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大学受験の東進ハイスクール
涙の体験記


ライバル意識が、いつしか絶対的信頼感に!二人で突破した本命校の壁


あいつには負けたくない!閉館時間まで競い合った


 中野武と宮崎大海は、埼玉県立川越高校の弓道部で出会った。
 「川高(カワタカ)の弓道部は強い!」
巷の評判どおり、県大会での成績は新人戦優勝、準優勝2回。もちろん、高3・6月のインターハイ県予選も本気で“優勝”するつもりだった。
 弓道の団体戦は、3〜5人のメンバーが1本ずつ矢を放って1ゲーム。4ゲームの合計点で勝敗を競う。最大のポイントはチームの流れをいかに作っていくか、だ。
 本番に強い中野がスタートで「いい波」を作り、チーム全体がその流れに乗っていく。途中で誰かがつまずいても、部長の宮崎が5本目で食い止めて、次のゲームにつなぐ。当日の結果は、決勝リーグまであと1歩のところで惜しくも敗退。
 だが、3年間、思いっきり弓道を楽しんだ中野と、「高校時代は部活!」と心に決めて黙々と練習に励んだ宮崎。後悔は微塵もなく、二人の表情はさわやかだった。

 部活引退後、中野はすぐに受験勉強に集中することができた。
 高2の冬から東進ハイスクールに通っていた中野。半年間、部活と受験を両立してきた彼にとって、気持ちの切り替えは難しいことではなかった。
 「夕方まで部活をしてから東進に行き、授業を受けるのが当たり前になっていた。きつくなかったと言えば嘘になるけど、勉強の成果がすぐに見えたので、精神的にいい状態で、前向きに取り組むことができたんです」
入学後の2か月で『難度別システム英語』の文法編IIとIVを高速学習。その結果、学校の実力テストの順位がいきなり100番以上アップした。
 一方、宮崎は部活を引退したことで精神的に追い詰められる。それまで全く受験勉強をしていなかった宮崎。というより、性格的に「一つのことに集中したい」ため、“両立”という発想そのものがなかったのだ。
 「恥ずかしい話ですが、部活をやめて、はじめて“現実”が見えたんです。周りは必死で受験勉強しているんだって」
 「予備校でも行く?」という母の言葉に、宮崎が真っ先に思い浮かべたのは東進ハイスクールだった。既に東進に通っている同級生から、短期間で追いつける「高速学習」についてさんざん聞かされていたのだ。
 中野は、はじめて宮崎が東進で勉強していた時のことをはっきりと覚えている。
 「ある日、ホームクラスに行ったら、いきなり宮崎がいたんです。しかも、むちゃくちゃ集中して」
 中野は一瞬、宮崎に嫉妬した。普通なら、勉強する習慣なしに長時間、集中することは不可能だ。だが、宮崎は初日から閉館時間までほとんど席を立つことなく、黙々と授業を受け続けた。 「負けたくない!こいつにだけは」
 以来、中野は東進に行くとまず、宮崎の姿を探した。閉館時間まで勉強し、二人で一緒に帰るのが日課になった。





