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| カーター元アメリカ大統領と語る |
今振り返って考えると、この仕事の魅力は、さまざまなすばらしい人物にお会いできることだと思います。 忘れられないのは、1960年にホワイトハウスでケネディ大統領にお会いしたとき。大統領の肩がフケで真っ白だったんです。まるで霜のようだった(笑)。当時はキューバ危機の真っ只中で、世界中が緊張に包まれていました。大統領は、ロシアのフルシチョフ首相との駆け引きで、頭をかきむしっている毎日なのだろう、ということが推し量られました。 また、1969年アポロ11号による人類初の月面着陸の際のテレビ中継で、同時通訳をしたことも印象深い出来事の一つです。人類が初めて出会う出来事を、日本中に同時に伝えるという大役です。何が起きるかなんてわかりません。さらに時差の関係で見せ場が真夜中であったため、丸2日間イヤホンをつけたまま徹夜という状態でした。雑音がひどくてよく聞こえない声をなんとか聞き取り、意味の通る日本語にしなければならなかったので、それは大変でしたねえ。 さらに、交信で使われる言葉は記号化されたり略号が使われたりしているので苦労しました。月着陸船をLM(Lunar Module)というのですが、「ラム」といわれるとramのように聞こえて、いったい月と牡羊はどんな関係があるのかと、一瞬とまどったものです。 しかし、「we are after all on the same boat.」(人類はしょせん運命共同体である。)といったアームストロング船長の言葉を聞いたときは、とても感銘を受けました。地球を38万キロの彼方から外から眺めることのできた人間にしか言うことのできない言葉の重みを感じました。 このような歴史的な瞬間に立ち会えたのも、この仕事をしていたからです。ゴルバチョフ書記長(当時)、カーター大統領(当時)、ノーベル賞を受賞したハイゼンベルグ博士など、各国の大統領や首相、ノーベル賞受賞者など今までに関わった要人は数知れず。カーター氏とは、今でも個人的なお付き合いが続いていますね。さしたる栄光とてない自分がこのような出会いを得られたことは、とても幸せなことだと思っています。 |