大学受験|英語

名人の授業


名人の授業シリーズ 宮崎の今すぐ書ける英作文<自由英作文編>



まずは、英語の「ものの言い方」を知ることから

 外国語でものを言ったり書いたりするとよく間違えますね。文法や構文を間違えます。主語が単数なのに動詞に-sを付けないとか、raiseとriseを取り違えたり、early enoughと書くべきところをenough earlyと書いたり。こういったことは1つ1つ直して、覚えていくしかないでしょうね。

●母語に引きずられる
 これとは別に、発想法に起因する間違いもあります。これは日本人に限らないのですが、外国語でしゃべったり書いたりするとき、母語に引きずられて間違えるのです。例えば「あなたはどう思いますか?」と聞こうとして
  How do you think?
と言ってしまう。「どう」に引きずられてhowが出てくるのです。正しくは
  What do you think?
ですね。考える「方法」を尋ねているのではなく「内容」を尋ねているのですから。

●広島と言えばオタフクソース?
 発想の問題はある主題についてのものの述べ方にも表れてきます。例えば広島出身の学生に「広島市を紹介しなさい。」と言うと「広島と言えば広島カープとお好み焼き、お好み焼きと言えば何と言ってもオタフクソース。」というようなことになりがちなんですが、これは日本人同士ならいいんです。広島がどこにあって、原爆を含めてどのような歴史をたどってきたか、ある程度予備知識を持っていますから、そこを省いてオタフクソースの話をしても。しかし、広島をほとんど知らない人に英語で紹介しなさい、という場合にはこれではまずい。やはり「広島市は日本の西部にある人口百万を超える大都市で…」から始めなければならないと思うんです。

 10年近く、大学と予備校で英語のライティングを教えていて感じるんですが、こうした「ものの言い方」を訓練していない人が多いですね。大学もそれをよくわかっているから、自由英作文を課すことによって「他者に対して意見を言う/ものを説明する」ための考え方のベースができているかどうかを試そうとするのです。

●将来につながる訓練を
 ですから、この本では、日本語のこのフレーズは英語の何に当たるかといった、語句の問題ばかりでなく「考えを述べるための枠組み」「相手に理解できるようなロジック」「英語への発想の転換」ということを重視したいと思います。こうした訓練は残念ながら中学・高校でも、予備校でも、あまり意識的になされていないようです。だからこそ、やったもの勝ちなんです。柔らかい頭でリラックスして読んでください。しかし、大切なことは覚えてください。読み終える頃にはあなたの英語ライティングは質的に変化しているはずです。それが入試だけでなく、大学へ、そしてその先へとつながることを望んでいます。

宮崎 尊

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