話題となっている時事的な出来事の問題点や改革の内容・目的をおさえていきましょう。時事問題に興味と関心をもって新しい情報をキャッチしていけば出題されやすいポイントが明らかとなり高得点が狙えるでしょう。たとえば、少子・高齢化の問題点と対策,財政赤字と財政再建のための小さな政府論,環境問題では、何が原因で,どのように解決しようとしているのか、地方で住民投票条例が制定されていればその意義と目的、市町村合併が促進されていれば同様にその意義と目的、経済動向であればそれを示すデータ(経済成長率、物価指数、国債依存度、国債残高、公定歩合、完全失業率、有効求人倍率など)に注目しておくとよいでしょう。その際,国際化の観点も忘れないでください。国際社会の中で日本はどうすべきか,あるいは,外国との比較(統計データなど)に注意するとよいでしょう。
単純な暗記では確実な得点を望めない「政治経済」だからこそ、2か月に1回実施されるセンタープレ入試を一つの目標とし、計画的に学習を進めるよう心がけましょう。
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