「恋人ができた途端に学校の成績が落ちた友人がいるんだけど、それは恋愛をしたせいなの?単に本人の努力不足のせいなの?」
成績と恋愛の関係は、もっともよく受ける質問のひとつです。しかし皆さんは、なぜ「恋愛」などという感情が、そもそも脳に備わっているのか考えたことがありますか。
恋愛とはある特定の異性に惹かれる感情です。恋愛すると、それ以外の多くの異性が世の中にいるにもかかわらず、目に入らなくなります。それは自分が優秀だと感じた人間の子孫を残そうという意志の現われでもありますが、恋愛の真意は他にもあります。
世界には現在30数億人もの異性がいます。そのすべての異性に出会うことは不可能ですから、世界中から「本当」に自分にふさわしいたった一人の人間を選び出すことはできません。つまり、人はある程度満足のいく相手で我慢しなければならない運命にあるのです。もっと自分にあった人が世界のどこかにいるかもしれないのに、身近な人で満足しなければならないのです。
この理不尽な状況を見事に解決してくれるものこそが「恋愛感情」です。「自分にはこの人以外考えられない」「この人こそ私のすべて」と脳に勘違いさせることで、満足感を補うのです。実際、恋愛感情が冷めてしまうと「何でこんな人のことが好きだったんだろう」と自分のバカさ加減にあきれることすらあります。
「恋愛感情」は扁桃体と前頭葉の連係プレーによって生み出されます。この連係プレーが生じると脳が恋愛対象で占拠されることになります。好きな人以外のものが脳から排除されるのです。当然、学校の勉強のことも排除されます。
ドイツの詩人ローガウは「恋が入ってくると、知恵が出て行く」と詠っています。恋愛とは相手以外のことを考えなくてすむように脳が仕組んだ見事な仕掛けなのです。ですから、恋愛して成績が落ちるのは、脳科学的に見てもきわめて自然なことであるといってよいでしょう。
恋人と同じ大学に通いたいために猛勉強をして、当初は無理だと思っていた難関校に見事合格したなどというほほえましい例も実際にはありますが、一般的に言えば、恋愛は学校の勉学に決してよい影響は及ぼしません。
もちろん「恋をするな」とは言いませんが、仮に恋愛をする場合でも、客観的にものを見据える自制心が勉学には必要だと心得ましょう。