Q.運動音痴で徒競走やマラソン大会でいつもビリ
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1964年東京生まれ。大阪大学・助手、理化学研究所脳科学総合研究センター・研究員、豊橋技術科学大学・助教授を経て、現在、東京大学大学院総合文化研究科・生命環境科学系・准教授。東京大学教養学部では「身体運動・健康科学実習」として主にテニスの実技を、また講義では「運動神経生理学」「身体運動科学」などを担当している。専門は運動生理学、神経科学で、運動の制御、学習・記憶について遺伝子レベルから個体レベルまで対応付けながら研究している。
徒競争やマラソンをはじめとする様々な運動というものはもちろん筋肉や関節が動くことによって行われているのですが、体を上手に動かすためには主に脳の小脳と呼ばれる部位が重要な役割を果たしています。
小脳には学習機能が備わっており運動している中で「失敗した」という誤差信号が脳に伝わり、その過程を繰り返すことによって脳がどうすれば失敗するのかということを学習します。その学習によって人の運動能力は向上していきます。
驚くべきことに小脳の学習機能は、アスリートや普段から運動している人と一般人との間にほとんど差がないことが研究によって明らかとなりました。つまりIQなどとは違い運動神経とは備わっているものではなく作り上げていくものなのです。
挑戦と失敗の繰り返し、の精神を持ちましょう
運動能力を向上させるには失敗を恐れることなくトライし続け、経験を積むこと、さらに高いレベルに行くには、自分の動きをどれほどのレベルで失敗したと認識するのか、自分がどれだけこだわるのかというものにかかってきます。「失敗した」という認識をどれだけ細かく行うのかということです。
また、指導者のコーチングの仕方も運動能力の向上に非常に深く関わってきます。ポジティブな言葉をかけるというのはよく知られていますが、技術の向上という部分に注目すると、どれだけ具体的に指示するのかということが重要であるという研究結果があります。サッカーで例えると、「ナイスシュート!」と声をかけてあげるのも良いのですが「さっきのシュートの時の軸足の踏み込みが良かった!」と言ってあげるとより効率よく技術が向上します。
ビリ脱却のために〜TRY AND ERROR(挑戦と失敗の繰り返し)〜の精神で頑張ってください。