異文化発見!
〜南アフリカ(Republic of South Africa)
・NGO(Non-Governmental Organizations)活動編〜
このコラム(column)では、毎回いろいろな方に、さまざまな国で実際に体験したおもしろい習慣や文化を語っていただきます。日本の常識は世界の非常識!? 世界はやっぱり広い!と感じずにはいられないコラム(column)です。東進のOB・OGやスタッフ(staff)に、東進の海外特派員となって世界中で体験してきた貴重なエピソード(episode)を、積極的に披露していただきます。今回は『TOSHIN TIMES』の特派員として現在活躍中の、笹田 拓志くんに南アフリカ(Republic of South Africa)でのNGO※活動について語ってもらいます。
※人権、環境、開発、平和などの問題に取り組む非営利の民間組織のこと。
笹田 拓志(ささだ たくし)くん
国際基督教大学 教養学部 社会科学科
(College of Liberal Arts, Division of Social Science) 4年
福岡県立 修猷館高校卒
「TOSHIN TIMES」特派員
大学では経済学と国際政治学を専攻し、現在は日本の社会保障制度についての卒論を執筆している笹田くん。来年の4月からは大学院へ進学し、日本のさまざまな政策について研究する予定だそうです。
南アフリカ共和国
(Republic of South Africa)
首都: プレトリア(Pretoria)
人口: 4,690万人 ※2005年時
言語: 英語、アフリカーンス語(Afrikaans)、バンツー諸語(Bantu languages)、
(ズールー語(Zulu)、ソト語(Sesotho)ほか)の合計11が公用語
宗教: キリスト教(Christianity)、ヒンズー教(Hinduism)、イスラム教(Islam)
時差: -7時間
農作業を教えているNGO。南アフリカ(Republic of South Africa)では多くの人がNGO活動に従事しています。
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私が学ぶ国際基督教大学では「サービス・ラーニング(Service Learning)」と呼ばれる課外活動を実施しています。これは、米国の大学で広範に実施されている活動であり、講義で学んだ知識や理論を世界中のフィールド(field)で実践することで、行動力や問題解決力を高めるのがねらいのプログラム(program)です。国際基督教大学では、海外の大学や教育機関とも連繋した「国際サービス・ラーニング(International Service Learning)」を行っています。
▲グラハムズタウン(Grahamstown)で一番大きな大学、ローズ(Rhodes)大学。3週間滞在しました。
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ここでは、2006年の6月〜7月にかけて、南アフリカ(Republic of South Africa)でのサービス・ラーニング(Service Learning)に参加したときの経験をお話します。南アフリカ(Republic of South Africa)は90年代に、少数の白人が多数の黒人を支配した人種隔離政策であるアパルトヘイト(Apartheid)が撤廃され、黒人初の大統領であるマンデラ(Mandela)政権が誕生しました。そうした経験を経たこの国が、半世紀にわたる人種差別という不幸な過去を乗り越え、新しい国づくりにどのように取り組んでいるのかに興味を持っていたことが、参加した理由のひとつです。
▲グラハムズタウン(Grahamstown)の中心部。ヨーロッパ(Europe)のような街並です。
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全部で5週間の活動期間のうち、初めの3週間は東ケープ(East-ern Cape)州のグラハムズタウン(Grahamstown)という地方都市に、残りの2週間はケープタウン(Cape Town)に滞在しました。今回のプログラム(program)では、アメリカ(the United States)から 19名、現地・南アフリカ(Republic of South Africa)から11名、日本からは私を含め6名の計36名が参加しました。
この3カ国の学生たちが、グラハムズタウン(Grahamstown)の抱える問題の解決に取り組むために、NGOの運営について学びます。個々のチーム(team)を擬似NGOに見立て、解決策の提案をレポート(report)にまとめたのち、最後に地元メディア(local media)に報道発表しました。
