中高一貫 ハイステージ英語2

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はじめに

 この本の読者の多くは英語を学び始めて1年ほど経ち、初級から中級へさしかかっていることと思う。どんな外国語の学習でも、最初の段階で強いられることは、その外国語の事実(=表現)を、ある部分、「理屈」(=文法)抜きで頭に入れる作業である。そしてある程度その知識が溜まったところで、今度は「理屈」を学び、それを通して知識を整理し、さらに高みを目指して、足元を踏み固めながら歩みを進めることになる。中2という段階においては、その「理屈」が少し、込み入ってくる。だがその込み入った「理屈」こそがこの先の勉強にとって非常に大切なのだ。助動詞、to 不定詞、動名詞、比較、受動態。本書が扱うこうした重要な文法事項の正確な理解なくして上級への登頂はありえない。込み入った「理屈」を前に、少し英語の勉強に後ろ向きになりがちなこの段階においてこそ、本書が大事にする本質的理解を重視した「理屈」の説明が役に立てれば、と思う。
 英語の勉強というと、定期試験や検定試験などを思い浮かべる人が多かろう。だが、試験とはその理解のための通過点にはなっても、その言語を学ぶ目的にはならない。そういう前提に立って、英語を、試験とは切り離して、どんな外国語を学ぶ時にも通用するような正攻法で学ぼうではないか、というのが本書のとる姿勢である。
 「中高一貫の英語」という英語は何か特別な英語を指すものではない。現実に存在するのはただの「英語」なのである。しかし、やや逆説的ではあるが、6年間という長い時間の中で、定期試験とか受験といった細分化された近視眼的な目的にとらわれずに、1つの外国語として英語に立ち向かわんとする姿勢、そうした姿勢で取り組まれる無色透明の「英語」を「中高一貫の英語」と考えたい。定期試験や受験に出るか出ないか、というようなことは外国語の勉強の本質ではない。本書で学ぶ諸君には、書きたいことが書け、言いたいことが言え、聞きたいことが聞け、読みたいものが読める、そうした骨太の英語力を身につけてもらいたいと思う。本書はそのための参考書と問題集のセットである。

4つの特長
 執筆にあたっては1冊目同様、次の4つのことを大切にした。
 1つ目は、外国語を学ぶうえで幹となる単語力、文法力の両方の習得である。単語ノートでまず必要な単語や表現を覚え、それがその後読み進めていく文法の説明や問題集の問題の中に必ず出てくるようにした。そうして外国語の勉強で大切な「繰り返して学ぶ」機会を本書の中で経験してもらうようにした。
 2つ目は、練習問題の充実である。単語力も文法力も良質な問題による演習が絶対に必要である。別冊の問題集は初級から上級へレベル別に問題を作成し、学んだことが無理なく確認できるようにした。十分に活用して、知識を堅固なものにしてもらいたい。
 3つ目は、英語の実際の用例の充実である。各課には、その課で学ぶ文法事項を含んだ例文が複数挙げられている。これらを覚えるためにCD と例文集を付けた。覚えた英文が何も見なくても口をついて出てくるようになるまで訓練してほしい。さらに例文だけでなく、文法事項を反映することわざや会話表現も音声付きで盛り込んだ。覚えている例文や表現が多いほど強いものはない。頭に叩き込んでほしい。
 4つ目は、本質重視である。日頃、中学生、高校生と接する中で発見する、生徒たちのつまずきやすい事項に紙幅を割くなどして、あくまでも私自身が教室で授業をしているときの実情を最大限に考慮しながら、一言一言、言葉を選んで書いた。
 
 本書が、高い志を持って英語学習に取り組まんとする生徒諸君の、堅実な英語力の養成に役立つことができれば幸いである。

2009 年夏
青柳良太

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