大学受験|地理

名人の授業


気鋭の講師シリーズ 山岡の地理B教室 PART I

<「はじめに」より>

だいたい地理という教科は
暗記モノと誤解されています。

 そのせいか、地理の参考書の多くは「たくさんの情報をコンパクトにまとめる」ことを追求しているようです。
 ただ、地理の学習をスタートさせたばかりの人や、地理は暗記ばかりでどうも苦手だと思い込んでいる人を頭に思い浮かべると、コンパクトすぎる情報は「理解」することが難しいのではないかと思うのです。
 もうわかっている人には役立つのですが、入門書としては不親切です。若葉マークの初心者が、本屋の棚の前でもう挫折しています。

では、どんな本が必要なのでしょうか?

 私の講義を衛星中継で受講している地方の生徒から、次のような手紙をもらいました。
 「(前略)はじめは、板書の内容をノートに取りながら聞いていたのですが、勉強しているうちに、実は先生の話している内容が大切だということに気付きました。それで今は講義ビデオの貸し出しをうけて、もう一度話の内容をメモしながら授業を受けています。」
人はどうしても、眼で見えるもの(=黒板やテキストに書かれていること)だけに注意が向きがちです。たしかに、板書では大切なポイントだけをまとめるように心掛けていますし、テキストを作るときには、どうやって受験生に必要不可欠な語句・図表にしぼろうかと苦労します。
 しかし、ある用語が重要だとわかっても、その用語のもつ由来・意味・背景・問題点…を知らないままでは理解したことになりませんし、記憶に残りにくいのです。ぼんやり地図を眺めるのは楽しいことですが、テーマを意識して地図を「読む」のはまったく違う作業です。統計や資料も、「読み方」を知らなければ単なる数字の羅列にすぎません。
 講義の中で、私は、用語や地名を暗記させようとしているのではなく、その意義を理解させようとしています。図表の「おぼえ方」ではなく、「読み方」を説明しているのです。手紙の生徒は、私の講義を受けるなかで「地理は暗記科目ではない」ことに気付いたわけです。そこで、
 
この本では、講義の内容を
まるごと読んでもらうことにしました。
 
 読むだけでいいのです。はじめて地理を学ぶ人がわからなくなるところや、リクツを知ってほしいところは詳しく話しています。理解の助けになるような余談もそのままです。もちろん出版に際しては、データを刷新し、読んでわかりやすい表現に書き換えるなど、読者の立場にたって大幅な手直しもしました。また、1講ごとに“テキスト”もつけました。その講を読み終わったあとで、まとめや復習に役立ててください。
 なお、このPART Iでは自然地理(地形・気候)を中心に、人口・民族・交通などをまとめました。PARTIIでは人文地理のなかでも産業(農業・工業など)を中心に環境問題なども整理していきます。I・IIあわせて、系統地理の大部分をカバーできるような構成になっています。
さあ、読み始めてください。何かを始める前に「いいわけ」が多いのは何も成し遂げられない人のパターンです。ぐずぐずせずに 、今、始めましょう!

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