大学受験|古文

FORMULAシリーズ


古典文法 FORMULA 30

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■出題されるものを確実に攻略する
 古典文法になんかあまり時間をかけられない……。これが偽らざる受験生の本音だと思います。けれども志望校に合格した人の体験談を見聞きすると、古典文法の単独問題で失点した人はほとんどいません。文法はやれば必ず得点することができる項目なので、必ず攻略しなければならないのです。
 しかしながら、英語・数学もしくは社会・理科などの学習に追われるみなさんには充分な時間は残されてはいません。古典文法ばかりにたくさんの学習時間を費やすことはできないのです。ここで無駄を省いた効率的な学習法が必要になってきます。
 最近の5年間の入試問題と15年以上前の入試問題を比較していて気づくことがあります。それは、以前出題されていた形式の入試問題と現在の入試問題とでは出題形式が異なってきている、ということです。
 以前の入試の出題例をあげますと、以前は助動詞「べし」に関する入試問題には、推量・意志・可能・命令・適当などといった単なる意味の名称だけを選ばせるものが多く見られました。けれども、最近の入試問題では、文脈と文法を重視しながら、選択肢を導いていったり解釈したりという問題形式に変化してきています。
 つまり文法のテクニックばかりに偏ることなく、しっかりと一文の中での役割をとらえながら解答を導く練習が必要となってきているのです。本書は基本的に文章の中から解答を導く形式を採用していますが、これは最近の入試の設問形式を考慮したためです。
 時間をかけずに古典文法を攻略するためには、カバー率も軽視できません。最近の10年間程の入試において、出題されていない項目やこれからも出題されないと判断した項目は徹底的に本書から除外しました。今回とりあげた項目および設問形式は、これからの入試における古典文法の道標になっていくものであると確信しております。出題されるものを確実に攻略する。これは入試の鉄則であり、本書のコンセプトにもつながっているのです。

■古典文法の上手な学習法
 何度繰り返しても忘れてしまう……。これは古典文法が苦手な人の口ぐせですね。そんな人は次の三つの点に注意すれば、必ずこの負のスパイラルから抜け出すことができるでしょう。

(1)体系を意識しながら学習する
 古典文法を単なる暗記事項と考えないでください。動詞・形容詞・形容動詞などの用言の活用表はそのまま助動詞の活用表につながっていき、助動詞と助詞には密接な相互関係が存在します。「に」や「なり」などの語の識別はいわば、用言と助動詞・助詞の総合問題。現在習得しようとしている項目が文法の総合体系においてどの位置にあるかを常に意識しながら学習してください。

(2)とりあえず全項目を一通りやってみる
 一つ一つの項目を完璧にマスターしたうえで次の項目に進むという真摯な態度は非常に好感がもてますが、完璧に理解しようとするあまり、学習の進度が滞る場合も多々あります。例えば、動詞を完全に理解するためには助動詞の知識が必要になってきますが、助動詞を学ぶのは動詞の後。つまり、動詞の学習だけやっても、動詞が完璧に理解できるわけではなく、そこで停滞してしまうのです。わからなくても、どんどん学習を進めていった結果、後になって理解できることもあります。あまり神経質にならず、とりあえず全項目を一通り学習してから、細部を詰めていきましょう。

(3)「習うより慣れろ」が原則
 知識がなかなか頭に定着しないときは、無理矢理にでも反復して暗記しようとしがちですが、そういう勉強法はあまり愉快ではありませんね。ゲーム感覚でどんどん問題を解いていく方が、自然と知識が頭に入ってくるものです。最後の小倉百人一首の和歌で文法を次々とチェックしていくのも大変有効な方法です。ぜひ本書で、古典文法を楽しくマスターしてください。

富井健二

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