世界史B
全体概観

出題形式に変化なし。時代・地域とも全範囲から出題され、全体的に易化。 


大問数 減少 | 変化なし | 増加 
設問数 減少 | 変化なし | 増加 
マーク数 減少 | 変化なし | 増加 
難易度 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 

出題形式に大きな変化は見られず、正誤判定問題が中心であるが、a・b2つの文の正誤判定が昨年の2題から5題に増加し、年代配列問題が出題されないなどの変化も見られた。さらに時代(世紀)を問う設問も多くあり、受験生を悩ませただろう。全体を通してオセアニア・ラテンアメリカ・北欧・内陸アジアなどいわゆる周辺地域史に関する設問が目立ったが、これは昨年に続く傾向なので、事前に対策が講じられたと思われる。さらに個々の設問で要求されている知識は基本的なものがほとんどであったので、全体としては平均点は上昇すると予想される。

【出題フレーム】

 

大問

出題分野

設問数

マーク数

配点

2009

第1問

生業と労働の歴史

9

9

25

第2問

世界史における学校・教育

9

9

25

第3問

信仰や宗教について

9

9

25

第4問

移動と移住について

9

9

25

2008

第1問

ユーラシア大陸

9

9

25

第2問

島や群島について

9

9

25

第3問

歴史上の敗者や英雄の末路

9

9

25

第4問

衣服に関わる歴史

9

9

25

2007

第1問

聖地への巡礼

9

9

25

第2問

人間と家畜との関係

9

9

25

第3問

国家の神話や象徴、理念  

9

9

25

第4問

同盟や結社の形

9

9

25

2006

第1問

世界史上の人々の接触・共存

9

9

25

第2問

政治・宗教に見られる権力

9

9

25

第3問

交易と都市・経済・文化の関わり

9

9

25

第4問

世界史上の飲み物や食べ物

9

9

25


過去19年間の平均点
2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999
58.98点 67.75点 66.25点 63.16点 61.47点 56.53点 59.88点 61.67点 64.62点 64.13点
1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 1990  
65.50点 68.35点 64.62点 63.52点 63.76点 65.71点 71.37点 72.45点 64.54点  

設問別分析
第1問 生業と労働の歴史
東アジア・ヨーロッパ・アメリカの生業と労働に関する歴史を軸に、政治・経済・社会・文化の知識を幅広く問われた。明末清初の中国や中世ヨーロッパにおける社会経済の変動は基本事項。労働運動に対する各国の取り組みは受験生の盲点となったのではないか。

第2問 世界史における学校・教育
ヨーロッパ・イスラーム世界・中国を中心に、各地における学校や教育のあり方と、それに関連する事項が問われた。中国の官吏任用制度の変遷は定番のテーマ。地図問題では戦後のユーゴスラヴィアに関する知識と位置とが問われた。

第3問 信仰や宗教について
世界各地の信仰や宗教のあり方が、社会や文化の動向と関連させて問われている。出題地域が広く、各地における死後の世界に対する観念などかなり高度な知識も問われた。写真を用いた設問は東南アジアの文化に関するものである。 

第4問 移動と移住について
前近代史の分野を中心とする人々の移住と移動に関する知識を問われたが、写真を用いた設問は古代の文字に関するもの。地図問題ではセルジューク朝の移動経路が問われ、地図を用いたユーラシア大陸規模での学習を続けてきたかどうかが成否を分けたものと思われる。

新高3生へのアドバイス
センター試験の「世界史B」は4問とも、様々な事柄をキーワードにした「テーマ史」問題の形をとってはいますが、設問別に見ていくと、世界の諸地域の国家や民族についての基本事項を時代把握を含めて試問しています。したがって、それぞれの地域・時代の基本事項に関して確実に学習を積むことで、正解を見つけることは決して困難ではありません。今年度は教科書に載っている地図・図版が積極的に使用されました。歴史上の人物、出来事も空間的な広がりの中で捉えるという日常の学習が大切です。今後も地図や写真といった資料をこまめに参照し、意味を確実に理解しておく必要があります。また今年度同様に周辺地域史や文化史についても今後の出題が予想されます。あらゆる出題傾向に備えるためにも、基本事項の確認と、そこからの派生学習という王道を行けば高得点は可能です。“センター試験の出題形式”に慣れておくためにも、過去問をできるだけ多く解いておくことはもちろん、東進の「センター試験本番レベル模試」を毎回受験することをオススメします。
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