地理A
全体概観

判定にてまどる統計問題が多く、昨年より難化。 


大問数 減少 | 変化なし | 増加 
設問数 減少 | 変化なし | 増加 
マーク数 減少 | 変化なし | 増加 
難易度 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 

大問数5、マーク数36で、分量的には昨年どおりであり、形式面でも組合せ式6択問題が10問と昨年と変わらない。大問の配列について、昨年は第5問にあった地域調査に関する問題が第2問に移るなどの違いはあるが、全体的な構成には変化がない。内容面では、第4問の地誌が、昨年のアメリカ合衆国(第3問)から中国に変わっただけで、他の大問テーマも昨年から大きな変化はなく、いずれも高校地理に関する基本的な知識や図表等の読み取りを要求するものだった。ただし、統計の読み取りに時間を要するものや判定に迷うものが多く、昨年のように、知識がなくても思考力で対応可能な設問があまりみられないため、全体としては難化といえよう。

【出題フレーム】

 

大問

出題分野

設問数

マーク数

配点

2009

第1問

地理の基礎的事項

8

8

16

第2問

地域調査(鳥取県境港市)

7

7

21

第3問

現代世界における地域の結びつきとその変化

7

7

21

第4問

中国の自然環境、生活文化および産業

8

8

24

第5問

食料にかかわる地球的課題

6

6

18

2008

第1問

地理の基礎的事項

8

8

16

第2問

日本と世界各国・地域の結びつき

7

7

21

第3問

アメリカ合衆国の自然環境、生活・文化

8

8

24

第4問

地球的課題と国際協力

6

6

18

第5問

地域調査(広島市)

7

7

21

2007

第1問

地理の基礎的事項

8

8

16

第2問

現代世界の結びつきと交流

7

7

21

第3問

日本の近隣諸国の自然と人間活動

7

7

21

第4問

地球的課題と国際協力

7

7

21

第5問

地域調査(青森県八戸市)

6

7

21

2006

第1問

地理の基礎的事項

8

8

16

第2問

現代世界の結びつき

6

7

21

第3問

歴史的町並み

6

7

21

第4問

ヨーロッパの文化・生活

6

7

21

第5問

現代の地球的課題やそれらへの取組み

6

7

21


過去19年間の平均点
2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999
56.83点 53.91点 62.67点 65.68点 59.97点 48.11点 56.54点 60.05点 46.21点 51.05点
1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 1990  
59.68点 57.01点 62.75点 72.35点 77.05点 69.47点 62.74点 60.50点 65.86点  

設問別分析
【第1問】地理の基礎的事項
過去3年と同様に世界地図を用いた問題で、時差・国家の領域・自然環境・民族などに関する総合雑題となっている。いずれも基本的な理解があれば正解できるだろう。ただし、問4の日本の領域に関する問題では、経緯度の正確な知識が求められる。問5のような写真を用いた民族・宗教に関する問題はセンター地理Aでは頻出なので、十分な対策が求められる。レベルはやや易である。

【第2問】地域調査(鳥取県境港市)
例年、第5問に配置される地域調査に関する大問が第2問に置かれた。2006年以降、ひとつの大問のうちの一部のみ(問1から問6まで)が地理Bとの共通問題になっている。問3までの地形図の読図は、例年並みの標準的な出題。問4・5と統計の読み取り問題が続いた。知識を問う問題ではなく、落ち着いて考えれば難しくない。問6の地域調査に関する問題も常識的に判断できる。大問全体としては標準レベルである。

【第3問】現代世界の地域の結びつきとその変化
昨年の第2問と同じく、日本を中心とした貿易・人口移動・観光など、地理A頻出の国家・地域間の結合に関する出題であった。
問2の果実・野菜の輸入相手に関する統計問題は、日常的な生活の中にヒントがある。問4は線種の違いが示す交通手段の違いに十分注意したい。問7は旧ソ連諸国と東欧諸国の正確な区別が必要である。やや難レベルの大問といえよう。

【第4問】中国の自然環境、生活文化および産業
中国の自然環境・生活・文化に関する出題であった。問1・2の自然環境に関する設問はいずれも易しい。問3・5は地理A特有の出題内容であり、特に問5は準備が必要であろう。問6の統計は落ち着いて判断したい。全体的には標準的なレベルの知識を問う大問である。

【第5問】食料にかかわる地球的課題
総合的な雑題であった昨年の第4問と違い、食料問題というテーマを中心にすえた出題であった。問1では「高位」ほど貧困度が高いことに注意したい。また「高位」と「中位」の判別がやや難しい。問2・3の統計問題はいずれも判定に時間がかかるだろう。問4以降は手堅く確保するとしても、全体としてはやや難である。

新高3生へのアドバイス
センター試験地理Aは、世界の生活文化や国家間のつながりを中心に、基礎的な知識をベースとした情報処理・思考・判断の能力を試す出題が中心です。断片的な知識の丸暗記では対応できません。知識と知識のつながりを意識した学習の積み重ねが必要です。特に、貿易や人的交流などの国家間の結合に関する統計の理解は重要です。数値を覚えるのではなく、統計の背後にある意味を考えるクセをつけましょう。また、衣食住など世界各地の民族や文化に関する広い素養をつくっていきましょう。そのためには、テレビのクイズ番組やニュース、新聞記事などへの日ごろからの関心も求められます。地図や図表などの資料、とくに写真を使った出題の割合が高いのはセンター地理Aの典型的な特徴です。写真利用問題については、資料集に掲載されている世界各地の景観・民族衣装・家屋などの写真を、ふだんから意識して見るようにすることが有効です。また、自分が知らない地名が出てきた際には、必ず地図帳を開き、その位置を確認する学習を徹底するようにしましょう。統計問題・地形図の読図問題や6択問題など、独特の出題形式への慣れも必要です。また、時間配分も決してゆとりはありません。そのために10年分程度の過去問演習はもちろん、東進のセンター試験本番レベル模試(地理Bを受験しても十分に地理Aの対策になります)を定期的に受験しておくことをおすすめします。
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