地理A
全体概観

設問数・マーク数が1問減少。難易度は昨年並み。 

大問数 減少 | 変化なし | 増加 
設問数 減少 | 変化なし | 増加 
マーク数 減少 | 変化なし | 増加 
難易度 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 

大問数5、設問数・マーク数35で、分量的には前年よりやや減少した。組合せ式6択問題が12問あり、昨年から増加している。出題形式については、センター試験地理Aの特徴の一つである写真を利用した問題が昨年の4問から2問に減少しているが、掲載されている図・表の数に大きな変化はない。内容面については、地域調査の問題が第2問から第5問に移り、地誌の問題で扱う地域が、昨年の太平洋地域から東アジアに変わっただけで、他の大問テーマも昨年から大きな変化はない。いずれも高校地理に関する標準的な知識や図表を読み取る力を要求する問題であり、総合的な学力が求められる良問が多いが、一部の統計問題の中にはレベルの高いものもみられた。なお、地理Bとの共通問題は、第5問の全6問のほかに、第4問にも2問みられた。全体の難易度としては昨年並みと思われる。

年度

大問

出題分野

設問数

マーク数

配点

2011

第1問

地理の基礎的事項

8

8

21

第2問

国境を越えた世界の結びつき

7

7

21

第3問

東アジアとその周辺地域

7

7

21

第4問

地球的課題と国際協力

7

7

21

第5問

地域調査(佐賀県)

6

6

16

2010

第1問

地理の基礎的事項

8

8

16

第2問

地域調査(山形県最上地域)

7

7

21

第3問

国境を越えた世界の結びつき

7

7

21

第4問

太平洋を中心とした地域

7

7

21

第5問

地球的課題

7

7

21

2009

第1問

地理の基礎的事項

8

8

16

第2問

地域調査(鳥取県境港市)

7

7

21

第3問

現代世界における地域の結びつきとその変化

7

7

21

第4問

中国の自然環境、生活文化および産業

8

8

24

第5問

食料にかかわる地球的課題

6

6

18

2008

第1問

地理の基礎的事項

8

8

16

第2問

日本と世界各国・地域の結びつき

7

7

21

第3問

アメリカ合衆国の自然環境、生活・文化

8

8

24

第4問

地球的課題と国際協力

6

6

18

第5問

地域調査(広島市)

7

7

21


過去の平均点の推移

2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001
53.58点 54.7点 56.83点 53.91点 62.67点 65.68点 59.97点 48.11点 56.54点 60.05点
2000 1999 1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991
46.21点 51.05点 59.68点 57.01点 62.75点 72.35点 77.05点 69.47点 62.74点 60.50点

設問別分析
第1問 地理の基礎的事項
例年と同様に世界地図を用いて、時差計算・自然環境・民族・人口・土地利用などに関して問う総合問題となっている。大問全体としては基本レベルである。問3は迷いやすい問題。ウは古期造山帯であることに注意。問6は道路形態によって判断する。取り上げられている4都市はいずれも地図帳に都市詳細図が掲載されている重要な大都市である。問7はユニークな出題。主に田は低湿地、畑は高燥地、樹林は利用の難しい斜面や海岸部に分布する。問8は先進国の少子高齢化を前提に、グラフの自然なつながりを考えれば易しい。

第2問 国境を越えた世界の結びつき
昨年と同じく、世界貿易・交通・産業の国際化など、地理A頻出の国家・地域間の結合に関する出題であった。大問全体としてはやや難である。問2は東南アジアの貿易統計であり、頻出のテーマである。問3は工夫された良問だが、4都市の位置関係だけからも判定できる。問6は在外日本人の職業別滞在地域の統計。外交官などの政府関係職員はまんべんなく世界各地に派遣される。

第3問 東アジアと周辺地域
昨年の太平洋地域同様、日本とかかわりの深い地域から出題された。統計表の読み取り問題を中心に、判断に悩む問題が含まれており、大問全体としてはやや難である。問1は自然環境と人間生活の結びつきに関する問題だが、農業地域についての基本的な理解があれば易しい。問2は気候グラフの判定。内陸のシーアンは、気温の年較差が大きく少雨であることがポイント。問4は人口統計の判定。発展途上国ほど多産で人口増加率が高いが、中国は一人っ子政策を推進していることに注意。問7は観光客の統計の判定。中国とホンコンの判別は難しい。広大な中国は観光客受入数は大きいものの、国民の経済レベルはまだ全体としては低いので、送出数は伸びてはいるが人口規模に比べて少ない。

第4問 地球的課題と国際協力
環境問題やエネルギー問題、人口・都市問題や経済援助など、さまざまなテーマに関する総合問題である。問1と問6が地理Bと共通問題であった。大問全体としてはやや易である。問2はスマトラ島における自然災害。問3はエネルギー供給の統計判定。中国=石炭、フランス=原子力、カナダ=水力、のように各国の特徴を押さえておきたい。問5は都市問題の文章正誤判定。発展途上国の地方都市は都市基盤の整備が遅れており、産業立地が困難。問7はODA(政府開発援助)に関する統計判定。日本はアジアとの結びつき、フランスは旧植民地との結びつきで考える。

第5問 地域調査(佐賀県)
例年通り地理Bとの共通問題である。問1・問2の地形図の読図はいずれも平易である。縮尺の計算や主な地図記号はしっかりマスターしよう。問3・問4は常識を働かせれば判定可能である。問5は水稲と大麦の判別がポイント。「総収穫量」に注目しよう。問6は「ゴミの分別」という日常生活を題材にとった問題。カ〜クの判定は易しいので、説明文も参考にしながらグラフの判定を丁寧に行えばよい。

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