理科総合A
全体概観

5年間続いた大問5題の構成から今年はじめて4題に減少し、昨年は出題されなかった酸・塩基や酵素に関する内容が出題された。 

大問数 減少 | 変化なし | 増加 
設問数 減少 | 変化なし | 増加 
マーク数 減少 | 変化なし | 増加 
難易度 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 

2006年から5年間続いた大問5題構成から、今年はじめて大問4題に減少した。ただし、マーク数は26で昨年と同じなので、実質的な分量は変わっていない。主に出題されたのは、例年どおりエネルギーを中心とした物理分野と、物質の変化を中心とした化学分野であった。化学分野の設問では、昨年は出題されていなかった酸・塩基に関する内容が出題された。また、昨年は生物分野からの出題がなかったが、今年は酵素に関する内容が出題された。


年度

大問

出題範囲

設問数

マーク数

配点

2011

第1問

物質の変化と物質の構造

5

7

24

第2問

力学的エネルギー、エネルギー変換

4

6

24

第3問

酵素反応、酸・塩基、酸化還元

5

6

24

第4問

仕事とエネルギー

6

7

28

2010

第1問

エネルギー資源・消費電力

5

5

20

第2問

物体にはたらく力と運動

5

5

20

第3問

炭素に関する物質の構造と変化

5

5

20

第4問

ペルティエ素子

5

5

20

第5問

物質の変化

6

6

20

2009

第1問

エネルギーの変換

5

6

20

第2問

水資源の利用

5

5

20

第3問

比熱・物質の変化

5

5

20

第4問

金属の性質

5

5

20

第5問

運動と力学的エネルギー

5

5

20

2008

第1問

アルミニウムの性質

5

5

20

第2問

生物がつくりだす物質

5

5

20

第3問

エネルギーの変換

5

5

20

第4問

中和の実験

5

6

20

第5問

仕事とエネルギー

5

5

20


過去の平均点の推移

2010 2009 2008 2007 2006
63.38点 56.59点 48.00点 57.05点 65.80点

設問別分析
設問別分析 理科総合A

【第1問】物質の変化と物質の構造
化学分野から物質の変化と物質の構造に関する出題である。
問1は与えられた電子配置から、元素の性質を考える問題である。最外殻の電子数から正誤が判断できるかどうかで差がつく。問2はお茶のいれ方を考察する問題である。選択肢で与えられた操作または現象の意味がわかっていれば、難しくはない。問3はアンモニアに関する問題である。bはこの実験を行って考察したことがあると有利である。問4は電気分解に関する正誤問題で、基本的な内容である。電池と混同しなければ正答を導ける。問5は金属元素の性質の組合せを選択する問題である。金属元素に関する知識が整理できているかどうかで差がつく。

【第2問】力学的エネルギー、エネルギー変換
物理分野から力学的エネルギーやエネルギー変換に関する出題である。
問1はホースから出た水に関する問題である。水流の太さの正誤問題は一見難問だが、与えられた水流の速さと断面積の積が一定であることと、水流が高くなるほど遅くなることから考えれば容易である。問2は熱の伝導と水の状態変化に関する問題である。水滴になる過程で熱が放出されるか吸収されるかがわからないと、差がついてしまう。問3は仕事率に関する問題である。仕事率が単位時間当たりの仕事であると理解していれば、難しくない。問4は打ち水による気化熱の計算問題である。空気の質量の単位はkg、比熱の単位はJ/(g・K)のため、空気の質量をgに変換するのを忘れると正答は導けない。

【第3問】酵素反応、酸・塩基、酸化還元
酵素反応、酸・塩基、酸化還元について、身のまわりの現象をもとにした出題である。
問1は酵素に関する穴埋め問題、問2は酵素の正誤問題、微生物の利用に関する正誤問題である。いずれも酵素についての基本問題である。問4は紫キャベツの色の変化の実験に関する問題で、aは加えても色が変化しない溶液から紫キャベツのpHを推定し、pHが7になる溶液を選択できるかどうかで差がつく。問5は酸化還元反応の正誤問題である。酸化還元反応を正しく理解していれば、難しくない。

【第4問】仕事とエネルギー
物理分野から仕事とエネルギーについての出題である。
問1はエネルギー変換に関する装置を選択する問題である。各選択肢がどのようなエネルギー変換を行っているかを整理できているかどうかで差がつく。問2は高くなるほど大きくなるエネルギーの名称を答える問題、問3は脂肪を力学的な仕事に変換する場合の計算問題、問4はグラフから水を100℃にするのに必要な熱量を読み取る問題、問5は電気ポットに流れる電流を求める問題、問6はバスと乗客の運動エネルギーの比較に関する正誤問題である。いずれも複雑な知識や計算を必要とせず基本的といえ、理科総合Aの物理分野の知識が整理できていれば得点できる問題である。

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