大学入試の基礎知識
大学入試のしくみ
私立大学入試

大学入試には、ここまでに説明してきた大学入試センター試験と個別試験による「一般入試」のほかに、推薦入試やアドミッション・オフィス( AO )入試による「特別選抜入試」があります。

私大別に見ますと早慶では約35%、明青立法中では約32%、関関同立では約35%、日東駒専では約38%が「特別選抜入試」での入学者(附属校からの内部進学含む)と予想されます。(東進調べ)

私立大学では2007年度以降、一般入試による入学者の割合が5割を下回っており、半数以上が推薦入試またはAO入試による入学者となっています(ただし、難関大学は一般入試による入学者の比率の方が高い)。また、国公立大学でも推薦入試やAO入試の導入は進んでおり、国立大学入学者の約15%、公立大学入学者の約26%が推薦入試・AO入試で入学しています。

■推薦入試とは

出身高校の校長から推薦を受け、高校が発行した調査書などで合否を判定する入試制度で「公募制推薦」と「指定校推薦」に分かれます。

a.公募制推薦
大学が定める条件を満たせば、どの高校からも出願できます。選抜方法は面接や小論文で行われることが多く、評定平均や部活・高校在学中の活動実績等が評価される場合もあります。また、国公立大学ではセンター試験の受験を課す大学もあります。なお、公募制推薦には学業成績を重視する「一般推薦」と、部活動やボランティア活動の実績、資格や特技を重視する「特別推薦」があります。

b.指定校推薦
大学が指定する高校や大学の附属(系列)高校からのみ出願が可能(大学が指定する高校の場合、募集人員は1高校あたり1〜2名であることが多い)です。そのため、合格した際の入学辞退は原則として認められません。

c.地域枠推薦
大学卒業後に大学の所在地で活躍することを出願条件として設けられた募集枠による推薦をいいます。地域によって深刻になっている医師不足を解消するため、特に国公立大学医学部の推薦入試で地域枠を導入するケースが多く見られます。なお、公立大学では大学設置の趣旨から、学部を問わず地元出身者を優先して入学させる方式として地域枠があります。その他、国公立大学では教育学部(教員養成系)、私立大学では看護学部でも実施している大学があります。

d.自己推薦
高等学校長からの推薦書を必要とせず、自分で「自己推薦書」を書き、提出する入試方法です。自己の能力や経験、個性を、面接や小論文などを通してアピールします。

■おもな出願条件

出願にあたって特に確認しておかなければならないのは、「学業成績」「卒業年度」「併願の可否」です。

a.学業成績
国公立大学の場合、全体の評定平均値が4.0以上、学習成績概評ではAもしくはB以上を求める場合が多く、私立大学では全体の評定平均値が3.2以上、学習成績概評ではC段階以上(難関大学では、全体の評定平均値が4.0から4.5以上、学習成績概評A以上もある)が多い状況です。

b.卒業年度
出願が認められているのが卒業見込生(現役生)のみの大学もあるので、高卒生の場合、出願が可能かどうかは入試選抜要項や募集要項で確認する必要があります。認められていても卒業年度に制限がある場合があるので、確認が必要です。

c.併願の可否
自己推薦を除き、学校長の推薦を受けて出願するため、基本的に併願は不可ですが、大学によっては認めている場合もあります。認められている場合にも条件があるケースもありますので、必ず確認するようにしましょう。

このほか、取得資格(特に英語)を条件とする大学も増えていますので、確認しましょう。

■選抜方法

書類( 調査書、推薦書、志望理由書など)、小論文( 作文)、面接のすべて、あるいはいずれかで選抜するケースが主ですが、特に国公立大学ではセンター試験を課す大学も多く見られます。

■AO 入試とは

大学が求める人物像( アドミッション・ポリシー)に合致しているかどうかで合否判定を行う制度です。選考は書類や面接試験で行われるのが一般的ですが、通常の学力試験ではわからない受験者の意欲や適性を評価するため、内容は大学によってさまざまです。

