人類は孤独な存在ではない その確率とは
「宇宙人はいるのか」。そんな疑問を抱いたことがある人は多いでしょう。「宇宙人」の定義そのものが曖昧なので、残念ながら正確な解答は導けません。ただ、私が取り組んでいる惑星研究では、生命を育む惑星が存在する可能性が見出されています。
高校生の皆さんはすでに勉強したと思いますが、自らの核融合で光る太陽は恒星に属します。次に、恒星の周囲を回り、自ら光を発しない水星や金星、我々の地球などは惑星でしたね。そして、太陽系のような恒星と惑星の連なりを「惑星系」と呼んでいます。
夜空に輝く惑星系の中で、海を持つ惑星が存在する確率は、10%程度あると考えられています。海は生命を育むものですから、宇宙の約10%の惑星系に生命が存在する可能性があるということなんです。
天文学研究の両輪を成す 観測と理論
天文学の研究は、大きく分けて二つの方法で成り立っています。実際に望遠鏡を使って惑星を観測することと、発見された惑星の実態を検証して、新たな可能性を提示することです。私は発見された惑星について合理的に説明をする、理論分野の科学者です。例えば、ある観測の科学者が、新しい惑星Aを発見したとしましょう。我々は、その惑星系の恒星の明るさや大きさ、恒星から惑星Aまでの距離や重さをもとに、惑星Aがどのように形成されたのかをコンピュータ(computer)で検証実験を重ねます。さまざまな可能性をプログラミング(programming)するので、答えとなる可能性は一つではありません。そして、我々が出した可能性を確かめるべく、観測をする科学者が次の観測段階に進みます。
1940年代以降、科学者たちは太陽系以外の惑星系の存在を信じて、プラネットハンティング(planet hunting)と呼ばれる惑星探しに挑戦してきました。しかし、50年以上も惑星系を発見することができずに諦めかけていた1995年。遂にスイス(Switzerland)の観測チーム(team)が、ペガサス座(Pegasus)51番星に惑星があることを発見したんです。それが、太陽系の惑星では考えられない異形の惑星「ホット・ジュピター(Hot Jupiter)」を含む惑星系だったのです。
HotでEccentricな異形の惑星たち
「ホット・ジュピター(Hot Jupiter)」が異形の惑星と呼ばれるには、驚くべき理由があります。例えば太陽系の場合、太陽の近くに水星や金星、地球などの岩石でできた惑星があり、その外側を木星や土星のガス(gas)型惑星が浮かんでいます。惑星は、宇宙に漂う塵とガス(gas)が集ってできたものですから、外側にある木星が地球の約300倍もの重さになれたのは、広い範囲から材料物質を集められたからなんです。
しかし「ホット・ジュピター(Hot Jupiter)」は、木星程度の大きさのガス(gas)型惑星であるにもかかわらず、恒星の至近距離で回っている。しかも、恒星の強力な重力を振り切るために、数日で1周という高速で回っている。太陽系でいうと、木星が太陽のすぐ近くを高速で回っているイメージ(image)です。
加えて「エキセントリック・プラネット(Eccentric Planet)」という、軌道が変わった惑星も発見されました。太陽系の惑星は綺麗な円軌道で回っていますが、「エキセントリック・プラネット(Eccentric Planet)」は、歪んだ楕円軌道で回っていました。水星のように太陽に近づく時期もあれば、海王星や冥王星くらい遠くまでいく時期もある。そのため、灼熱と極寒が訪れ、生命が暮らすには過酷な惑星です。科学者たちは、太陽系の形成モデル(model)が絶対ではないことを知りました。
これまでの正しいこと≠これからの正しいこと
研究は一人で行うばかりでなく、ときには世界中の科学者たちとチーム(team)を組んで行います。自分とは異なった得意分野を持つ科学者と共に研究することは、最も効率的なことですね。お互いの弱点を補強し合い、一人では成しえなかったことが実現できるんですから。ライバル(rival)として競争することもありますが、決して敵ではなく、時代を越えて知識を積み上げていく仲間といえるでしょう。これは科学の強みであると同時におもしろさでもあります。
そして、2007年には「生命がいるかもしれない地球型惑星」が発見されて大きなニュース(news)になりました。地球とは似ても似つかない性質も多いのですが、海が存在する可能性は否定できません。ということは、生命が育まれている可能性も否定できない。
次々と新たな惑星系が発見されている今、私はとにかく目の前に提示された謎を解明したい一心で研究に取り組んでいます。惑星研究において、将来の進展の予測なんかがわかったら楽しくありません(笑)。研究がどう進展していくのか、どんな惑星があるのか、わからないからおもしろい。ときには、固定概念が新しい発見を邪魔することがあります。これまでの正しいことは、これからの絶対ではありません。これからも、科学をツール(tool)にこの世界の謎に迫りたい、そう考えています。