理科総合A
全体概観

二酸化炭素の削減など環境問題に関する出題もあった。大問構成には変化なし。 


大問数 減少 | 変化なし | 増加 
設問数 減少 | 変化なし | 増加 
マーク数 減少 | 変化なし | 増加 
難易度 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 

昨年と比べて設問数、マーク数、大問構成ともに変化はなかった。例年と同じく、エネルギーに関連した問題が中心になっており、頻出の環境問題に関しても水資源の使い方による二酸化炭素の削減といった内容が出題された。第3問の比熱、第5問の力学的エネルギーといった物理分野の問題は、昨年度と比べてやや易化した。

【出題フレーム】

 

大問

出題範囲

設問数

マーク数

配点

2009

第1問

エネルギー変換

5

6

20

第2問

水資源の利用

5

5

20

第3問

比熱・物質の変化

5

5

20

第4問

金属の性質

5

5

20

第5問

運動と力学的エネルギー

5

5

20

2008

第1問

アルミニウムの性質

5

5

20

第2問

生物がつくりだす物質

5

5

20

第3問

エネルギーの変換

5

5

20

第4問

中和の実験

5

6

20

第5問

仕事とエネルギー

5

5

20

2007

第1問

いろいろなエネルギー

5

5

20

第2問

物質の利用

5

5

20

第3問

力学的エネルギー

5

5

20

第4問

物質の構成と変化

5

5

20

第5問

エネルギー資源・物質の構造

4

5

20

2006

第1問

自然の探求・生物のつくる物質

6

6

20

第2問

エネルギー変換

5

5

20

第3問

物質の変化

5

5

20

第4問

力学的エネルギー・日常生活と物質

5

5

20

第5問

エネルギー資源

5

5

20


過去3年間の平均点
2008 2007 2006
48.00点 57.05点 65.80点

設問別分析
【第1問】エネルギーの変換

電動アシスト自転車を題材としたエネルギーの変換に関する出題である。問1は重力による位置エネルギーの式mghを考えて、必要ないものを二つ選べばよい。問2はどのようなエネルギーが光エネルギーに変換されているのかを考えればよい。問3は図1を正確に読み取れば正しい選択肢を選ぶことができる。問4はアルカリ金属の性質から考えれば答えられる。問5は与えられた数値を用いて計算すればよい。

【第2問】水資源の利用

水の性質と水資源の利用に関する出題である。問1は水の状態変化について考えればよい。問2は与えられる熱量が一定の速さであることと、沸騰しているときの水の温度変化からわかる。問3aは塩基性の溶液の性質を考えればよい。問3bは酵素の性質から答えられる。問4は問題文に与えられた数値を正しく計算すれば答を導くことができる。


【第3問】比熱・物質の変化

金属の温度変化をはじめとした金属の性質に関する出題である。問1は物質に与えられた熱量Qと温度変化⊿Tの式、Q=mc⊿Tから考えればよい。問2は電熱線で発生したジュール熱と水の温度上昇から計算すると答を導くことができる。問3は図3、4から金属Bの温度上昇が金属Aの何倍になっているかを考えるとよい。問4は金属と希塩酸が反応したときにどのような気体が発生するかを考えれば、すぐにわかる。問5は空気中の金属の燃焼について思い出せばよい。


【第4問】金属の性質

鉄とアルミニウムの性質に関する出題である。問1は結合の強さと結合を切り離すのに必要なエネルギーの関係を考えればよい。問2aは実験Aでのみ鉄が錆びたことから答がわかる。bは問1と同様に考えればよい。問3は与えられた数値を用いてアルミニウムに関する必要な総エネルギーとリサイクル回数の関係式を立て、図3に描けば求められる。問4は合金の性質を思い出せばすぐにわかる。


【第5問】運動と力学的エネルギー

飛び板飛び込みを題材とした運動と力学的エネルギーに関する出題である。問1、2は力学的エネルギー保存則を使って計算すればよい。問3は位置Qと位置Rの運動エネルギーKを考えればすぐにわかる。問4も力学的エネルギー保存則からすぐにわかる。問5は自由落下と質量の関係を考えればよい。
新高3生へのアドバイス
理科総合Aは、「観察や実験などを通して、エネルギーと物体の成り立ちを中心に、自然の事物・現象について理解させるとともに、人間と自然とのかかわりについて考察させ、自然に対する総合的な見方や考え方を養う」ことを目的とした科目です。そのため、普段から教科書を中心とした内容を正しく理解することはもちろん、観察や実験を通して自然現象を理解し、現在の科学技術やニュースで取り上げられている環境問題などに関心を持っておくことが非常に重要です。
センター試験では各分野からまんべんなく出題されるので、教科書を中心に資料集なども使って、特定の分野に偏らない学習をしていきましょう。今年は出題されなかった化学分野の「電気分解」、生物分野の「光合成」、地学分野の「地下資源」などは、来年以降出題される可能性があります。また、理科総合A独特の内容である「資源のリサイクル」、「環境問題」や、今年出題された電動アシスト自転車のような現代の科学技術に関する内容を押さえておくことも重要です。文系の人は物理分野の苦手な場合が多いので、「力学的エネルギー」、「運動と力」の基本的な演習を行っておくとよいでしょう。
いつかではなく、今から受験に向けて準備を始めてください。センター試験は60分という時間内で、課せられた問題を解かなければなりません。全て多肢選択という形式も独特のものといえます。東進における理科総合Aの模擬試験は、12月に行われる第6回センター試験本番レベル模試で受けることができます。センター試験での理科総合A独特の出題形式である実験考察問題などに慣れるためにも、また時間配分を考えるためにも、最終チェックとして東進のセンター試験本番レベル模試を受けるようにしましょう。
Copyright (C) Nagase brothers Inc.