大学入試センター試験

センター試験 1日目解答

地理歴史

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公民

現代社会 倫理 政治・経済 倫理、政治・経済

国語

国語 

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センター試験 2日目解答

理科1

物理基礎 化学基礎 生物基礎 地学基礎 

数学1

数学I 数学I・数学A 

数学2

数学II 数学II・数学B 

理科2

物理 化学 生物 地学 

全体概観

思考力を試す出題が増加。図版・グラフをともなう設問が復活した。 


難易度
易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化  

大問数5題、設問数32問はともに昨年度と同様で、日本史Bとの共通問題の配置(第2問・第4問)にも変更はなかった。リード文では、合唱や浮世絵師の伝記など日本史Aらしい独創的なテーマが設定されていたが、過去問を何度も確認してシミュレーションを万全におこなった受験生にとっては、比較的解答しやすかったと思われる。

昨年の日本史Aでは、図版などの視覚資料をともなう出題がみられなかったが、今年は復活し、写真や資料を読み取らせて思考力・分析力を試す出題もみられた。図版や史料など視覚資料に慣れてない受験生は苦戦を強いられたと考えられる。過去問では定番であった地図をともなう問題については、今年は出題されなかった。

出題形式は、空欄補充問題・年代整序問題・正誤判定問題などがバランス良く出題された。過去問では定番であった地図をともなう問題は出題されなかったが、図版・グラフ・史料を読み取る問題では、習熟度の違いにより受験生の間で得点差が生じたと考えられる。

出題範囲は、昨年同様、近世後期から戦後まで幅広く出題されたが、昨年度減少した明治史の比重が増えた。戦後は1990年代にまで及んでおり、網羅性を重視した学習が重要であることを改めて認識すべきだろう。分野は政治・外交・社会・経済・文化とすべての主要テーマに及んでいたが、政治史の比重が高まり、文化史が減少したため、受験生にとっては比較的取り組みやすい分野構成となった。また、「働き方改革」など昨今の時事的な話題を反映して、労働問題やそれにともなう社会史の問題も出題された。このテーマは多くの受験生が苦手とする範囲であるので、この分野を着実に正解できた受験生は高得点を確保できたであろう。

年度 大問 出題分野 設問数 マーク数 配点
2019 第1問 歴史のなかで音楽が果たした役割(会話文) 6 6 20
第2問 近世・近代における公家と華族 4 4 12
第3問 明治の浮世絵師・小林清親 6 6 19
第4問 近現代の日米関係 8 8 24
第5問 近現代の港湾 8 8 25
2018 第1問 紙幣に描かれた肖像・経済政策(会話文) 6 6 20
第2問 幕末から明治維新にかけての軍制改革と西洋医学 4 4 12
第3問 近世後期から近代における言論活動や表現活動 6 6 19
第4問 石橋湛山 8 8 24
第5問 近現代日本の流通業 8 8 25
2017 第1問 妖怪と現代科学(会話文) 6 6 20
第2問 幕末から明治期の大坂(大阪) 4 4 12
第3問 政治家 三島通庸 6 6 19
第4問 近現代の公園 8 8 24
第5問 昭和期の経済・社会 8 8 25
2016 第1問 近代日本における洋装(会話文) 6 6 20
第2問 明治期の地方制度 4 4 12
第3問 近代日本における動物と人間との関係 6 6 19
第4問 日本とオリンピックとのかかわり 8 8 24
第5問 大正期以降の日本における人々の労働 8 8 25
2015 第1問 日本の産業革命に関する調査報告 3 3 8
第2問 幕末維新期の政治・社会 6 6 18
第3問 明治期の立法機関 4 4 12
第4問 近代の人口調査 5 5 15
第5問 林芙美子とその時代 8 8 23
第6問 第一次世界大戦期から高度経済成長期にかけての日本の商社 8 8 24

過去の平均点の推移

2018 2017 2016 2015 2014
46.19点 37.47点 40.81点 45.64点 47.70点

設問別分析

第1問 歴史のなかで音楽が果たした役割(会話文)
第1問は昨年同様に、会話文形式で出題された。「合唱」という特殊なテーマ設定で、その時々に流行した音楽の時代背景を考察させる内容となっていた。独創的なテーマであるが、設問自体の内容は基礎力を試す問題が大部分を占めた。

問1 芸能に関する空欄補充(語句選択)問題。作曲家「滝廉太郎」と新劇運動の「島村抱月」を比較させる問であった。空欄イは内容的に易しかったので、迷わずに解答を出せたであろう。

