日本史A
全体概観

社会・経済史や戦後史に比重が移る。昨年度よりもやや難化。 

大問数 減少 | 変化なし | 増加 
設問数 減少 | 変化なし | 増加 
マーク数 減少 | 変化なし | 増加 
難易度 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 


大問数6題、小問数34問の問題数は昨年度と同様。

日本史Bとの共通問題は、昨年度と同様に第3問と第5問であった。

出題された時代も、近代以降の各時代からバランス良く出題されているが、相変わらず明治時代からの出題が多い。また、今年度は特に戦後史からの出題が大幅に増加し、その範囲も1990年代にまでおよんだ。

出題分野は、政治史を中心に外交史・文化史からも出題されている。しかし、近年、特に社会・経済史からの出題が重視されており、今年も社会・経済史から多く出題された。

出題形式は、正誤問題・正誤組合せ問題が中心であることに変化はなく、選択肢の長文化傾向も定着した感がある。年代配列問題は減少したが、時期判定に関する出題が複数みられ、時間的概念に関する学習は今後も求められる。

図版を扱った出題も昨年度より増加した。グラフの読み取りを要求する出題もみられるが、しっかりと準備をしておけば決して難しいものではない。

難易度は、昨年度よりもやや難化した印象を受ける。

年度

大問

出題分野

設問数

マーク数

配点

2011

第1問

テレビドラマに関する親子の会話

3

3

8

第2問

幕末〜明治時代初期の政治と近代化

6

6

18

第3問

金子堅太郎

4

4

12

第4問

明治時代の政治・外交

5

5

15

第5問

近現代の日本の経済・社会

8

8

23

第6問

近現代の戦争とメディア

8

8

24

2010

第1問

歴史資料(会話文)

3

3

8

第2問

幕末・明治前期の政治・社会

6

6

18

第3問

明治前期の産業・経済

4

4

12

第4問

大正・昭和の政治・社会

5

5

15

第5問

渋沢栄一・敬三

8

8

23

第6問

近現代の政治・外交・社会

8

8

24

2009

第1問

歴史資料

3

3

8

第2問

幕末・明治期の文化

6

6

18

第3問

明治時代の外交

5

5

15

第4問

近代の政治・社会

4

4

12

第5問

幣原喜重郎

8

8

23

第6問

近代の政治・社会

8

8

24

2008

第1問

交通・通信

3

3

6

第2問

近世から近代の政治・外交

8

8

23

第3問

近現代の社会・文化

8

8

22

第4問

明治前期の政治

4

4

12

第5問

尾崎行雄

8

8

23

第6問

近現代の文化・政治

5

5

14

過去の平均点の推移

2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001
48.42点 46.51点 55.95点 51.53点 57.55点 54.77点 45.23点 42.88点 43.14点 46.46点
2000 1999 1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991
43.90点 47.85点 47.26点 48.62点 59.99点 57.37点 70.08点 73.37点 63.97点 66.22点

設問別分析
【第1問】 テレビドラマに関する親子の会話

会話形式の設問を第1問で出題する構成は、昨年度と同様である。会話文をリード文とした問題は定着してきた感があるので、過去問対策を講じてきた受験生は落ち着いて取り組むことが出来たであろう。

「家庭における情報受容」や「漆職人」などテーマは目新しいが、問題自体は標準レベルで比較的取り組みやすかっただろう。


【第2問】 幕末〜明治時代初期の政治と近代化

幕末から明治時代初期にかけての政治と近代化をテーマにした出題である。

昨年度は減少した幕末からの出題が複数みられ、近世後期の天保の改革にまで出題範囲がおよんだ

問3の図版は教科書に必ずといっていいほど掲載されているものであるから、図版を用いた問題演習を進めてきた受験生は解答するのに困らなかっただろう。問6の時代整序問題も、基本事項といってよい歴史事項についての出題なので、正解しておきたいところであった。

【第3問】 金子堅太郎

金子堅太郎を題材に、明治時代から大正時代までの政治・経済・文化に関する出題で、政党内閣・産業革命・啓蒙思想などについての理解が求められている。

問1の幕末の留学生派遣に関する出題は、教科書の脚注まで精読していないと正解できない、難しい問題であった。


【第4問】 明治時代の政治・外交

比較的正答を導きやすい標準レベルの、明治時代の政治・外交を題材にした出題であった。Bは明治時代の東アジア情勢に関する出題で、時代整序問題も含めて基本的な内容であったので、取り組みやすい問題であっただろう。

図版Aの大日本帝国憲法発布の様子や、図版Bのビゴーの風刺画は、いずれも資料集などには必ず掲載されているので、図版が表す意味まで含めて理解をしておこう


【第5問】 近現代の日本の経済・社会

近現代の経済・社会を題材にした出題で、戦後史からの出題が4問におよんだ。戦後史の学習をどれだけ行ってきたかが、得点に大きな影響を与えたと推測できる。高度経済成長や石油危機などについてきちんとした理解があれば、確実に正解できたと思われる。

問5はグラフを読みとることができれば正答を導くことができるが、経済政策の結果についての理解が普段の学習において求められていることを示す出題であった。


【第6問】 近現代の戦争とメディア

近現代の戦争とメディアを題材に、近現代の政治・社会・経済・文化など、バランス良く出題されている。

問1の新聞の性格の変化を問う空欄補充問題は、文章Aを正確に読み取ることが求められた。問7の大衆娯楽に関する時代整序問題は、「トーキー(発声・有声・音声映画)」「連合国軍による占領」「『鉄腕アトム』」といった語句から正確な時期判定が求められた。


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