ひたすら量をこなした夏と勝ち負け以外の喜び


 「負けたくない・・・」。それは宮崎も同じだった。スタートが遅いことは現役合格では致命傷だ。だが、最高のライバルを得た宮崎は『難度別システム英語 文法編V』など4講座を次々と自分のものにしていった。
 一人では越えられないハードルも、二人なら簡単に飛び越えてしまう。
 夏になると宮崎は、文字どおり寝る間を惜しんで、受験勉強に全身全霊を傾けた。朝9時から夜10時までほとんどぶっ通しで机に向かう毎日。帰宅後もさらに4時間の自宅学習を続けた。
 スランプに陥っていた中野も、宮崎の姿に俄然やる気になった。
 「成績が順調に伸びていたこともあり、気が緩んでいた。宮崎がいなかったら、大切な夏を棒に振るところだった」
 また、この頃から二人の心境に少しずつ変化が見えてきた。勝ち負けとは別の喜びが芽生えはじめたのだ。
 「人類学や社会学の領域まで話が広がっていく内容に、英語への見方が変わりました」。
 横山雅彦先生の授業の衝撃を中野はこう表現する。
 一方、宮崎も、清水雅博先生の政経で“社会の仕組み”を意識するようになった。
 「政治や経済って勝手に動いているみたいな印象だったけど、自分達の手でコントロールできるんだって思うようになりました」
かつて中野がそうだったように、宮崎が東進で勉強した手応えを感じるまで、それほど時間はかからなかった。1学期の校内実力テストで203位だった宮崎は、2学期に69位まで順位を上げた。ところがその直後、宮崎の前に大きな壁が立ちはだかる。
 秋のセンタープレ入試の得点が夏より大幅にダウン。理由はスピード不足だった。良くも悪くも完ぺき主義。見たことのある問題が解けないと、悔しくてそこから進めなくなってしまう宮崎に、中野は言った。
 「割り切って先に進むんだ。受験に必要なのは満点を取ることじゃない。合格点を取ることなんだから」





一人じゃないという安心感。チーム戦のような本番入試


 年が明けて、センター試験受験後、いよいよ決戦の時がやってきた。
 宮崎は本命の早稲田・政経ほか7つを受験。中野は第一志望の早稲田・商を含む5つの入試を受けることにした。
 中野の言葉で、宮崎はすべての問題文にざっと目を通して、効率の良い解き方を探るようになっていた。この頃には、過去問演習で時間内に解答するコツがすっかり身についていた。
 宮崎と中野は試験期間中も東進のホームクラスで受験勉強を続けた。入試で解けなかった問題があれば持ち寄って、一緒に考え、次の試験に備えた。
 戦いは常に孤独なものだ。努力すればするほど結果が出なかった時のことが怖くなる。重圧に眠らない夜もあった。
 だが、「一人じゃない!」という感覚が二人を支えた。それは、個人戦でありながらチーム戦でもあった弓道の試合を思い起こさせた。
 本命の早稲田大学・商学部を受験の帰り、中野は宮崎を誘ってラーメンを食べに行った。あとは二人とも社会学部の受験を残すのみ。
 「とりあえず、ヤマは超えたな」
 「オレ、全然自信ない。どうしよう?」。
 「その時はその時さ」。
 「そうだな」。
 「そうだよ」。
二人の心は穏やかだった。

 まだ、少し寝ぼけている中野のもとに3文字のメールが届いた。
 「政経!」
 合否の結果がわかるたびに、報告し合っていた二人。中野はすぐにその意味がわかった。「おめでとう!」。自分のことのように喜んだ中野は返信後、複雑な気持ちになった。
 明日は第一志望、早稲田・商の発表日だ。宮崎が本命に受かり、あいつよりも半年も前から勉強してきた自分が不合格だったら・・・。その時も心から笑って、会えるだろうか。
 翌日。発表時間の30分前から、中野は自宅のリビングの電話の前にいた。せっぱ詰った表情をしていたのだろう。普段は決してやさしいことを言わない兄が声をかけた。
 「大丈夫だよ。きっと、受かってる」。
 長い長い30分だった。11時になると、中野は受話器を取った。電話の案内にしたがって、震える手で受験番号を押す。心臓が激しく波打った。
 <ゴウカク・・・>。
 その最初の4文字を聞いた瞬間、不覚にも中野の目から涙がこぼれた。泣きながら宮崎にメールを送った。
 「早大商!」。
 すぐに返事が返ってきた。
 ・・・・「おれも」。
 ちきしょう。あいつ、両方受かりやがって!!愛すべき強敵。
 中野は、弓道部の仲間で計画した春休みのスノボー旅行のことを思ってワクワクした。





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