2003年度に新たに設置される学部・学科は、公私立合わせて新設大学15校、学部増設32校、学科増設39校。社会の要請に応じて新陳代謝を繰り返す新増設の学部・学科には、学際的かつ実践的なカリキュラムが目立つ。
 ここで、近年に見られる新増設のトレンドを、キーワードを挙げながら分析してみよう。

(1)情報系


IT・インターネット・ブロードバンド・モバイル・光ファイバー

 日進月歩で進化しつづけるITの世界。情報通信の分野では、コンピュータ技術を駆使して新しい技術や商品を生み出せるエンジニアのほか、開発された技術で斬新な表現活動を展開できるクリエーターの誕生が待たれている。プログラミングやネットワーク構築などを学べば、将来が大きく拓かれることだろう。

(2)バイオ・生命科学系


遺伝子治療・クローン・ヒトゲノム・ウイルス・ES細胞・ウィルス・遺伝子組み換え

 生物の機能を解明し、これを医療・食糧・環境・素材等の分野で利用しようというバイオテクノロジーは、21世紀の成長分野として大きく期待されている。
 生物学的アプローチはもちろん、科学・物理学にも通じている必要がある、ボーダーレスな領域だ。

(3)経営系


ベンチャー企業・eビジネス・経営改革・CEO・MBA(経営学修士)

 景気低迷にの続く日本。大企業が相次いで破綻する中、ベンチャー企業がにわかに興隆しつつある。既存の価値観が壊れゆく時代に求められるのは、社会の変化を見据え、新事業を企画・立案し、遂行できる人物。インターンシップ制度が導入されている大学なら、即戦力に磨きをかけることができる。

(4)人間・心理系


キレる子供・学級崩壊・引きこもり・家庭内暴力(DV)

 戦後、経済的に豊かになった日本。しかし、人びとの心はこの複雑な時代に不安定に揺れている。
 心理学はもちろん、文化、社会などを幅広く学び、絡まった心を解きほぐす方法を模索してゆく。

(5)政策・国際・文化系


情報化・高齢化・異文化摩擦・民族問題・NGO・安全保障

 社会問題解決の糸口を探し、政策を決定できる人物を育てる政策系。国際問題と向き合い、グローバルな見地から解決できる人材を育てる国際・文化系。いずれも、幅広い分野への理解が不可欠なため、政治経済、文化、社会に及んで学際的に学べるカリキュラムになっている。コミュニケーション手段として外国語教育が重視されているのも特徴だ。

(6)福祉・医療看護系


高齢化社会・バリアフリー・リハビリ・介護・生涯学習

 福祉は「幸せ」を意味する。幸せが、構成員一人ひとりに等しくもたらされる社会を目指し、高齢者や障害を持つ人々を心身両面からサポートしてゆく。理論のみならず実践を重んじたカリキュラムになっており、最近では理学療法士や作業療法士など医療技術専門職を養成する学部・学科も増えてきている。

(7)環境系


環境ホルモン・エコビジネス・リサイクル・環境政策

 科学技術の進歩は、恩恵をもたらすとともに環境破壊という深い傷跡を私たちに遺した。自然との共存を実現するには、環境負荷の少ない商品を開発するなど専門性の高い人材の育成が急務だ。
 政策にも深く関わりを持つ分野であるため、人文科学と自然科学を総動員して取り組む姿勢が求められている。

 

主な大学の新設・増設学部・学科

大学名
新設学部・学科名 備考
秋田大学 医学部 保健学科 医療技術短期大学部を廃止
筑波大学 図書館情報専門学群 図書館情報大学との統合
医学専門学群 看護・医療科学類 医療技術短期大学部を廃止
山梨大学 医学部 山梨医科大学との統合
信州大学 医学部 保健学科 医療技術短期大学部を廃止
九州大学 医学部 保健学科 医療技術短期大学部を廃止
駒澤大学 医療健康科学部 診療放射線技術科学科 駒澤短期大学放射線科を廃止
東京工科大学 バイオニクス学部 バイオニクス学科 工学部を廃止

コンピュータサイエンス学部 コンピュータサイエンス学科
法政大学 キャリアデザイン学部 キャリアデザイン学科 文学部第二部を廃止
文学部第一部 心理学科
経営学部 経営戦略学科、市場経営学科
早稲田大学 理工学部 電気情報生命工学科、コンピュータ・ネットワーク工学科 理工学部 電気電子情報工学科、電子・情報通信学科、情報学科を再編
スポーツ科学部 スポーツ医科学科・スポーツ文化学科 学部新設に伴い、人間科学部 スポーツ科学科は廃止
人間科学部 人間環境科学科・健康福祉科学科・人間情報科学科 人間科学部 人間基礎科学科・人間健康科学科を再編
関西学院大学 文学部 文化歴史学科・文学言語学科・総合心理科学科 哲学科・美学科・史学科・心理学科・教育学科・日本文学科・英文学科・フランス文学科・ドイツ文学科を再編


 

 


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