▲共に地域の問題について考えて行動した、チームメイト(teammate)たち。(一番右が笹田くん)
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私は、アメリカ人(American)学生2人、南アフリカ人(South African)学生2人と一緒にチーム(team)を組みました。南アフリカ(Republic of South Africa)の学生は一人が入植者の子孫である白人の女性、もう一人が地元部族の黒人の男性です。アパルトヘイト(Apartheid)の時代は、グラハムズタウン(Grahamstown)は白人だけの町で、黒人は町に入ることさえ許されていませんでした。コーサ(Xhosa)族と呼ばれる現地の黒人たちは、アパルトヘイト(Apartheid)が廃止される直前、行列をなしてグラハムズタウン(Grahamstown)に入っていったという逸話があります。そのとき彼らは暴力で訴えることなく、自分たちの権利を歌で主張したのだとチームメイト(teammate)が教えてくれました。今では白人、コーサ(Xhosa)族共に地域に欠かすことのできない隣人です。白人女性のチームメイト(teammate)は、地元の言語であるコーサ(Xhosa)語を勉強しているのだと教えてくれました。
▲町のNGO運営者を訪ねて、NGO運営についてインタビュー(interview)。
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そんな私たちのチーム(team)が取り組んだ課題は、児童の母国語教育の改善でした。グラハムズタウン(Grahamstown)では、黒人の児童の多い地域でも、小学3年生になると学校での授業がすべて英語に切り替えられてしまいます。コーサ(Xhosa)語教育も十分でないのに、日常の言葉でない英語を強要されることで、中学・高校で中退者が出る原因となっていることがわかりました。そこで私たちは、放課後にコーサ(Xhosa)語教育を行うNGO活動を提案しました。
▲町の図書館で。コーサ(Xhosa)語の本はこの本棚一つ分だけ。ここにも改善の余地があります。
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とはいえ、3週間という限られた期間で、私たちにできることは提言することのみ。この提言を基に実際にNGO活動が始められるような、具体的な計画を目指しました。チーム(team)の中でコーサ(Xhosa)語を母語とする者が一人しかいなかったので、コーサ(Xhosa)族のNGO運営者を訪ねて、児童の母国語教育を行う活動について検討をお願いしました。私たちから「地域の問題は、地域の人々の力で解決するのが最良です。ぜひコーサ(Xhosa)語の先生として、あなたの力を貸してほしい」とお願いしたところ、「私自身、学校の教育から多くを学びました。子どもたちの豊かな未来のために、できることがあれば手伝います」と支援を約束してくださいました。「計画が実現した際はぜひ見に来てほしい」との言葉をいただいたことも忘れられません。教室となる場所も、町の中心にある教会に、使用許可の承諾を得ました。授業に必要なノート(notebook)と筆記用具は、初期段階はこの活動に賛同するメンバー(member)の寄付という形に決めました。
結局のところ、私たちが実現できたのは、すでにあるさまざまな資源を、NGO活動のために一つに統合することくらいでした。でも、無から一つの活動を生み出すという行為は、大変なエネルギー(energy)が要ることだと知りました。すでにあるものを一捻りしたアイデア(idea)で有効利用すること。それによって地域社会がよりよい方向へ向かう可能性が生まれます。とても小さな取り組みでしたが、自分の関わることができる活動を発見できたのは大きな収穫でした。
▲最終日、地元メディア(local media)への報道発表当日。緊張の一瞬です。(左から2番目が笹田くん)
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よく発展途上地域の開発というと、水道施設の充実や、学校の建設などが連想されます。もちろん、インフラ(infrastructure)の整備は生活の向上に欠かせないものです。しかし、それだけでなく、人間の能力の開発は、物質面の開発と同じくらい重要なのだということに気づきました。たとえ小さなことでも、自らの力で変えていけることがあるなら、一歩を踏み出してみる。そうした姿勢をグラハムズタウン(Grahamstown)での3週間から学び取ることができたのは、とても意味のある経験だったと感じています。