第4回
早大・慶大 日本史
このコーナーでは、2006年度入試問題を徹底分析し、各大学の入試問題に潜んだ出題意図を読み解き、大学がどのような力を持った学生を求めているのかについて探っていく。第4回の今回は、早稲田大学、慶応義塾大学の日本史の入試問題について、東進の実力講師、金谷俊一郎先生にお話を伺った。
Q1早稲田大学と慶應義塾大学の入試問題の特徴を教えてください。
A1
早稲田と慶應の入試問題では、求められる応用力に違いがあります。
まず早稲田の問題ですが、難しい用語を含む問題が多く出題されるため、
「難しい」と感じている受験生が少なくありません。
確かになかなか受験生では解けないような難問が1割前後、よほど細かい所まで勉強していた
受験生にしか解けないような問題が1割くらいは出題されますが、4割は比較的簡単な問題で構成されています。これらの問題では得点差がつきに
くい。合否を左右するのは、残り4割なのです。その問題とは、史実を覚えただけでは太刀打ちできない、歴史的思考力が問われるものです。
例えば、伊藤博文内閣に関する四択問題が出題されたとします。四つとも知らない難しい用語で出された場合でも、正解を導き出すことは可能です。
伊藤博文は、国会開設に対してどのような態度をとったのか、どのような考えで内閣を組織し、政権運営を行ったのか、日本と韓国をどのような関係に導きたかったのか。 このように、伊藤博文がどのような政治家だったのかを理解していれば、
彼の取った行動が自ずと判断できる、こういった歴史的思考力を早稲田は求めています。
次に慶應の特徴は教科書2〜3ページの中から20〜30個の穴埋め問題が出されるような、教科書の隅々まで丁寧に学習していることを、要求するところです。ヤマを張った学習や、穴のある学習をしていると、痛い目にあうように作られています。
もうひとつは、論述問題で試される国語力です。ここでいう国語力とは、現代文を"読み解く力"のことではなく、論文を批判・検証して“書く力”を指します。
例えば、文学部では毎年ひとつの史料について論じる問題が出題されていますが、そこで問われるのは史料について知っている知識だけを並べることではありません。
その史料に書かれている内容を読み取り、自分が持っている知識で肉づけして、より内容の深い文章
にする力です。仮説を立て、それを検証し、論文として固めていく行為は、大学で論文をつくる作業
と同じなのです。
Q2両大学の日本史の問題は、どのような力が問われているのですか?
A2
慶應では、大学に入るための基礎教養がまんべんなくあるかということと、日本史の論述問題を通しての論文作成力が要求されているといえます。
そのためには、必要な情報をしっかりと頭に入れて、それをきちんと処理する能力が必要です。大学に入学して、順序立てた正確な論文やレポートが書ける、
そんな土台を持った学生を求めているといえるでしょう。
早稲田で問われている力は、建学者である大隈重信の在野の精神"が色濃く出ているのかもしれません。支配者から伝えられる物事をそのまま受け取って従うのではなく、
歴史の真の姿を鋭く追究する、そんな本質を見抜く力が問われているといえます。
Q3早稲田大学・慶應義塾大学対策として、どのような学習が必要ですか?
A3
両大学ともに求められている応用力に特色はありますが、基礎力が不可欠であるという点においては共通しています。ですから、「スタンダード日本史B」
などで、通史の講座をひととおり終わらせてください。
次に、現在の自分の実力を把握するためにも過去問を活用することをおすすめします。自分が得意だと思って
いる時代でいいので、過去問を2問以上解いてみることです。その結果解けない問題が多ければ、現在の自分には合格に必要な応用力が不足してい
るということです。
ひととおり通史を終わらせた場合でも、初めて早慶の過去問に挑戦すれば5割も得点できない生徒が意外と多いのです。なぜなら、覚えたものが形を変えて出題されているからです。授業を受けて知識は吸収したけれど、それを応用する力がない、難題にぶつかったときの考え方を知らない、
またはトレーニングを積んでいないためです。普段からただ暗記するのではなく、因果関係を理解しながら頭に入れていくことが応用力養成に結びつきます。
早稲田の場合、その時代がどういう時代なのか、その政治家はどういうポリシーを持っていたのか、その改革はどういう意図をもって行われたのかを、
理解しながら覚えてください。そのような学習習慣をつけていくと、どのような角度から出題されても対応できる歴史的思考力が身につきます。
慶應にも同様のことがいえます。ひとつの時代を掘り下げて問われるということは、時代の全体像を理解していなければ答えられません。そのためには、授業を受けてひとつずつ歴史事項を覚えていき、因果関係を理解することを心がけてください。
金谷 俊一郎先生(日本史)

入試頻出ポイントに的を絞った授業と、「表解板書」と呼ばれる独特の切り口の表は、受講生から圧倒的な支持を得る。
また、日本史用語の意味の理解と時期把握に重点を置いた授業は、知的好奇心をくすぐり、歴史の本質をさりげなく提示する。それは、今後のより深い研究への導入にもなり得るものである。
金谷先生の主な担当講座(抜粋)
通年講座
●早慶大入試頻出分野の詳細な解説と難問演習で日本史解法テクニックを磨く!
早慶大対策日本史
●体系的理解を深め、実力向上を約束する白熱講義
スタンダード日本史B
●日本史入試問題を解くための基本的な考え方とテクニックを伝授する
スタンダード日本史B演習
●「歴史の流れ解説」と「基本事項トレーニング」の2トップで日本史の基礎を完全制覇!
日本史基礎トレーニング


2006年度の早稲田大学、慶應義塾大学の入試問題および解答は、東進ドットコムの
入試問題過去問データベースに掲載されています。ぜひ、チャレンジしてみよう。