大学入試の基礎知識

■ 情報収集のしかた

進みたい学部・学科が決まったら、志望校を決めます。

近年、大学を中退する理由の約3分の1が、学生と大学とのミスマッチが原因であるといわれています。入試の難易度ランキングや知名度だけで大学を選ぶと、入学してから後悔する可能性がありますので、進学目的や適性に合った大学かを自分自身の目で確かめることが重要です。そのためには自分で調べ、話を聞き、オープンキャンパスの機会を利用するなど足を運んで確認することが欠かせません。

以下に情報の収集方法や情報の見方のポイントについて示しますので、志望校選びの参考にしてください。

■ 大学からの公表内容と注意点

2011年4月1日から、大学も今まで以上の情報公開が義務づけられました。
以下の情報は各大学のホームページ等で公開されますので、自分がめざす学問を修める環境としてふさわしいかをしっかりとチェックするようにしましょう。

◆大学の教育研究上の目的

例えば、同じ教育学部であっても教員養成を目的としているか否か。

◆教育研究上の基本組織

学部や学科・課程の名称を明らかにする。

◆教員に関する情報

教員の人数が多い方が教育・研究面で充実しているといえますし、教員1人当たりの学生数が少ないほど、きめ細かな指導が期待できます。なお、教員数については専任と兼任(非常勤)の違いも注意です。また、研究上の業績や職務上の実績については、特に新設大学や新設学部等で情報が少ない場合に参考になるでしょう。

◆学生数(入学、在学、卒業)や就職、進学の状況

入学者数が定員より少なければ、授業料による収入が少なくなり、結果的に教育内容にしわ寄せが来るはず。逆に、入学者数が定員を超過している場合は、設備が足りなくなったり、学生1人ひとりのケアが不十分になる可能性大。また、退学者数(非公表の場合は、入学者数と卒業者数の差で推測)は、その大学に何らかの問題があるサインと見ることもできます。
就職は就職率だけでなく、実際の人数も確認し、入学した学生のどのくらいの割合が就職しているか確認しましょう(理系は大学院進学率もチェック)。
また、就職支援やキャリア教育の充実度も確認しましょう。

◆カリキュラム

大学のカリキュラムは学校ごとに特色があります。
例えば、東京大学のように1~2年次は教養学部で教養科目を中心に学び、3年次から各学部で専門科目を学ぶ大学もあれば、一橋大学のように1年次から専門科目を組み込んでいる大学もあります。また、国際基督教大学のように、学生が主体的に科目を選択し、1つの専攻を極めるもよし、2つの専攻を同時に組み合わせるもよしといった、非常に自由度の高い教育体系をとっている大学もあります。

◆単位取得や卒業認定に関する基準や学位等

現在は成績評価の基準を事前に明示し、それに基づいて単位を与えることが求められています。また、大学卒業時に与えられる学位の名称も公表が義務づけられ、大学を卒業すると「学士」の学位が与えられます(例:文学部卒業の場合「学士(文学)」)。

◆キャンパスや設備等

近年、大都市圏の大学によるキャンパスの都市部移転・回帰が多く見られます。これは学生の確保や教育効果の向上をねらった対策です。一方で、学部によってキャンパスが異なる場所にあったり、学年でキャンパスが分かれているにもかかわらず、ホームページ等でわかりやすく表記されていない大学も一部にはあります。また、体育の授業のグラウンドが離れていたり、クラブ活動の施設が離れていたりする場合もあります。大学が駅から離れている場合、スクールバスの有無も通学の利便性に大きく影響します。
志望校を選択する際には、キャンパスの雰囲気や活気、部活動・サークル活動の充実度も重要な指標となりますので、大学が行うオープンキャンパスには必ず参加し、可能ならば学期中のキャンパスを訪ねてみましょう。

◆学費等(詳しくはこちら→「気になるお金の話」

私立大学は国公立大学に比べて初年度学生納付金や2年目以降の授業料が割高です。また、授業料が安くても施設設備費や実習費などがその分高いこともあるので、学費を比較する場合は学費の総額で比較することが大切です。
一方で、授業料免除や給付型の奨学金など、返済が不要な支援制度が充実している大学も多いので、これらを上手に利用できれば私立大学でも、学費が国立大学並みや国立大学以下になる場合があります(例・青山学院大学「地の塩、世の光奨学金」※年額50万円を原則4年間支給、入学前予約型給付奨学金)。
また、学生寮などの費用や設備が整っているかどうかも調べておきましょう。一般的にアパートを借りるよりも学生寮の方が安い場合が多いですが、大学周辺の家賃相場が下がっていてアパートを借りた方が安い場合もあります。また、安くて快適な学生寮がある一方で、老朽化して設備が不十分だったり、大学から遠く通学が大変な場合もあるので注意が必要です。

