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トップリーダーと学ぶワークショップ
TOP東進タイムズ 2016年1月1日号

21世紀に求められる
リーダーとは?

JR 東海名誉会長

葛西 敬之先生

講演者の写真

日本経済を牽引してきた経済界のトップリーダーを招き、高校生に「仕事」や「生き方」、「これからの日本に求められるもの」をご講演いただく、東進の「トップリーダーと学ぶワークショップ」。今回はJR東海名誉会長の葛西敬之氏にお越しいただき、国鉄分割民営化やこれからのリーダーに必要な資質について教えてもらった。講演後はワークショップを行い、グループで「21世紀に求められるリーダー」について議論した。講演を聞くだけではなく、自分たちはどう考えるのかを徹底的にグループで議論し、最後に発表という形で締めくくった。ここでは、その白熱したワークショップの一部を紹介する。

講演者プロフィール

東京大学法学部卒業後、日本国有鉄道(国鉄)に入社。米国ウィスコンシン大学大学院でMBA取得。国鉄の分割民営化にともない、東海旅客鉄道(JR東海)に移る。取締役、総合企画本部長、常務、副社長などを経て社長に就任。
巨大組織「国鉄」の分割民営化、JR発足に真っ向から挑んだ人物。改革の急先鋒に立ち、経営と労組の馴合いに真っ向から挑んだ。JR東海は、東京〜大阪間という日本の大動脈を支える公共性の高い使命を持っている。国鉄時代には約3時間であった東海道新幹線の所要時間を、JR東海になって2時間半まで短縮した。リニアは東京〜大阪間を67分で結ぶ計画で、21世紀に大きな飛躍をもたらし、日本経済の新しい土台を作るものだ。予想もしないような新しいライフスタイルを生み出すのがJR東海であり、葛西敬之氏の仕事なのだ。

森の中から木を見るのではなく、
森の外から森を見る
常に大局観を持ち、目の前のことに全力であれ

私が皆さんと同じ高校生だった頃、自分の将来について設計図があった訳ではありません。途中で夢が変わってもかまいませんが、人生を長期的に捉え、どんなことにも諦めずに挑戦してほしいと思います。

私は、長期的展望と大局観を持つために、毎日20年後、あるいは50年後の尺度で物事を考えています。例えば、20年後につくる品川新駅構想や、50年後のリニア新幹線完成などです。すると、与えられた時間や条件のもとで目標を達成するには今何をしなければならないのか、想像力と創造力を持って自分で課題を設定し、目標に向かって行動するようになります。つまり、森の中で木を見るのではなく、森の外から森の形を見る、大きな視点を持った姿勢です。

自分のためではなく無私奉公の志を持つ

そして、新駅やリニアのような大きな仕事を成し遂げるためには、当然一人の力では実現できません。リーダーが不可欠であり、リーダーの元で働くスタッフが必要です。では、どのような人がリーダーに適しているのでしょうか。

まず最も重要なのは、成功体験を共有できるかどうかです。成功を導ける人には人がついてきますが、負け続けている者には当然人はついてきません。自分の成功パターンを人にも共有し、多くの人が成功できるようにする、これがリーダーには必要です。

次に、リーダーとして人を動かすために、他人の意見に左右されずに決断する力と、その決断を曲げない不動の心。そして誠実さと思いやりを持ち、自分のためではなく公のために尽くす無私奉公の志を持つこと。これらの心がけを持つことで、多くの人に信頼され、強いチームができ、結果的に良い仕事ができるようになるのです。

良い結果を導く三つのプロセス

チーム、言い換えると組織における意思決定には、三つのプロセスがあります。第一は、戦略を決定すること。第二は、決定した戦略に向けて具体案を企画・立案すること。第三は、企画・立案された具体案を統率・実行することです。これら三つのプロセスをしっかりと踏むことで、いかに状況が厳しくても、問題の本質を見極めて適切な解決策を考え出し、良い結果を出すことができるでしょう。

遠くの目標に向かって歩いていく道のりは、いつ何が起きるかわからない前人未到の荒野です。皆さんの進む方向が決まったならば、自分の足元をしっかりと見据えて、悔いの残らないよう日々の課題に全力で取り組んでほしいと思います。

ワークショップ 1 【探る・話す】

リーダーの資質とは何か、熱い議論が飛び交う

葛西先生の講演が終わると、参加者が6人のグループにわかれて「21世紀に求められるリーダー」についてディスカッションを行った。それぞれが葛西先生のお話をどのように理解して、どう考えていたのかをこの場で発表し合う。発表することで自分の考えがまとまり、またわからない部分も明確になる。

ワークショップ 2 【練る】

チームの結束力が問われる瞬間

グループとして考えを発表するために、メンバーの意見をまとめて模造紙に集約する。ここではチームとして動く力が試される。

ワークショップ 3 【発表する】

最終発表

チームの代表者が参加者の前で発表を行う。チームの考えを的確に伝えられるよう、声の出し方や発言の間など、プレゼンテーション力も必要であることがわかった。葛西先生からの質問や指摘が入り、緊張感が高まる一瞬。

ワークショップ 4 【結果】

表彰式

最後には表彰が行われた。講演を聞き、考え、グループで意見をまとめ、発表するという一連の流れを経て、リーダーに求められる力を身をもって体験した参加者たち。

参加した高校生の

参加者の写真

東京都立 立川高校2年
稲垣 有起くん

葛西先生の話を聞いて、リーダーは他の人との関わりが大事だというところに強く共感しました。特に、成功体験を共有することの大事さを感じました。僕はテニス部でキャプテンを務めていて、メンバーをひっぱっていく大変さを感じていて、部をリードするためには自分が大会で少しでも多く勝ち、その方法をメンバーに共有する必要があると思ました。

参加者の写真

神奈川県立 神奈川総合高校2年
亀井 爾保さん

今回は自分から進行役を申し出て、自分の意見を押し通さないようにディスカッションを進めた結果、最後に「今みたいに他人の意見を促してくれるリーダーがいたらいいと思う」とメンバーが言ってくれたことが嬉しかったです。自分がリーダーになった時に周りの人に信じてもらうためには、とにかく「話を聞く」ことが重要なことを知りました。

参加者の写真

東京都 国立 東京学芸大学附属国際中等教育学校2年
小野寺 美波さん

印象に残ったのは「森の中で木を見るのではなく、森から出て森の形を見る」です。身近なところでも、自分が通う学校という森を、外から見られていなかったと実感しました。ワークショップでは、自分と異なる意見がたくさん出てきて、自分の意見を言うだけでなく相手の意見をちゃんと聞くことが大事なのだと感じました。

参加者の写真

神奈川県立 神奈川総合高校2年
筌口 敏宏くん

今の日本を牽引している葛西先生から、将来のリーダーについて具体的なお話を聞くことができ、上手く吸収することができました。特に、共同体に迎合するのではなく、調和しながらも自分の信念を貫き通すという無私の志に感銘を受けました。今は自分に与えられた勉強という課題をしっかりとこなしていきたいと思います。

参加者の写真

千葉県立 千葉高校1年
篠田 遼太郎くん

リーダーとは何かについて考えることがあり今まで結論が出なかったのですが、今回のディスカッションでみんなの意見を聞き、自分なりに答えを出すことができました。葛西先生も若い頃から将来のことをしっかりと考えていたわけではないという話が特に印象的で、将来については経験を重ねていかないとよくわからない部分もあるのだと感じました。

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