大学入試センター試験解答速報2008
世界史B
全体概観

出題形式に変化なし。全範囲からの出題で、総じて難化。 


大問数 減少 | 変化なし | 増加 
設問数 減少 | 変化なし | 増加 
マーク数 減少 | 変化なし | 増加 
難易度 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 

出題形式に大きな変化は見られず、従来通りに正誤判定問題が中心である。6者択一の設問は3題となった。地図問題では、コルシカ島とサルディーニャ島、さらにスマトラ島とジャワ島の位置の確認が問われた。地域別に偏ることなく出題され、使用教科書により不利益をこうむった生徒はいないであろう。3年ぶりに戦後史・文化史の比重が高まった。全範囲まんべんなく出題されており、未修得の部分が残っていた受験生は苦戦を強いられたと思われる。

【出題フレーム】

 

大問

出題分野

設問数

マーク数

配点

2008

第1問

ユーラシア大陸

9

9

25

第2問

島や群島について

9

9

25

第3問

歴史上の敗者や英雄の末路

9

9

25

第4問

衣服に関わる歴史

9

9

25

2007

第1問

聖地への巡礼

9

9

25

第2問

人間と家畜との関係

9

9

25

第3問

国家の神話や象徴、理念  

9

9

25

第4問

同盟や結社の形

9

9

25

2006

第1問

世界史上の人々の接触・共存

9

9

25

第2問

政治・宗教に見られる権力

9

9

25

第3問

交易と都市・経済・文化の関わり

9

9

25

第4問

世界史上の飲み物や食べ物

9

9

25

2005

第1問

世界史上の建造物・祝祭・儀礼

9

9

25

第2問

教育の歴史

9

9

25

第3問

人間と自然とのかかわりあい

9

9

25

第4問

法と政治の歴史

9

9

25


過去18年間の平均点
2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999
67.75点 66.25点 63.16点 61.47点 56.53点 59.88点 61.67点 64.62点 64.13点
1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 1990
65.50点 68.35点 64.62点 63.52点 63.76点 65.71点 71.37点 72.45点 64.54点

設問別分析
第1問 ユーラシア大陸
センター試験で定着した、ユーラシア大陸を舞台とした東西交渉史である。中国の唐・明・元王朝を題材にして、周辺諸民族・諸地域についての具体的事項が試問された。また、ユーラシア国家に成長していくロシアの東方進出では、そのプロセスが問われた。

第2問 島や群島
サイパン・アイスランド・アイルランド・キプロス・マダガスカル・セイロン(スリランカ)・ジャワ・スマトラ・コルシカ・サルデーニャといった世界のさまざまな島が出題された。地図を読み込んでいる生徒には有利に働いたが、地図学習にまで手が回らなかった生徒は手こずったと思われる。

第3問 歴史上の敗者や英雄の末路
中国・ヨーロッパ・アメリカそれぞれの世界での歴史上の敗者や英雄を扱ったリード文が出された。中国では古代から文化大革命に及ぶ制度史・文化史が、ヨーロッパではハンニバルやナポレオンが登場した。アメリカは南北両大陸の先住民について、植民地時代とそこからの独立についての知識が問われた。

第4問 衣服に関わる歴史
毛織物・絹織物・綿織物といった繊維製品を切り口として、古代からジーンズの登場に至る時代と民衆の生活を網羅して、ヨーロッパ・アジア・アフリカそれぞれについて試問された。受験生が見落としがちな時代や地域からの出題も多かった。
新高3生へのアドバイス
センター試験の「世界史B」は4問とも、様々な事柄をキーワードにした「テーマ史」問題の形をとってはいますが、設問別に見ていくと、世界の諸地域の国家や民族についての基本事項を時代把握を含めて試問しています。したがって、それぞれの地域・時代の基本事項に関して確実に学習を積むことで、正解を見つけることは決して困難ではありません。今年度は教科書に載っている地図図版が積極的に使用されました。歴史上の人物、出来事も空間的な広がりの中で捉えるという日常の学習が大切です。今後も写真やグラフといった資料をこまめに参照し、意味を確実に理解しておく必要があります。また今年度同様に文化史や戦後史についても2009年度での出題が予想されます。時間的・空間的な広がりをつかみながら因果関係を考えるタイプの高度な設問はこのところ減りつつありますので、基本事項の確認と、そこからの派生学習に重点を置けば高得点は可能です。“センター試験の出題形式”に慣れておくためにも、過去問をできるだけ多く解いておくことはもちろん、東進のセンタープレ入試を毎回受験することをオススメします。
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