東進ハイスクール 東進ハイスクール
東進ドットコム > スゴイ大先輩に学ぼう > トップリーダーに学ぶワークショップ >
TOP東進タイムズ 2016年7月1日号

未来を託す諸君に
伝えたいこと

ANAホールディングス株式会社
代表取締役社長

片野坂 真哉先生

さまざまな分野の最前線で活躍する経営者や研究者を講師に迎える「トップリーダーと学ぶワークショップ」。今回はANAホールディングス株式会社代表取締役社長の片野坂真哉先生にお越しいただいた。たった2機のヘリコプターから創業したというANAの歴史を振り返りながら、未踏分野へのチャレンジ精神を持ち続けることへの大切さ、トップリーダーに必要な心構え、さらに「1000年」という遠い時間を見据えてものごとを考えることの意義を教えていただいた。

講演者プロフィール

1979年3月東京大学法学部卒業後、同年4月に全日本空輸株式会社に入社。95年企画室主席部員、2002年営業推進本部マーケティング室レベニューマネジメント部長、04年人事部長、07年執行役員、09年取締役に就任。11年常務、12年専務企画室担当、13年ANAホールディングス代表取締役副社長となり、人材戦略、経営戦略などを担当。15年4月より現職。

たった2機のヘリコプターから世界の翼へ
ANAのチャレンジ精神とは?

私が社長を務めるANAグループは、1952年に設立された日本ヘリコプター輸送株式会社を前身としています。創業当時は、たった2機のヘリコプターしかありませんでした。小さな"純民間航空会社"として、まったくのゼロからのスタートだったのです。それが現在、およそ250機の飛行機を保有し、社員数約3万5000人を誇る航空会社へと成長しました。今では国内線で年間4000万人、国際線で800万人のお客様にご利用いただいています。

この成長の背景には、昔から受け継がれているANAのチャレンジ精神があります。じつは創業から34年間、ANAは国内線だけの会社でした。当時、国内線のシェアは50%を超えていましたから、無理をして国際線に参入する必要がなかったのです。しかし将来を見据えて、国際線への参入は不可欠だと考えた人たちがいたのですね。彼らの頑張りによって、1986年に初めて東京- グアム線が就航することとなったのです。

国を作る/国を維持する
どちらが難しい?

とはいえ国際線は、17年間ずっと赤字でした。それでも諦めずに続けてきました。現在、国内線の市場では新興航空会社も誕生していて、競争が激化しています。30年前に国際線への参入を決断していなければ、国内線だけでは立ち行かなくなっていたかもしれません。会社経営というものは、毎年利益を出す一方で、未来を見通してチャレンジしていくこともとても大事なのです。

リーダーシップに関しては、『貞観政要』という書物をご紹介しておきましょう。唐の時代の名君太宗と部下とのやり取りを記録したものです。帝王のあるべき姿とは何かが、示唆に富んだ逸話の数々によって記されています。この中に「草創と守成と孰れが難き」という文言があります。会社や国を作るのと、それを維持していくのとではどちらが難しいかという問いかけです。皆さんはどちらが難しいと思いますか?リーダーシップ論は非常に奥が深くて、簡単に答えの出せるものではありません。

未来の地球に残したい
コトバを考えよう!

江戸末期の儒学者・佐藤一斎の著作『言志四録』に「立志の功は、恥を知るを以て要と為す」という言葉があります。志を立てて成功するためには恥をかいて、そこから発奮することが大事なのだという意味です。また、同書には「禍は上より起こる」という箴言もあります。これも現代に通じます。経営トップからの強いプレッシャーによって、社員が不正を働く事件は枚挙にいとまがありません。

このように「コトバ」というものは、長きにわたって意味を持ちます。そこで今日は皆さんにも「記憶に残るコトバ」を考えてほしいと思います。モデルとするのは、古代ギリシャの「デルフォイの神託」の中のコトバです。これを基にして、1000年後の地球に残したい「新・デルフォイの神託」を作ってみて下さい。

