世界史A
全体概観

地図・図版問題が復活。昨年に比べ前近代の出題が増加。難易度は昨年並み。 

大問数 減少 | 変化なし | 増加 
設問数 減少 | 変化なし | 増加 
マーク数 減少 | 変化なし | 増加 
難易度 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 

昨年、一昨年に続き、大問数は3問。大問1つにつき小問が11問という形式である。誤文選択は3問と、昨年の7問より減少した。地図を用いた問題は2009年、2010年の2年間出題されなかったが、今回3問出題された。2008、2009、2010年の3年間出題されなかった図版の判別が必要な問題が1題出され、絵画の作者を問うものであった。20世紀の出来事を問う設問が3分の1ほどであるが、13〜16世紀に関する問題も昨年度より多かった。地域はまんべんなく出題され、また年代(世紀)を問う形式も多く、世界史の流れを理解していないと難しかったであろう。昨年同様、日本に関わる問題も出されている。平均点は昨年並みと思われる。

年度

大問

出題分野

設問数

マーク数

配点

2011

第1問

歴史上の帝国や帝国主義

11

11

33

第2問

歴史上の港町

11

11

33

第3問

歴史上の革命及び政党・結社

11

11

34

2010

第1問

支配者・指導者による近代化の試み

11

11

33

第2問

社会変革を目指す思想・運動・国家

11

11

34

第3問

技術や資源開発の歴史

11

11

33

2009

第1問

モニュメントや歴史的建造物

11

11

33

第2問

人々の移動や離散

11

11

34

第3問

世界史における伝統と変革

11

11

33

2008

第1問

帝国の歴史

11

11

33

第2問

災害や環境問題とその対策

11

11

33

第3問

通信、交通やコミュニケーション

11

11

34


過去の平均点の推移

2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001
52.31点 44.18点 49.28点 47.35点 44.87点 44.32点 45.96点 43.37点 44.28点 45.28点
2000 1999 1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991
42.97点 46.53点 50.69点 51.74点 64.62点 63.52点 63.76点 65.71点 71.37点 72.45点

設問別分析
第1問 歴史上の帝国や帝国主義
Aは康煕帝から乾隆帝までの清朝、Bはスレイマン1世の治世を中心とするオスマン帝国、Cは19世紀から20世紀前半までのアメリカ合衆国がリード文である。ほぼ16世紀以降に関する問題で、20世紀後半の出来事も問われた。地図はオスマン帝国がどの国を征服したか知っていれば解ける問題であった。問1と問9はリード文中の空欄補充とそれに関する文の組合せで、今までにあまりない出題形式である。問11では年表形式でエンパイヤステートビルが完成した時期が問われたが、一部の教科書しか載っていないので、難問だと言えよう。

第2問 歴史上の港町
Aはカリカット、Bはヴェネツィア、Cはボルドーについて述べている。13〜15世紀の問題も多く、近現代史以前に関しても学習が必要であった。問2と問6は地名と地図上の位置を選ぶ問題で、日頃から地図を見ながら学習をしているかどうかが、成否を分けたであろう。この大問に関しては、時代と形式が昨年と大きく異なるので、戸惑った受験生も多かったのではないか。

第3問 歴史上の革命及び政党・結社
すべて19・20世紀からの出題であった。Aはナポレオンから二月革命、Bはロシア革命からソヴィエト連邦の成立まで、Cは20世紀前半の中国がテーマであった。昨年の使用された図版は、問題に直接関わるものではなかったが、今年の問4は絵画が出され、その作者を答えるものであった。問9の「中国同盟会」については、2009年にも出題されているので、過去問を演習していた受験生には有利だったと思われる。

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