第10回 旧七帝大・早慶 物理編
このコーナーでは、2007年度入試問題を徹底分析し、各大学の入試問題に潜んだ出題意図を読み解き、大学がどのような力を持った学生を求めているのかについて探っていく。
第10回の今回は、旧七帝大・早慶の物理の入試問題について、東進の実力講師、高橋 法彦先生にお話を伺った。
Q1旧七帝大および早慶の物理の出題傾向を教えてください。
A1
旧七帝大・早慶ともに試験時間は理科2科目合計で、1科目あたり試験時間60〜75分、大問3題の出題が一般的です。一部例外があり、京大は90分で大問3題、早大・教育は60分で大問2題です。
出題形式は、早大・理工系学部が大問のうちの一つがマーク式問題であるほか、記述式がほとんどです。しかし、同じ記述式の中でも二つのタイプに分かれ、一から自分で解法を考える形式と、解答に至る過程のカッコを補充する穴埋め形式があります。前者の典型は東大、東北大、名大、後者は北大、京大、慶大(理工)、両者を併用するのが阪大、早大というところですね。どちらかといえば旧七帝大では解答に至る過程が重視され、早慶では多量の問題をスピーディに処理できる能力が重視されていると言えます。
出題分野は、どの大学においても「力学」と「電磁気」は必須です。この二つに加えて「熱力学」か「波動」のどちらかが出題されています。例えば07年度は、東大が第1問「力学」、第2問「電磁気」、第3問「波動」で、京大が第1問「力学」、第2問「電磁気」、第3問「熱力学」でした。
東大ではここ数年「力学」と「電磁気」中心の出題が続いており、特に「力学」では単振動やエネルギー及び運動量保存の法則、「電磁気」では電磁誘導やコンデンサーの問題が頻出です。
Q2入試ではどのような力が試されているのですか?
A2
物理は異なる現象の共通点に着目し、普遍の法則を見つける学問です。化学や生物が研究対象を細分化するのに対し、物理は統合していくことで真理に辿り着こうとします。旧七帝大・早慶の入試問題では、このような物理の本質を反映させた出題傾向であるといえます。つまり「基本となる法則や物理現象を本当に理解しているか」が前提として問われ、そのうえで「発想力」と「応用力」が求められるのです。
ここでいう「発想力」とは、問題となっている現象を正しく把握し、背後にある基本的法則や公式を見出だす能力です。例えば07年の東大・第1問ではバイオリンの弦と弓を素材にした問題が出題されましたが、単振動や摩擦に関する問題であると見抜くことができればスムーズに解答できます。表面的な現象ではなく「どういう公式を使って解かせようとしているのか」を発想するのがポイントです。なお、穴埋め形式の問題ではさらに問題文を注意深く読み、出題者の発想・考え方を推察する力が求められるため、問題の意図が掴めずに苦心する受験生が多いようです。
また「応用力」とは、基本の公式を組み合わせて発展させることのできる力を指します。そのためには、公式を単に暗記するのではなく「なぜここでこの式を用いるのか」という公式の意味を理解しなければなりません。そして一つの問題(物理現象)をさまざまな角度から考える柔軟な思考力を養いましょう。
さらに、東大などの論述問題では、解答に至る過程を論理的かつ簡潔に表現できる答案作成力も必要です。
Q3今からどのような勉強をしておくべきでしょうか?
A3
受験生の皆さんは、残り1カ月を最大限に活かすために過去問演習で戦略を立てましょう。各大問にかける時間や問題を解く順番に注意し、自分にとってベストな時間配分を身につけることが重要です。
また、現役生にとって後回しになりがちな電磁誘導・交流・熱力学の分野もきちんと押さえておくことが重要です。身近な現象をモデル化した問題も難関大入試の特徴なので、2008年度は地震や津波の仕組み、衛星「かぐや」に関する月との関係を理解しておくと役に立つかもしれません。
また答案作成力を高めるには、解答までの道筋を整理してから清書する練習が効果的です。イラストやグラフを描く問題にも対応できるようにしておきましょう。1カ月もあればかなり多くのことができますし、本番直前まで学力は伸び続けます。最後まで全力を尽くしましょう!
新高3生・新高2生は、まずは授業や教科書で基本の公式を理解するとともに、問題を解く際は「なぜそうなるか」を考えることが大切です。また大学入学後は、数学の「微分法・積分法」を使って物理の問題を解いていくので、今からその考え方を理解しておくと入試問題にも活かせて便利です。
最後に、物理をより楽しく勉強するためのツールを紹介しましょう。『世界でもっとも美しい10の科学実験』(日経BP社)は、振り子の法則や光の干渉など高校の授業で習うことにも関連のある実験を集めた興味深い本です。科学雑誌『Newton』や『日経サイエンス』も物理への興味を駆り立ててくれるでしょう。
高橋 法彦(たかはし のりひこ)先生(物理)

学生時代から予備校界に身を投じ、若手ながらその実力とキャリアはすでにベテランの域。授業のみならず、教材開発や模試の作問でも実績豊富。その爽やかさからも相談しやすいと高校1、2年生からの評判も抜群。難解なイメージで敬遠されがちな物理を身近な学問として説くため、駿台予備学校から東進に登場。
高橋 法彦先生の主な担当講座(抜粋)
[通年講座]
●難関大物理の完全攻略
新 難関大物理I・II
●物理入試問題を解くための基本的な考え方とテクニックを伝授する
新新 スタンダード物理I・II
[冬期講習講座]
●難関大物理の完全攻略
新 難関大物理(電磁気・熱)
●物理入試問題を解くための基本的な考え方とテクニックを伝授する
新新 スタンダード物理(電磁気・熱)
2007年度の東京大学・早稲田大学の入試問題および解答は、東進ドットコムの「
入試問題過去問データベース」に掲載されています。ぜひ、チャレンジしてみよう!