早稲田大学 人間科学部(センター試験利用):問題/解答
慶應義塾大学 法学部:問題/解答
解答
問@
 図1より、わが国では女性よりも男性の自殺死亡者数が多いことが分かる。男女ともに1950年代後半に一旦ピークを迎える。その後、男性は80年代半ばと90年代後半に急増するのに対し、女性はほぼ一定していることが分かる。自殺者が増える時期は、不況の時期と重なっている。図2より、男女ともに年齢が増すにつれて自殺死亡者数が増え高齢者にピークがある。男性では2000年に50代の自殺者数が多く、女性では両年ともに70歳以上の自殺者が多い。
問A
 図1よりわが国の自殺者数の増加は、景気の変動と関連性があることが推測される。また図2より、自殺者は高齢者に多く、また昨今は50歳代の男性に多いことがわかる。こういったわが国の自殺者の特徴を踏まえて、私は自殺問題の解決策として、社会福祉の充実やセーフティネットの構築といった経済的支援を挙げたい。
 確かに、景気の変動とは無関係に常に自殺者は一定数存在する。また高齢者は自身の健康上の理由から自殺をする者も多いだろう。そのため、経済的な支援だけでは、自殺問題の解決策としては不十分かもしれない。しかし、50歳前後の働き盛りの男性が「生活苦」を理由に自殺し、また高齢者が退職後の「生きがい」をなくして自殺するのは、ともに「生活が不安定であること」が原因であり、今必要なのは経済的支援なのだ。
 こういった自殺に至るような経済的弱者や高齢者などの社会的弱者に対する公的なサポートとして、社会福祉の充実とセーフティネットの構築を提案したい。今の日本社会では、一度事業に失敗したり、失業したりすると再就職や社会復帰が難しい。また高齢者も退職後の「生きがい」を探すための金銭的余裕がない。そういった状況から自殺という選択肢を選ばざるを得ないことが多くなってしまう。だからこそ、一度失敗しても、一度リタイアしても、再びやり直すことのできる社会環境を整えることが必要なのだ。具体的には、職業訓練や地域社会への参加を促すことが必要だ。これには、国が経済的な援助をすることが不可欠だ。こうすることで、一人ひとりが「生きがい」を持ち、社会から必要とされることで、自殺者は減っていく。
 以上の理由により、私は国による経済的支援が自殺問題の解決策になると考える。 (597字)
早稲田大学 人間科学部(センター試験利用):問題/解答
慶應義塾大学 法学部:問題/解答
解答
 課題文の筆者によれば、「現代日本は社会や国家などの政治共同体にとっての「共通善」が実現されず、一部の権力者や特定の集団が利益を享受することを目的とした「暴政」への道を歩んでいる」という。また「我々は現在の政治になれてしまい、その異常さを見過ごしている。だからこそ我々は、社会を取り巻く毎日の変化に対して怒りを覚えるべきだ」と主張している。では、現代日本において「共通善」は実現されず、権力による「暴政」への道を歩んでいるだろうか。
 確かに、世界的規模で見ると日本では「共通善」が実現しているように思われる。敗戦の経験を踏まえた戦後の日本国憲法下で、我々は自由と平等という「共通善」を享受してきた。それが社会の土台に確固と存在していたために、日本はここまでの経済発展を遂げたに違いない。また、今実現されている以上の「共通善」を国民に行き渡らせようとすると、むしろ国民の自由を制限してしまう恐れがあるかもしれない。しかし、現代の日本の政治状況を見てみると「共通善」は国民が等しく享受するべきなのに、権力が過剰に国民の間に介入し大多数の国民の「共通善」は著しく制限され、その分一部の人々が利益を独り占めにしているのではないか。
 現在の日本社会では、国民が利益を一人占めしている一部の「勝ち組」と大多数の「負け組」という階層化・二分化が起こりつつある。これには二つの原因が考えられる。第一に、アメリカ流の新自由主義の考え方が政治・経済面で主流をなしているからである。競争に勝ったものは「勝ち組」となり利益を得、競争に敗れた者は「自己責任」の名の下にリストラされていく。権力と利益が一部に集中し、社会全体の「共通善」は実現されないのだ。第二に、ゆとり教育が社会全体の階層化をもたらしつつあるからだ。社会全体の「共通善」とは何かを教え、将来実現していくために学ぶ場である教育が、親の経済的状況により子どもの教育レベルが左右され、階層の再生産と固定化が繰り返されていくのだ。こういった二つの理由から日本社会で「共通善」が実現されていないと考える。
 このように、現代の日本では政治・経済・教育などあらゆる面で「共通善」の実現が成されていない。我々は今一度、「権力」と「国民」のあり方を考え直さねばならないだろう。(946字)