◆学生支援

就職支援や学費の支援に加え、学習面の支援や、留学支援の充実度にも注目しましょう。
学習面のサポートとしては、大学の学習にスムーズに移行できるように初年次教育を導入している大学が増えています。また、高校の補習的な講座(リメディアル教育)を設けている大学も多くあります。生活面のサポートでは、担任制を設けて教員と学生のコミュニケーションが円滑に進むよう工夫したり、カウンセリングの窓口を常設したりしている大学もあります。
留学支援制度が充実しているかどうかも確認しましょう。ビジネスの分野でも研究の分野でもグローバル化が進んでおり、現時点で留学を考えていなくても、大学に入学してから留学したいと感じる可能性もあります。特に確認したいのが、留学先の大学で取得した単位が、日本の大学の単位として認定されるかどうかです。認定されないと、4年間で大学を卒業するのが難しくなります。また、海外に提携大学が多くても、実際にはほとんど留学の実績がない場合もあります。毎年何人ぐらいが実際に留学しているかを確認しましょう。さらに、費用面のサポートがあるかどうかも重要です。なお、早稲田大学国際教養学部や公立の国際教養大学のように、カリキュラム上、留学を必須としている大学もあります。留学期間については大学によって異なるので、必ず確認するようにしましょう。
就職支援については、ほとんどの大学がキャリア教育(キャリア支援)に力を入れています。ガイダンスの参加企業の実績や、インターンシップ制などサポート体制の充実度をしっかりとチェックしましょう。

■ 用語集

  • ◆オープンキャンパス
    大学への関心を深めてもらうために、大学がキャンパスを公開すること。志望大学に関する情報収集には、実際に志望大学へ足を運び、駅からの道のりやキャンパスの雰囲気を肌で感じることも大切。例年、初夏から秋にかけて多くの大学でオープンキャンパスが開催されます。大学の先輩や先生たちの生の声を聞くことができ、説明会の中で受験勉強に関するアドバイスを行う大学もあるので、志望大学のオープンキャンパスには必ず参加しましょう。


  • ◆シラバス
    講義や授業の年間計画表。講義概要が詳細に紹介されており、これを元に履修する講義や授業を選択します。


  • ◆大学グループの略称
    受験情報誌等では、入試難易度や所在地などの点で共通項を持つ複数の大学を、まとめて一定の略称で呼ぶことがあります。

    • ・旧帝大
      1886年(明治19)に公布された帝国大学令によって設立された大学。これらの大学は「帝国大学(帝大)」と呼ばれ、現在では通常、東京大学、京都大学、東北大学、九州大学、北海道大学、大阪大学、名古屋大学の7国立大学を指し、「旧七帝大」と呼ぶこともあります。

    • ・四大学連合
      東京に本部を置く東京医科歯科大学、東京外国語大学、東京工業大学、一橋大学の国立4大学が連結した「四大学連合憲章」に基づく相互プログラムの通称。

    • ・明青立法中
      関東地方に位置する私立大学である明治大学、青山学院大学、立教大学、法政大学、中央大学の5大学の頭文字を集めた略称。

    • ・日東駒専
      同じく関東地方の日本大学、東洋大学、駒沢大学、専修大学の4私立大学。

    • ・関関同立
      関西地方の関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学の4私立大学。

    • ・産近甲龍
      一般的には京都産業大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学の4私立大学。

    ただしこれらの略称は、あくまで一般的なものであって、情報媒体によっては表記が異なる場合があります。さらに最近では、これらのほかにも数々の大学群の略称が生み出されています。それぞれがどの大学を内包しているのかは、きちんと確認しましょう。


  • ◆リメディアル教育
    高校以前の学習範囲で学力が不十分な分野についての補習的な教育や、高校の授業から大学の授業にスムーズに移行するための導入教育。近年は、AO入試や推薦入試で学力試験が課されずに大学に入学した学生の学力不足を補うため、合格発表から入学するまでの期間に課題を課したり、大学の講義についてこられない学生向けの補習や復習などが増加しています。