このワークショップを通じて、皆さんには「正解のない問題を自分で考える」ということを学んでもらいたいと思います。社会に出てみると、正解のない問題に立ち向かわなくてはならないことが大半です。さらに重要なのは、自分の考えを整理して相手にわかりやすく伝えることです。また、情熱をもって相手を納得させられなければ、「正解のない問題」の答えを導き出すことはできません。
実は今、日本全体の株価がどんどん下がっています。その理由がわかる人はいるでしょうか。それは、相対的な競争力が下がっているからです。世界のマーケットが成長しているのに対し日本は追いついていない、グローバル経済に通用できていないんです。ではどうすればいいと思いますか?日本人は既存のモデルを使いこなすのは得意ですが、新しいモデルを創造するのは概ね苦手なんです。また、共通の言語や認識のもとで行われる意思疎通はスムーズでも、文化背景の異なった相手に対してはうまくコミュニケーションを図ることができません。
私自身、これを痛感させられた体験があるんです。入社間もない20代の頃、エジプトで語学研修に参加したときのことです。そこで机を並べたエジプトの若者は、深刻な中東問題と対峙し、個々の人生という狭い視点ではなく「アラブ社会全体をどうするか」という意識のもと、懸命に勉学に励んでいました。
そんな彼らに「なぜ日本はアメリカに戦争で負けたにもかかわらず、短期間で飛躍的復興を遂げることができたのか?」と質問され、まともな回答を返せない自分をとても歯がゆく思いました。このとき私が満足できるコミュニケーションを図ることができなかった理由は、自分の頭で考えることができていなかったからだと思うんです。
では、これからの日本をどうするか。今回の課題図書、福澤諭吉の『学問のすゝめ』はそのヒントになると思うんです。この内容が書かれたときの状況は、現在の日本と共通していませんか?鎖国が終わり、海外の脅威にさらされていた。そこで福澤諭吉は何と言っているか? 「一人ひとりが実学を身につけ、独立しなさい」と説いていますよね。
今、この世界には三つの大きなネットワークがあると言われています。一つめは英語によるネットワーク(Language)、二つ目は中華ネットワーク(Race)、三つ目はイスラムネットワーク(Religion)です。残念ながら我々日本はこれらのいずれにも属していません。これから我々はこうしたネットワークに立ち向かっていかなければいけません。今のままで世界と戦えますか? こうした中、国内を見渡してみると、多くの日本の政治家は、規制を設けて日本企業が海外から買収できないようにすることばかり行っています。そうやって日本の資産を守ろうとしていますが、本当にこの方法は正しいのでしょうか。皆さんならどうしますか?
この問題に正解はありません。日本の将来を決めるのは皆さん自身です。
戦後、日本が経済発展できたのは冷戦下のもとアメリカの庇護があったことが大きいです。その構造が崩壊し、新しい経済モデルを模索中ですがまだ見つかっていません。そこで、皆さんには「正解のない問題」に挑戦できる人になってもらいたいと思います。世界中の人々がビジネスパートナーであり、良きライバルです。自分は何をすべきか、このワークショップで糸口をつかんでもらえたら幸せです。





テーマは「グローバル社会で活躍できる人財とは」。ディスカッションは、司会者(ホスト)1名とそのほかのメンバー(旅人)に分かれるワールドカフェ形式で進められた。メンバー一人ひとりの意見を、テーブルに広げられた模造紙にカラフルな水性ペンでどんどん書き込んでいく。
ワールドカフェ形式ではひととおり意見が出たら、ホスト役を残し、旅人は別のグループへ移動。新しいメンバーで意見交換をしたあと、再び元のグループに戻り、最初の意見をブラッシュアップしたり、新しい意見を交換したりして模造紙につけ加えていく。
グループごとに意見をまとめて発表。「発表したい!」と希望するグループが続々と名乗りを挙げた。発表のポイントは、制限時間内でいかに効果的にプレゼンテーションできるかどうか。「情熱」「人間力」「教養」などが世界で活躍できる人財の条件として指摘された。
日本や世界の「明るい未来」を誓い合い、ジュースで乾杯! 「世界を変えるには仲間が必要」という思いのもと、リラックスした雰囲気のなか親交を深め合った。