地学I
全体概観

出題分野・大問数・設問数に変化はなく、マーク数が1つ増えた。全体に基礎的な事項についての知識問題が多く、解答に時間を要する問題はなかった。 

大問数 減少 | 変化なし | 増加 
設問数 減少 | 変化なし | 増加 
マーク数 減少 | 変化なし | 増加 
難易度 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 

 出題分野、大問数は昨年と同じ。  地質図から走向・傾斜と断層の動きを読む問題は簡単なものであった。計算問題はプレートの移動速度と放射年代であったが、ともに容易である。教科書をしっかりと学習していれば正答は容易である。  第3問の設問数が7問になったので、設問数は1問増えて31問になった。第1問は昨年と同様A〜Cの中問3題で構成されているが、第2問〜第5問はA,Bの中問2題になった。基本的事項の知識問題が大半であり、実習・探究活動を含めて教科書を丹念に学習することで高得点が期待できる出題である。ただし、第4問Bのエルニーニョについては正確な知識が必要とされる。また、第5問Aの年周視差の問題は従来にない出題でとまどった受験生がいたと思われる。

年度

大問

出題分野

設問数

マーク数

配点

2011

第1問

地球の活動

6

6

20

第2問

岩石・鉱物・火山

6

6

20

第3問

地質

6

7

20

第4問

大気と海洋

6

6

20

第5問

地球と天体

6

6

20

2010

第1問

地球と地球型惑星

6

6

20

第2問

岩石と鉱物

6

6

20

第3問

地質と化石

6

6

20

第4問

大気と海洋

6

6

20

第5問

天体

6

6

20

2009

第1問

地球

6

6

20

第2問

岩石・鉱物

6

6

20

第3問

地質図と地質断面図

6

6

20

第4問

大気と海洋

6

6

20

第5問

宇宙と天体

6

6

20


過去の平均点の推移

2010 2009 2008 2007 2006
66.76点 51.85点 59.68点 62.42点 59.29点

設問別分析
【第1問】地球の活動
問1は問題文を落ち着いて読めば容易である。問2は地震波についての基礎事項である。問3・4はホットスポットとプレート運動の関係。教科書に実習として取り上げられている内容であったので容易。問5は基本的事項であり、迷うことはなかったであろう。問6は火山前線を理解しているかどうかが問われている。

【第2問】岩石・鉱物・火山
問1は冷却速度と結晶成長の関係を答える設問で、基礎問題である。問2は結晶の自形・他形と晶出順序を答える設問で、教科書に図や問題が出ており、入試でも頻出である。問3は接触変成作用の基礎知識。問4は結晶分化作用の基礎であるが、火成岩の分類図を覚えていれば容易に判断できる。問5は溶岩流と火砕流についての基礎的知識。問6は火山ガスについての知識があれば容易。

【第3問】地質
問1は地質図から走向・傾斜を読み取る基礎的な問題である。問2は断層のずれを判断する設問。問1で走向が読み取れれば判断できる。問3はイノセラムスが中生代の化石と知っているかどうかが問われている知識問題である。問4は級化層理の基礎問題である。問5は図から示準化石の条件に合うものを選ぶ設問である。分布が広いものを選べばよい。問6は半減期の知識があれば容易であろう。2008年度センター試験追試験でも半減期の知識を用いた計算問題が出題されている。

【第4問】大気と海洋
問1は乾燥断熱減率と湿潤断熱減率の違いを答える設問。問2はフェーン現象とは関係なく判断できる問題である。問3はフェーン現象の状況を考えて答えればよい。問4・5はエルニーニョについて正確な知識があるかどうかが問われている。問6もエルニーニョの知識問題である。教科書に出ている断面図を理解していれば容易であろう。

【第5問】地球と天体
問1はフーコーの振り子の基礎的理解を問う設問。問2は自転周期が太陽日より短いことを理解しているかが問われている。問3は年周視差の設問。教科書にある図を原理から理解しているかが問われている。問4は恒星の進化の基本問題である。問5は地殻の化学組成を理解しているかどうかが問われている。問6は恒星の進化の基礎知識を問う設問である。


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