問3 「歌詞」の内容から世相を読み取る史料の読解問題。(注)をしっかり分析して、史料の内容にあてはめて考える問題だった。

問6 写真から、年代順を判断する年代整序問題。形式的には珍しい問題設定だが、I・II・IIIの写真の説明から判断できる基礎的な内容なので、確実に得点したい。


第2問 近世・近代における公家と華族
日本史B(第5問)との共通問題。かつては、テーマ的に難易度の高いものが目立ったが、今年も比較的取り組みやすいテーマ(「近世・近代における公家と華族」)が取り上げられた。形式面では、昨年に続き史料や視覚資料を用いた問題が1問も出題されなかった。また、昨年と同様の範囲である「幕末から明治維新」が出題され、井伊直弼・孝明天皇・廃藩置県など同一用語も多く、過去問演習を徹底していれば容易に解答できたと思われる。

問1 幕末・維新期の歴史用語や、やや区別のつきにくい歴史用語の判断が求められている。理解を優先して学習を続けていた受験生にとっては易しいが、単純に用語を暗記する作業を繰り返していた受験生は苦戦したかもしれない。

問3 「明治初期の東京」は、2020年に東京オリンピックを控えていることを考えると、時事的要素も意識した設問といえる。


第3問 明治期に活躍した浮世絵師・小林清親
第3問は明治期に活躍した浮世絵師・小林清親が生きた時代がテーマだった。昨年の人物史は日本史Bと共通問題として第4問で「石橋湛山」が出題されたが、今年は人物史が日本史Aで単独でみられた。政治史が少なく、労働問題を中心とした社会経済史や文化史・女性史とバリエーションに富んだ出題であった。

問2 明治初期の生活様式や思想の変化に関する正誤判定問題。煉瓦造りの建物や、ガス灯は文明開化の象徴である。また、「福沢諭吉」の事績を問うた基礎的な内容であった。

問4 風刺雑誌『団団珍聞』に掲載された風刺画と資料を分析する問題。「足尾」から「田中正造」を判断することは容易だか、史料の内容は設問文や(注)に留意しながら注意深く判断する必要があった。


第4問 近現代の日米関係
日本史B(第6問)との共通問題。第4問は、これまで、人物史とテーマ史の2パターンがあった。今年は、テーマ史(「日米関係」)として出題された。日米関係は頻出テーマの一つであるため、多くの受験生が安心して取り組むことができたと思われる。

問2 大久保利通(2017年第5問)、吉田茂(2018年)に引き続き、人物(幣原喜重郎)に関する設問が出題された。著名な政治家については、情報を整理しておきたい。

問3 広いスパン(明治期から昭和終戦直後まで)を対象とする設問。2015年度第1問では、海外移住者をテーマとする設問が出題されていた。過去問にしっかり取り組んでいた受験生は有利だっただろう。

問4 「抑制する」、「増加させる」、という歴史用語ではない語句の選択が求められている。用語を暗記しているかではなく、理解しているかを問う設問だった。

問6 昨年引用された史料(石橋湛山「池田外交路線へ望む」)は長文だったので、読解に時間が不足して焦った受験生もいただろう。今年の史料は引用部分が少なかったので昨年よりも取り組みやすかった。プレス=コードについて理解していれば読解の一助となったと思われるが、読解問題としては注も少なく、正誤判断のしやすい設問だった。


第5問 近現代の港湾
日本史Aは昨年度同様、第5問が最終問題であり、設問数も8問と変更はなかった。
日本の「港湾」を題材としながら、産業革命・貿易・労働・公害など多岐にわたる内容が問われた。社会経済史が中心で、政治史を真正面から扱った出題は少なかった。昨年にはみられなかった、グラフ・表を用いた問題が問8で復活した。
日本史Aは時事的な内容が盛り込まれる傾向が強い。今年度は、政府が推奨する「働き方改革」を意識しての出題といっていいだろう。

問4 人物の事績を問う内容。それぞれ、選択肢の人物は活躍した時期が異なっており、あまり時間をかけずに解答できたと考えられる。また、「学問・文学」に関する出題とはいえ、大正時代の労働問題が深く関連しているので、第3問の問4・問5と類似している内容といっていいだろう。なお、プロレタリア文学は、日本史B・第1問の問6でも出題された。

問7 戦後に日本が加盟した世界経済に関する機構についての設問。池田勇人内閣が推進した経済政策についての理解が問われている。

問8 統計表の数値や国名から、その地域について考察させる内容。国名を見て、どの国がアジアNIESに含まれているかを判断するなど、現代の世界に関する基礎知識の重要性を示唆している問題だった。
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