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学習アドバイス

数学 河合正人の学習アドバイス

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数学 河合正人

延べ20万人以上の生徒を指導し、数多くの締切講座を記録する予備校界を代表する講師。本物のプロ意識で指導し、第一志望校に合格した受験生は多数。作問者の考えにまで及ぶ「流れを大切にする」授業では、心底から数学の面白さを体感することだろう。『センター数学分野別問題集』(東進ブックス)では、研究し尽くされたデータ分析が絶大な人気を獲得し、高校教材としても採用される。

アルキメデスに挑戦!円周率πの評価にトライ!

<以下web限定>

東京大学の数学の傾向として、今回の学習アドバイスで取り上げたように普段何気なく使っているものについて「なぜ?」を問う内容が多い。

教える側としては、この問題が何を聞いているかに興味があります。無理数πはもともと、永久に計算が終わらないものです。この数値をできるだけ長く覚えるのが賢いのではなく、なぜその数を調べようとしたのかが重要なのです。

正三角形ではさんで比べると誤差が大きい。正四角形や正五角形、正六角形のほうがより正確になっていく。正確な値にどう近づけるか。数学ではこれを評価といいます。これに最初に取り組んだのがアルキメデスです。円周率を正96角形で評価しようとした。すごいと思いませんか? 計算機で確かめるとかなりの精度です。数学者が図形で表現しようとしたのに対して、生徒は数字で覚えようとしますが、受験のための数学ではなく、数学史の視点でみると、とても面白い。

正96角形よりも正多角形にすればもっと正確になるかもしれませんが、計測の限界だったのでしょう。昔の数学者は、予想はするが計測はしませんでした。一定の割合で円周率になるはず、それをπと名付け求めていこうとしました。細かく求めていけば極限に達していきますが、この見えない値を計測ではなく表現する。これが数学の根本的な考え方です。

今回使用した計算は高2生までに習うものばかりです。ほとんどは基礎、中学生でもわかるレベルで、東大の求めている「何か」を知るには良問です。テクニカルな、数学Ⅲに出てくる解法をたくさん使うような問題はかえって簡単といえます。自分で自由に考えなさいという意図で、決められたフォームでは測れない学力を試す問題です。こういった問題は、高2生にはジレンマがあります。典型問題をある程度の分量解いて、時間をかけて覚える必要があり、さらに解くだけではなく「なぜ?」を常に考えなければならないからです。

つまずきに学力を伸ばすポイントがあり、迷いや悩みこそ成長の糧となります。計算ひとつとっても失敗を実感することが大事。時間がタイトな現役生には大変ですが、やってみる試行錯誤、失敗こそ真のアクティブラーニングといえます。じっくり考えることで、数学の学力に深みが出るのです。

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