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2007年11月1日号
第8回 東大・京大 世界史編

このコーナーでは、2007年度入試問題を徹底分析し、各大学の入試問題に潜んだ出題意図を読み解き、大学がどのような力を持った学生を求めているのかについて探っていく。
  第8回の今回は東大・京大の世界史の入試問題について、東進の実力講師、斎藤整先生にお話を伺った。

Q1東京大学と京都大学の入試問題の特徴を教えてください。

A1 両大学ともに完全記述式ですが、出題形式や傾向は大きく異なります。東大の場合、地歴2科目で150分ですので単純に考えれば1科目は75分、問題数は大問3つです。2007年は、第1問は510字程度の大論述、第2問は合計360字程度の小論述が5題、第3問は記述式の短問が10題でした。一方の京大は90分で大問4つ、2007年は300字の論述が2題、残り2題は空所補充や記述式の短問、30〜40字の短文を含んだ問題が出題されました。

以前から、東大・京大の出題傾向は「西洋史の東大、東洋史の京大」といわれてきました。両大学それぞれの分野で著名な教授の研究テーマが、入試問題にも反映された結果です。京大では、第一問と第二問は必ず東洋史から出題されますし、西洋史の問題よりも若干難易度が高い傾向が見られます。また、文化史や宗教史など受験勉強では後回しにされがちな分野も含め、全範囲から満遍(まんべん)なく出題されることで知られています。

それに対し東大は、東洋と西洋の歴史を融合し、グローバルな視点で世界を捉えなければ解けない問題が毎年出題されます。例えば「日露戦争とモールス信号やグラハム・ベルが発明した電話技術が世界にもたらした変化」について出題されたことがありました。日露戦争がおきた1904年の翌年、1905年に続々とアジア各地で民族独立運動が起こります。それは、ヨーロッパの列強の一つであるロシアにアジアの一員である日本が勝ったという情報が、普及し始めたばかりの電話によって瞬く間に広まったことが大きな要因にあるのです。このような解答は、各時代の世界を同時に俯瞰(ふかん)して見つめ、考える訓練をしておかなければ導き出すことが難しいでしょう。

こうした問題の傾向は、両大学の歴史観の違いにも根ざしているかもしれません。京大は農民や市民といった「立場の弱き者が見た民からの目線」で歴史を考えることが多いのに対して、東大は時代を貫く「法則」を読み取り、未来を思考する傾向があるように思います。

Q2入試ではどのような力が試されているのですか。

A2 上記で述べたように、京大は受験生に対して「蓄積された知識を記憶力」を、東大は「発想力と思考力を求めているといえます。

京大の場合、加えて緻密さも求められているといえるでしょう。当たり前ですが、人名や地名、すべて正確に記述することが求められ、漢字などの誤記は部分点の措置は無く、不正解となります。ただし、全国の受験生が使う、どの教科書でも網羅されている事項から出題されますので、きちんと勉強していれば満点を取ることも可能な問題といえるでしょう。「教科書(文献)を端から端まで読み込み、深く幅広い知識を蓄えることのできる受験生に来てほしい」というのが問題から読み取れるメッセージです。

一方東大は、問題の多くが特定の二つの教科書(東京書籍・山川出版)から出されます。それらは東大の先生が数多く執筆する個性の強い教科書として知られ、歴史を西洋、東洋、東南アジア、朝鮮といったエリアで分けずに、グローバルに捉えて書かれています。また、評価の方法も京大とは違い、固有名詞の正確さよりも論述の発想力や構想力が豊かであれば高い得点を挙げることも可能なのです。

Q3これらの問題を解くために、今からどのような学習をしておくべきでしょうか。

A3 まず京大受験生は、教科書のあらゆるページについて、手を抜かずに勉強しておくようにしてください。特に、後回しにしがちな分野である文化史・地域史・戦後史などもきちんと押さえておくことが必須です。それらを全て正確な漢字で書けるように表記も含めて覚えるようにしておいてください。

東大受験生は、11月の今の時期に必ず、過去問を最低でも10年分はチェックして出題傾向を把握しておく必要があります。第一問は8つの語句のつながりを見つけて、限られた時間で論述を書かなければなりませんので、その訓練も大切です。ある年の2問目、3問目に出題されたテーマが、翌年の第一問の長文論述問題に出題されるというケースもあります。できれば過去30年分の問題に遡って過去問研究をしてもらいたいところですが、自分ひとりではなかなか難しいことですので、東進の「過去問演習講座」や「記述型答案練習講座」の「東大対策世界史演習」を活用するのも効率的でしょう。

また、東大の問題を作成する教授は、国連や環境問題など、いま地球で起こっていることと関連したテーマでよく出題します。高2生・高1生は歴史の勉強をすると同時に、現在の世の中の動きにも気を配るようにしてください。また、例えば京大の杉山正明教授著作の『遊牧民から見た世界史』(日系ビジネス人文庫)など、それぞれの大学の教授が執筆した一般向けの歴史の本を読むのも、楽しみながら世界史の知識を身につけるのに役立つことでしょう。

斎藤 整(さいとうひとし)先生(世界史)
東大を含めた上位クラスからベーシッククラスまで、幅広い層の信頼を集めるスーパー講師。論述対策まで視点に入れた先生の講義は、単に世界史を受験科目としてだけでなく、生徒の知的好奇心を呼び起こす“奥の深さ”を感じさせてくれることだろう。
斎藤 整先生の主な担当講座(抜粋)
[通年講座]
●世界史のつながりを立体的に把握して合格圏へ
ハイレベル世界史B
●ヨコの流れを古代から現代まで整理します
斎藤 整のヨコから見る世界史ゼミ
[志望校対策特別講座]
●記述型答案練習講座
東大対策世界史演習
●大学対策講座
ハイレベル世界史問題演習
2007年度の東京大学・京都大学の入試問題および解答は、東進ドットコムの「入試問題過去問データベース」に掲載されています。ぜひ、チャレンジしてみよう!