■おもな出願条件

推薦入試と同様、AO入試でも「学業成績」「取得資格」「卒業年度」「併願の可否」をおもな条件としているので、入試選抜要項や募集要項で確認しましょう。また、AO入試において最も重視されるのは、大学が求めるアドミッション・ポリシーに合致しているか否かであるので、志望校のホームページなどで必ず確認しましょう。

■選抜方法

推薦入試同様、書類(調査書、推薦書、志望理由書など)、小論文(作文)、面接(ディスカッションを含む)のほか、体験授業への参加を求められる場合もあります。また、高校での活動や入学後に取り組みたいことなどを記す「エントリーシート」を元に面接が行われる場合もあります。このほか、自己推薦書や活動報告書などの提出を求められることもあり、推薦入試に比べて、「大学と自分のマッチング」を深く求められる入試といえます。難関大学ではセンター試験を課す大学が増えています。

■国公立大学での特別選抜入試例

2016年度から東京大学が推薦入試を、京都大学が「特色入試」という名称で推薦入試とAO入試を導入しました。また、2017年度からは大阪大学も推薦入試とAO入試を組み合わせた「世界適塾入試」を導入しました。
東京大学では出願時に「卓越した能力を有することを示す客観的根拠となる資料」の提出が求められました。京都大学では出願時に高等学校在学中の顕著な活動歴を記した「学業活動報告書」や、大学で何を学びたいのか、卒業後はどのような仕事に就きたいのかを記した「学びの設計書」の提出が求められました。そしてこれらの書類による選考を通過した志願者に対して面接が行われ、さらにセンター試験で一定以上の成績を収めた者が最終合格者となる厳しい入試となっています。このように推薦入試やAO入試では一般入試とは異なる対策を立てる必要があります。

■ 用語集

  • ◆アドミッション・ポリシー
    大学・学部・学科ごとに示されている入学者受け入れ方針のこと。大学が求める学生像や目指す方向性を明らかにしたものです。

  • ◆カリキュラム・ポリシー
    教育課程の編成や実施の方針。

  • ◆ディプロマ・ポリシー
    学修の評価、学位授与の方針のこと。

  • ◆エントリーシート
    AO入試の出願時に提出する志望理由書(自己推薦書)や活動記録のことをエントリーシート(略してESと呼ぶことも多い)といいます。AO入試ではエントリーシー卜を中心に書類審査を行った後、小論文や面接、グループ・ディスカッションなどの二次審査を行うケースが多いため、エントリーシート記入の際には、単にこれまでの実績を羅列するだけでなく、自己アピールをするための文章力・表現力も要求されます。また、大学入学後の勉学・活動の計画の記入を求められることも多いので、受験生は事前にしっかりと将来の展望を考えておくことが必要です。

  • ◆評定平均値と学習成績概評
    高校で学んだ各教科や全教科の成績を5段階で評価したものの平均値のことで、出願時に大学へ提出する調査書に記載されます。「各教科の評定平均値」は教科内の各科目の評定合計数を科目数で割った数値、「全体の評定平均値」は履修した全科目の評定の合計数をすべての科目数で割った数値で、小数点以下第1位までで示されます。推薦入試においては一般的に高校3年1学期までの評定平均値が選考の対象となります。この評定平均値をもとにして調査書の学習成績概評が決定します。国公立大学や難関私立大学の推薦入試においては、Aランクをとることが望ましく、Aランクのなかでも特に学校長が優秀 と認めた場合は、と表記されます。 大学によってはランクの者のみに 出願を限定しているところもあります。

  • ◆リメディアル教育
    高校以前の学習範囲で学力が不十分な分野についての補習的な教育や、高校の授業から大学の授業にスムーズに移行するための導入教育。近年は、AO入試や推薦入試で学力試験が課されずに大学に入学した学生の学力不足を補うため、合格発表から入学するまでの期間に課題を課したり、大学の講義についてこられない学生向けの補習や復習などが増加しています。