(1)戦略的であれ!過去問にチャレンジし、今から何をすべきかをしっかり考えてみよう!
未習箇所が多いこの時期ですが、まずは過去問や2016年度の問題にチャレンジしてみましょう。センター試験・日本史Aがグラフや図版を使用したバリエーションに富んだ出題形式であることから、思考力を重視していることに気づくことでしょう。歴史用語の暗記はもちろん必要な作業ですが、それだけの学習に頼ってきた人は抜本的に学習法を見直す必要があることに気づくことで、学習のスタートラインに立ってください。特に高校3年生になると部活や学校行事もますます忙しくなり、時間的制約が増すだけに、第一段階として「〇月」までに「〇○時代」まで必ず学習し終えるといった綿密なプランを立てましょう。
(2)個々の史実の内容を正確に把握したうえで、他の史実とつなぎ合わせていこう!
いうまでもなく個々の史実の内容、つまりおこった「時期」や「場所」、関連した「人物」やそれらが社会にもたらした「影響」や「結果」を正確に把握することは非常に大切です。それと同時に、歴史は常に流れているといった観点から、それらの史実をつなぎ合わせて「ストーリー」として歴史をとらえる習慣をつけていきましょう。また、一つの時代はおおまかに言えば、「成立→繁栄→衰退→崩壊」という一定の法則性をもちながら展開されます。学習する際には、今、どの段階にあるのかを常に意識するようにしてください。そうすることで自然と史実と史実はつながりあい、暗記作業による断片的な知識はひとつの関連性のある一本の「糸」となり、理解度もはるかに深まってくるはずです。
(3)変化の過程に注目しながら学習をすすめよう!
上記で述べたことを具体的にお伝えします。史実と史実のつながりを重視し、ある時代を一本の「糸」としてとらえることができるようになると、歴史の変化の過程を敏感に感じることができるようになります。たとえば、自由民権運動の開始から大日本帝国憲法が公布されるまでの約15年間を、広い視野を持ちながら一本の「糸」として見ることができた場合、国会開設を求めた民権派の動きと、その動きを抑制し、かつ、立憲体制の整備に前進していった政府の動きがめまぐるしく展開されていることに気づくはずです。「歴史は面白い!」と実感することができ、学習意欲がこれまでより断然増してくることも間違いありません。
(4)取りこぼしのない網羅性を重視しよう!
いわゆる政治・外交などの主要テーマは取りかかりやすいこともあり全体的に得点が伸びやすい傾向にありますが、その一方で、社会経済史や文化史は得点が伸び悩む傾向があります。政治史に取り組んでいるとき、「この内閣の時代」には「AとBの政策があった」と理解したら、次にそのときの経済や文化にはどのような事項があったのかを網の目をはるように常に思考することで、取りこぼしを解消していきましょう。さらに、年代ごとのタテの流れを重視した通史学習がある程度すすんだ段階で、教科書から社会経済史と文化史をピックアップしてテーマ史としてまとめてみましょう。史実をさらに明確に把握できるようになると得点力アップに直結してくるはずです。また、センター試験・日本史Aでは「近現代」が中心に出題されるため、近現代史の学習の際にはやや細かな知識にも留意するようにしましょう。
(5)東進の模試を活用しよう!
