国語
全体概観
昨年から設問数は2つ減り、マーク数は3つ増えた。 第1問は評論。新傾向として、問5で生徒の「学習の過程」に即した空欄補充問題が出題された。 第2問は大正期の小説とそれに関する批評文からの出題。 第3問の古文は歴史物語の『栄花物語』が出題された。歴史物語の出題は、25年ぶり。 第4問の漢文は五言古詩と短い漢文から出題された。
大問数 |
減少
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変化なし
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増加
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設問数 |
減少
-2 |
変化なし
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増加
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マーク数 |
減少
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変化なし
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増加
+3 |
難易度 |
易化
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やや易化
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昨年並み
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やや難化
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難化
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第1問の評論は、日本の中世から近代にかけての「妖怪観」の変遷を論じた文章。問1の漢字は従来通りの形式だが選択肢は1つ減。問2~問4は、比較的狭い範囲の理解を問う設問で、選択肢も長くない。問5は新傾向。生徒の「学習の過程」に即して本文の理解を深めていく設問。
第2問の小説は、主人公の「私」が、羽織と時計を友人から贈られたときの、友人と彼の妻への思いを扱ったもので、読みやすい内容。最後の問6は新傾向の設問で、作者の意図と、資料として提示された評者の見解の違いを考察するものになっている。
第3問の古文は、25年ぶりの出題となる歴史物語。本文の長さはセンター試験の平均よりもやや少ない900字程度。古文の本文は一つで、問5に和歌の説明文(現代文)が組み込まれている。問5以外の設問形式はほぼセンター試験と変わらなかった。センター試験でもよく出された和歌に関する内容読解や、複数の和歌の解釈を正確にするには十分な読解力が必要とされる。文法や敬語に関する独立した設問はなかった。
第4問の漢文は、【問題文Ⅰ】に欧陽脩の22句の古詩(古詩の出題は昨年のセンター試験に続いて二年連続)、【問題文Ⅱ】に『韓非子』という、二つの素材の組み合わせであった。設問形式は、語の意味、返り点のつけ方と書き下し文との組み合わせ、傍線部の解釈、内容説明など、例年と変わりなく、詩のきまりの押韻がらみの問題も昨年に続き出題された。設問数は昨年同様6であったが、マーク数は9に増えた。
国語全体としては、やや難化。
年度 | 大問 | 出題分野 | 設問数 | マーク数 | 配点 |
2021 | 第1問 | 評論: 香川雅信『江戸の妖怪革命』 ※設問中に芥川龍之介「歯車」 | 5(-1) | 12(+1) | 50 |
第2問 | 小説:加能作次郎「羽織と時計」 ※設問中に宮島新三郎「師走文壇の一瞥」 | 6 | 9 | 50 | |
第3問 | 古文: 『栄花物語』 ※設問中に『千載和歌集』 | 5(-1) | 8 | 50 | |
第4問 | 漢文:欧陽脩『欧陽文忠公集』『韓非子』 | 6 | 9(+2) | 50 | |
2020年以前はセンター試験 | |||||
年度 | 大問 | 出題分野 | 設問数 | マーク数 | 配点 |
2020 | 第1問 | 評論:河野哲也『境界の現象学』 | 6 | 11 | 50 |
第2問 | 小説:原民喜「翳」 | 6 | 9 | 50 | |
第3問 | 古文:『小夜衣』 | 6 | 8 | 50 | |
第4問 | 漢文:『文選』謝霊運の詩 | 6 | 7 | 50 | |
2019 | 第1問 | 評論:沼野充義『翻訳をめぐる七つの非実践的な断章』 | 6 | 11 | 50 |
第2問 | 小説:上林暁「花の精」(『星を撒いた街』) | 6 | 9 | 50 | |
第3問 | 古文:『玉水物語』 | 6 | 8 | 50 | |
第4問 | 漢文:『杜詩詳註』 | 7 | 8 | 50 | |
2018 | 第1問 | 評論:有元典文・岡部大介『デザインド・リアリティ-集合的達成の心理学』 | 6 | 11 | 50 |
第2問 | 小説:井上荒野「キュウリいろいろ」 | 6 | 9 | 50 | |
第3問 | 古文:本居宣長『石上私淑言』 | 6 | 8 | 50 | |
第4問 | 漢文:李燾『続資治通鑑長編』 | 6 | 8 | 50 | |
2017 | 第1問 | 評論:小林傳司「科学コミュニケーション」 | 6 | 11 | 50 |
第2問 | 小説:野上弥生子「秋の一日」 | 6 | 9 | 50 | |
第3問 | 古文:『木草物語』 | 6 | 8 | 50 | |
第4問 | 漢文:新井白石『白石先生遺文』 | 6 | 8 | 50 |
【参考】過去の平均点の推移
2020 | 2019 | 2018 | 2017 | 2016 | 2015 |
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119.33 | 121.6 | 104.7 | 107.0 | 129.4 | 119.2 |