最後に私からは「志を持ち、タフに生きよ」というコトバを贈りたいと思います。人生は予想しないことが起きます。そういうときに、けっして打ちひしがれたりしない。強い心を持って生き抜いてください。

ワークショップ【探る】

テーマは「1000年後に残したい「新・デルフォイ」の神託を作りなさい」

講義の前に東進ハイスクール・東進衛星予備校の永瀬昭幸理事長より挨拶。片野坂先生は東大在学時、創業まもない東進で講師を務めていたというエピソードが紹介される。現在の担任助手制度の原点を担った方でもあるのだ。

ワークショップ【練る】

チームに分かれてディスカッション

ワークショップの課題は「1000年後に残したい新・デルフォイの神託を作りなさい」。1000年後の「幼年」「青年」「壮年」「老年」のあるべき姿を考える。6名1チームとなって、まずはじめに各自の考えを予備シートに記入、その後「1000年後」という遠大なテーマを議論し、形に落とし込んでいく。

ワークショップ【話す・発表する】

予選会

チームでまとめた「神託」をワークシートに記入して予選会へ臨む。持ち時間2分という制約の中でいかに聴衆の心に残るキーワードを打ち出すことができるか。身振り手振りを交えながらのプレゼンテーション。発表者も聴く側も真剣そのもの。

ワークショップ【本選】

決勝プレゼン

いよいよ決勝戦。予選を勝ち抜いた6チームが壇上で発表を行う。躍動感あふれるプレゼンで聴衆を引きつけるチーム。シンプルな英単語を連ねて詩的な調和を打ち出すチーム。英語の原文を敢えて日本語に置き換えるチーム。オリジナリティ豊かなプレゼンに片野坂先生の講評にも自然と熱が入る。

ワークショップ【結果】

優勝チーム集合写真

全チームのプレゼン後、片野坂先生が優勝チームを発表。採点基準は「1000年の時間軸を考えているか」「共感を得るコトバであるか」「奇想天外なアイデアがあるか」「詩的な調和がとれているか」の4点。"arrow" "target"という記憶に残るキーワードを生かしたAチームが栄冠に輝いた。

参加した高校生の

神奈川県立 柏陽高校 2年

岡崎 隆之介くん

今日は東大志望の仲間が多かったわけですが、高校時代は誰にも負けなかった分野でも、東大入学後は誰かに負けるかもしれない。打ちひしがれることもあるかもしれない。片野坂先生はそうした先のことを考えて、私たちに「タフに生きよ」というメッセージを送られたのだと受け止めました。「神託」を考えるという課題はとてもユニークで楽しかったです。回答の仕方でその人の価値観が分かるところも面白いと思いました。

神奈川県 私立 聖光学院高校 2年

永田 右京くん

部活で航空機の研究をずっとやっていて、片野坂先生のことも存じ上げていましたので今日の講義に参加できたことにとても感激しています。とくに印象に残った言葉はやはり「チャレンジ」です。ANAの歴史はチャレンジの歴史ということを改めて知ることができました。講義後にANAの搭乗率について質問させて頂いたのですが、真摯にご回答いただき本当に感無量です。

東京都 私立 星美学園高校 3年

松井 美月さん

私は今まで、片野坂先生の仰る「志」というものが明確ではありませんでした。けれども、今日の講義を受講して今の自分が何をすべきかが見えてきたように思います。ワークショップではチームのみんなの意見を聞くことが大いに刺激になりました。まだまだ自分の考えは浅いと痛感させられましたが、気づかされることも多かったです。「神託」を考えていくうえでは、私自身が人生の何に重きを置くかを見つめるいい機会にもなりました。

埼玉県立 所沢北高校 3年

黒川 達生くん

片野坂先生の講義で一番印象に残ったのは、夢を持って挑戦し続けることの大切さです。また、成功していくためには周りの人の真似をしていくのではなく、自分でどんどん新しいことを考えていかなければいけないということも学びました。とりわけ「いつか宇宙へ飛行機を飛ばしたい」という先生の飽くなきチャレンジ精神と実行力に深く感銘を受けました。将来は片野坂先生のような、周りを率先して引っ張っていく経営者になりたいと考えています。