大学入試センター試験解答速報2008
数学II・数学B
全体概観

問題量、難易度とも昨年並み 


大問数 減少 | 変化なし | 増加 
難易度 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 

必修問題2問、選択問題4題から2題選択の計4題の構成は昨年度までの形式を踏襲している。第1問の指数・対数関数では、昨年同様に融合問題が扱われている。問題量は昨年並みといえるだろう。 必答問題がやや難化した一方で、選択問題がやや易化したことから、全体としては昨年並みの平均点に落ち着くものと思われる。

【出題フレーム】

 

大問

出題分野

配点

2008

第1問

[1] 指数・対数関数

30

[2] 三角関数

第2問

微分法・積分法

30

第3問

数列 (2問選択)

20

第4問

ベクトル (2問選択)

20

第5問

統計とコンピュータ (2問選択)

20

第6問

数値計算とコンピュータ (2問選択)

20

2007

第1問

[1]三角関数

30

[2]指数・対数関数

第2問

図形と方程式、微分法・積分法

30

第3問

数列 (2問選択)

20

第4問

ベクトル (2問選択)

20

第5問

統計とコンピュータ (2問選択)

20

第6問

数値計算とコンピュータ (2問選択)

20

2006

第1問

[1]三角関数

30

[2]指数・対数関数

第2問

図形と方程式、微分法・積分法

30

第3問

数列 (2問選択)

20

第4問

ベクトル (2問選択)

20

第5問

統計とコンピュータ (2問選択)

20

第6問

数値計算とコンピュータ (2問選択)

20

2005

第1問

[1]三角関数

30

[2]指数・対数関数

第2問

図形と方程式、微分法・積分法

30

第3問

ベクトル(2問選択)

20

第4問

複素数と複素数平面(2問選択)

20

第5問

確率分布(2問選択)

20

第6問

計算とコンピュータ(2問選択)

20


過去18年間の平均点
2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999
48.94点 57.66点 52.47点 45.65点 49.84点 59.22点 68.89点 57.36点 62.14点
1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 1990
41.38点 63.90点 52.46点 67.44点 77.20点 65.48点 48.36点 67.81点 64.27点

設問別分析
第1問  三角関数、指数・対数関数
[1] (指数・対数関数)
本質的に難易度はそれほど高くはないが、冒頭の指数方程式の指数に対数が乗っていることにストレスをかけられた受験生が多かったと思われる。それに加えて、相加相乗平均を用いた最小値の評価など、幅の広い実力が求められているといえる。

[2] (三角関数)
問題の設定が抽象的なので、戸惑ったことだろうが、落ち着いて取り組めば誘導に乗れるはずだ。

第2問  微分法・積分法
2つの2次関数と面積、さらにその最小値を問う問題。特に後半の複雑な場合分け、計算量の多さを考えると、昨年より難化しているといえる。

第3問  数列 (選択問題)
等差・等比数列と隣接2項間漸化式を絡めた問題。昨年と異なり、(1)は穏やかな出だしで、(2)の前半まではスムーズに進めることができるだろう。一方、(2)の後半は、誘導はあるものの昨年同様に考えにくい。前半が易化した分、昨年より若干得点率は上昇しよう。

第4問  ベクトル (選択問題)
空間ベクトル(四面体)の問題。(1)は易しいが,(2)の冒頭,誘導なしで内分比を適当に設定できたかどうかがその後の分かれ目になったと思われる。見かけのボリュームや実際の計算量は昨年並みだが,自力で気付かなければ詰まってしまう箇所がところどころにある分,それほど得点率は高くはならないのではないか。

第5問  統計とコンピュータ (選択問題)
2つの変量の相関図から情報を読んでいく問題である。教科書にある基本計算ができていれば問題なさそうであるが,小問が多いのですばやく計算したい。データの入力ミスの部分は目新しい。

第6問 数値計算とコンピュータ (選択問題)
ユークリッドの互除法を利用して最大公約数を求める問題であり,プログラムは単純である。システムを知っているならば話は早いだろう。しかし,後半にはプログラムの一部を変更し,最小公倍数を求めるプログラムにする問題があり,少々悩まされそうだ。
新高3生へのアドバイス
毎年難易度の変化がある数II・Bですが、どのようなレベルで出題されてもたじろがないように準備していく必要があります。
数学II・Bは、数学I・Aを土台としているため、数学I・Aが未完成な状態では高得点は望めません。まずは数学I・Aの基礎を完璧なものにしましょう。その次に、数学II・Bの基礎を固めていくことが、効率よく学習を進めていく早道です。
学習の順序として、いきなり入試レベルの問題に取り組むのではなく、教科書の例題、練習問題、節末問題、章末問題レベルへと、少しずつステップアップしていくのが一番の近道です。「計算を最後までやり抜く」ことや「図やグラフを描いて考えること」などといったことを地道に積み重ねることによって、基本を確固たるものにしましょう。
また、解法の暗記に頼るのではなく、きちんと理解して先に進むような勉強を心がけましょう。物事を理解するとは、その道理や筋道がわかり、自ら考えることができるようになることです。理解して先に進むような勉強を繰り返すことで、受験だけでなく、将来社会に出ても役立つ本当の力をつけることができます。
数学II・Bの問題は、数学I・A以上に数学的に考えさせる問題が多く、また計算量も多いため、練習を充分に行う必要があります。東進では2ヶ月毎に実施されるセンター試験と同レベルの“センタープレ入試”があります。センター試験の傾向、自分の現在の力を知り、さらに不得意分野・弱点を明確にして対策学習をスタートするのに大いに役立つでしょう。
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