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東進タイムズ2008年2月1日号
第25回
Nothing venture, nothing win.
大岩 秀樹 先生 (英語)
大岩 秀樹 先生[英語]
先生の情熱と若さあふれる授業は、英語アレルギーの生徒でさえ英語好きに、そして得意科目にしてくれる。また、『英文をカタマリで読み解く』『本物の基礎力にこだわった明るく楽しい』授業は、幅広いレベルの受験生から大好評! 「知らず知らずのうちにどんな問題にも通用する本物の力が身につく!」と評判の気鋭の講師。
Nothing venture, nothing win.

この言葉を初めて知ったのは中学3年生の頃です。私のクラスの担任の先生が、テレビドラマの金八先生を本気で尊敬する、絵に描いたような「熱い先生」(笑)。クラスで問題が起きたり、何かに悩んでいる生徒がいるとこの言葉で励ましてくれました。直訳すれば「冒険がないところには勝利もない」、日本語でいうと「虎穴に入らずんば虎子を得ず」に当てはまります。でも私はこの言葉を「何かを犠牲にしなければ、本当に成功することはできない」と解釈しているんです。

往々にして私たちは成功者の一面だけを見て羨みますが、そういう人たちは必ず陰で人一倍の努力をしています。私の友人に、トライアスロン競技でオリンピックに二度出場したことのある選手がいるのですが、彼の徹底した節制ぶりにはいつも驚かされます。体調管理のために食事の質や量を決めて、休日でも友人と遊び歩くことなく睡眠やトレーニングを優先します。また、人気のレストランを経営する別の知人の料理人は、一日一食、しかも閉店後にしか食事を口にしません。なぜなら、自分が満腹の状態だとお客さんが本当に食べたい料理を考えられないからだそうです。

同じように受験勉強でも、第一志望校に合格するにはその成功に見合った「時間」を犠牲にし、努力しなければならないと思っています。別の見方をすれば、何かを代償にするからこそ、それに見合った結果を得ようと必死に頑張ることができるのです。

私自身も、夢である予備校講師になるために、世間一般の華やかな大学生活とは無縁の日々を送りました。学習塾で英語を教えるチャンスをもらったのが嬉しくて、小6から中3まで一手に引き受け、週7日間アルバイトの講師として毎日授業をしました。サークル仲間と飲み明かしたり、彼女とデートをすることもない、大学と塾と自宅を往復する地味な日々でしたが、着実に夢に向かって前進しているという充実感で心は満たされていた。あのときがなければ間違いなく、今の私はなかったでしょう。

ところで“Nothing venture,nothing win”は年月を経るほどに深みが増してくる不思議な言葉でもあります。正直に言って、中学生の頃はピンと来なかったのですが、受験勉強を始めた頃に英語の熟語集で見つけてハッとし、自らの実感と共にその意味を噛み締めました。

さらに今でも悩み、考え込んでしまうときは必ずこの言葉が背中を押してくれるんです。「失敗を恐れて踏み出さなければ、成功もやってこないよ」。そして「勝利とは何であるのかは自らが決めるもの。自分にとっての成功を追い求めろ!」とも。

当時の私には意味さえわからないまま、事あるごとに繰り返し耳にすることで、いつのまにか記憶にしっかり刻まれてしまった言葉。もしかすると、あの頃先生も本当は未来の私たちに向けて言っていたのかもしれません。