「美の文明」と「力の文明」の対比から、21世紀がどのような時代になるかということを考えてみたいと思います。
20世紀は、ひとことで言えば、「力の文明」が支配した時代と言えます。自然は開発する対象、征服する対象という考え方で、機能と効率を重視する人間至上主義により、環境破壊を生み続ける「力の文明」が今も世界を覆っています。
日本人は、そもそも生態系の中で物を考え、いかに自然との共生を可能にするかということを考えてきた民族です。自然との共生に美を感じる、森や山に神秘を感じる、そんな心を持つ「美の文明」の中で発展してきました。「山の神」など、山に神様がいるという信仰も、その一つと言えるでしょう。
「力の文明」が一層強くなってきたグローバル時代に必要な哲学は、この美を感じる心です。21世紀には、経済成長優先の時代から、ますます環境重視の時代になっていきます。そのためには、自然との共生の中で発展を遂げてきた日本人という民族が世界をリードしていかなければならないのです。
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現職 静岡文化芸術大学学長 国際日本文化研究センター客員教授 略歴 1972年 早稲田大学政治経済学部卒業 1985年 D.Phil.(オックスフォード大学) 1990年 早稲田大学教授 1998年 国際日本文化研究センター教授 2007年 現職 著書・受賞など 最近作として「美しい国づくり」三部作 『「美の文明」をつくる』 (ちくま新書) 『「美の国」日本をつくる』 (日経ビジネス人文庫) 『文化力 日本の底力』 (ウェッジ) 1998年 読売論壇賞 1996年 アジア太平洋賞特別賞 1983年 国際交流基金10周年記念論文賞 |