大学入試センター試験解答速報2008
生物I
全体概観

大問数は昨年、小問数ともに昨年並み。全体的に標準的な問題が多く、難易度は昨年度並み。 


大問数 減少 | 変化なし | 増加 
設問数 減少 | 変化なし | 増加 
マーク数 減少 | 変化なし | 増加 
難易度 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 

大問数は昨年度と同様5、マーク数は昨年度より2問多い32問であった。実験考察問題の量や図・グラフなどの量も昨年度とほぼ同量であったため、全体として難易度は昨年度並みといえる。ただし、馴染みのある内容のものが多かったため、教科書とセンター試験の過去問を中心に学習し、基礎力をしっかりと身に付け、標準的な問題への対策をしっかりと行った受験生であれば、取り組みやすいと感じるだろう。しかし、受験生のリサーチ結果から判断すると、平均点は昨年度よりも低下することが予想される。

【出題フレーム】

 

大問

出題分野

設問数

マーク数

配点

2008

第1問

細胞

4

8

20

第2問

生殖と発生

6

6

20

第3問

遺伝

5

6

20

第4問

動物の脳と効果器、体液の循環

6

6

20

第5問

植物の成長と環境要因

6

6

20

2007

第1問

細胞

6

7

20

第2問

ウニ・カエルの発生・植物の生殖

6

6

20

第3問

複対立遺伝子・胚乳形質の遺伝

6

7

20

第4問

神経と動物の反応

5

5

20

第5問

植物ホルモン

5

5

20

2006

第1問

細胞と組織

5

6

20

第2問

動物の生殖と発生

5

5

20

第3問

遺伝総合

5

5

20

第4問

神経細胞と動物の行動

6

6

20

第5問

環境条件の変化に対する植物の反応

4

5

20

 

2005

第1問

植物の根の成長

5

6

17

第2問

代謝

6

7

17

第3問

カエルの卵割

5

5

16

第4問

花の形質の遺伝

3

5

16

第5問

動物の神経と行動

5

5

17

第6問

島に生息する生物の種数

4

8

17


過去2年間の平均点
2007 2006
67.04点 69.60点

設問別分析
【第1問】細胞・組織(細胞小器官・膜の性質)→昨年並み
Aは、細胞小器官に関する基本的知識を確認する問題である。紛らわしい選択肢もなく、確実に得点できるが、問題文を最後まで読まないとケアレスミスの恐れもあるだろう。Bは、酵素の働きと細胞膜の透過性に関する問題である。いずれの問題も正しい知識を身につけていれば解答できるが、問4の選択肢はやや紛らわしく、選択肢の内容をよく読んで解答することが必要であったと思われる。

【第2問】生殖と発生(花粉管の伸長・ホヤの発生)→昨年並み
Aは花粉管の伸長と植物の受精に関する問題である。実験1の解釈には、浸透圧と細胞の体積、膨圧に関する理解が必要である。他の設問は基本的な知識を確認する問題である。Bは予定運命の決定についての問題である。実験1〜3は、それぞれの時期に分離した割球から、どのような組織が生じたか整理すれば、比較的理解しやすい。Aの実験1は98年度本試験において同様の出題があり、過去問をしっかり解いておくことが肝要である。

【第3問】遺伝(補足遺伝子・伴性遺伝・組換え)→昨年並み
Aは補足遺伝子に関する基本問題である。問題文を正確に読めれば、確実に解答できただろう。Bは2遺伝子の伴性遺伝において組換えも考慮しなければならず、難易度はやや高い。問3の選択肢で迷うかもしれないが、全体として問題文の表現は非常に分かりやすいので、伴性遺伝、組換えの考え方をそれぞれ基礎からよく理解していれば、解答を導き出せただろう。

【第4問】環境と動物の反応(動物の脳と効果器・体液循環)→昨年並み
Aは脳と筋肉に関する知識の正確さを確認する問題であり、確実に得点したい。Bは心臓と交感神経、副交感神経に関する実験で、馴染みのあるの実験問題であった。昨年、一昨年の問4での実験問題と比べても取り組みやすい問題であったと思われる。問5で戸惑った受験生もいただろうが、複雑な仕組みではないので、実験内容をよく読んで解答したい。総じて、知識問題、実験、選択肢に特殊なものはなく、確実に高得点を狙いたい問題であった。

【第5問】環境と植物の反応(植物の光周性・屈性)→昨年並み
Aは、植物の光周性に関する問題である。一見すると図1のグラフは見たことのないグラフで戸惑うかもしれないが落ち着いて読めば、この植物の性質を判断することができる。問3の問題はグラフからは読み取りにくいかもしれない。Bの実験はオーキシンの基本的な実験だが、図3のようなグラフはほとんど見たことがないだろう。しかし、オーキシンの特性を理解しておけば、容易に解けるはずである。
新高3生へのアドバイス
センター試験の目的は、「大学に入学する者の、高等学校における基礎的な学習の達成の程度を判定すること」にあるので、まずは、教科書の内容を正しく理解する必要があります。正しい理解とは、単に正確に暗記するということではなく、さまざまな生命現象のもつ意義・理屈や、それぞれの関わり合いを理解するということです。生物�では、教科書には載っていない実験を提示し、その結果を、教科書的基礎知識をもとに解読させるという実験考察問題が多く見られます。また、前文の長い問題も含まれていることが多いので、読解力・理解力・考察力を養っておきましょう。さらに、近年では、過去問と類似の出題が見られるので、過去問の演習を行い、センター試験の形式に慣れるとともに、出題テーマに一通り目を通しておくことが重要となるでしょう。特に、グラフや表を解釈する力を養成しておくことが大切です。また、計算力・思考力を問われる遺伝分野の問題では、大きな点差がつくことがあります。十分な対策を立てておきましょう。さらに、センター試験形式の模試を積極的に受けることによって、自分自身の学習進度のチェックや弱点の発見ができ、学習効率を飛躍的に上げることができます。模試の受け始めの時期は早いほど、回数は多いほどよいでしょう。このような対策を行って、万全の準備で来年のセンター試験に臨んでください。
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