実践的な力を養っていくため、東進の「センター試験本番レベル模試」を積極的に活用してください。日本史Bではありますが、大問6題中2題は日本史Aとの共通問題を想定したものであり、何よりもセンター試験・日本史を知り尽した「プロ」により作題されますので、出題形式や難易度は完全に本番に合致しています。また、模試の『解答解説』を熟読することでこれまで気づかなかった知識の習得に大いに役立ちます。緊張感の高まる本番と類似した環境でどれだけ実力を発揮できるか、ぜひ「センター試験本番レベル模試」を活用してください。
大問数・設問数が大幅に変更、社会的関心度の高い問題が目立つ
大問数 | 減少 | 変化なし | 増加 |
設問数 | 減少 | 変化なし | 増加 |
マーク数 | 減少 | 変化なし | 増加 |
難易度 | 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 |
大問数5題、設問数32問となり、昨年度の大問数6題、設問数34問から大幅に変更され、日本史Bとの共通問題も、昨年度から大問の配置が変更された。過去問研究に力を入れていた受験生からみれば最初は戸惑ったかもしれないが、難易度は昨年並みである。
出題形式は、年代整序問題やXYとabの組合せ問題が増加し、逆に4文の正誤問題と空欄補充問題が減少した。また、史料や地図を利用した出題数はほぼ例年通りであったが、グラフや表の読み取り問題は減少し、図版を利用した出題が増加した。
出題範囲は明治初期から昭和戦後期、選択肢文から見た場合は1980年代まで広範囲に及び、日本史Aの「近現代重視」の傾向が顕著にあらわれていた。
分野は例年通り、政治・社会経済・外交・文化とバランスよく出題されていたが、今年度は多くの受験生が苦手とする、図版や史料をともなった社会経済史や近代文化史の出題がやや目立った。
それだけに受験生の間で得点差もややひらくことが予想される。多様な素材を用いた出題の傾向は変わらず、様々な視野から歴史を洞察する力が受験生に求められたといえよう。特筆すべきは第1問で「近代日本における洋装」をテーマに近代女性にスポットがあてられたこと、また、第2問で「明治期の地方制度」を主題に地方制度について、第4問で「日本とオリンピックのかかわり」など、近年、特に社会的関心度の高いトピックスが題材とされ出題されていたことである。
いずれにしても普段から日本社会の一員として、さらには世界を構成する一人の人間として、社会に関心をもち続けることの重要性に気づかされる問題だったといえよう。
年度 |
大問 |
出題分野 |
設問数 |
マーク数 |
配点 |
2016 |
第1問 |
近代日本における洋装(会話文) |
6 |
6 |
20 |
第2問 |
明治期の地方制度 |
4 |
4 |
12 |
|
第3問 |
近代日本における動物と人間との関係 |
6 |
6 |
19 |
|
第4問 |
日本とオリンピックとのかかわり |
8 |
8 |
24 |
|
第5問 |
大正期以降の日本における人々の労働 |
8 |
8 |
25 |
|
2015 |
第1問 |
日本の産業革命に関する調査報告 |
3 |
3 |
8 |
第2問 |
幕末維新期の政治・社会 |
6 |
6 |
18 |
|
第3問 |
明治期の立法機関 |
4 |
4 |
12 |
|
第4問 |
近代の人口調査 |
5 |
5 |
15 |
|
第5問 |
林芙美子とその時代 |
8 |
8 |
23 |
|
第6問 |
第一次世界大戦期から高度経済成長期にかけての日本の商社 |
8 |
8 |
24 |
|
2014 |
第1問 |
メディアの歴史 |
3 |
3 |
8 |
第2問 |
近世後期から明治初期の政治・社会 |
6 |
6 |
18 |
|
第3問 |
明治期の租税制度 |
4 |
4 |
12 |
|
第4問 |
明治期の宗教と社会 |
5 |
5 |
15 |
|
第5問 |
手塚治虫とその時代 |
8 |
8 |
23 |
|
第6問 |
1920年代以降の日本の政治・外交 |
8 |
8 |
24 |
|
2013 |
第1問 |
東京・上野の歴史 |
3 |
3 |
8 |
第2問 |
幕末から明治初期の政治・外交 |
6 |
6 |
18 |
|
第3問 |
明治期における特許制度 |
4 |
4 |
12 |
|
第4問 |
明治期の歴史学の展開 |
5 |
5 |
15 |
|
第5問 |
20世紀の日本における軍事と政治・経済・社会とのかかわり |
8 |
8 |
23 |
|
第6問 |
昭和期の社会・文化 |
8 |
8 |
24 |
過去の平均点の推移
2015 | 2014 | 2013 | 2012 | 2011 |
---|---|---|---|---|
45.64点 | 47.70点 | 41.64点 | 48.74点 | 52.01点 |