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TOEIC(R)テストはじめから英単語2400

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 本書は編者厳選の基本語句(minimum essentials)と「TOEICで取り上げられる語句・日常の英語世界でよく用いられる語句」を効率よく組み合わせて構成されている。英語での日常生活で使用頻度のあまりない語句は、仮に過去問題に登場したものでも必ずしも本書では取り上げていない。今後そうした語句に出会う確率が高いとは思われないからである。

 試みに「注意語義40」を見ていただきたい。利用者の注意を喚起するために中学校で「教わった」語の別の側面を示してみた。「単語の意味は1つとは限らない」ことに注意したい。本書では中学既習単語(870語)は原則として見出し語にしていないが、積み上げて単語力を強化する必要があるところでは適宜触れている。大学生や社会人はもちろん、高校生でも無理なく学習できる内容となっている。
 本書が「1単語1訳語」ではなく、複数の訳語を入れているのも語彙力の拡大・発展向上を目指すからである。複数の訳語を示すことでその語の語義の輪郭がよりはっきりと把握できると考えている。

 本書では、見出し語に句例・文例が必ずついている。単語を単独でバラバラに覚える方法では、「使えない」記憶の山を作ってしまう危険性が大である。句例・文例は、TOEICに出やすい文と典型的な語句の組み合わせ(typical cluster)から構成されている。聞き取り能力と表現能力を高めるためである。

 英語に a dense [thick] fog [forest](濃霧[密林])という表現がある。しかし、「濃い髪」を言うなら thick hair は自然な表現だが、× dense hair は英語を母語とする人なら、使わない。となると、dense, thick を「濃い」「密集した」といった訳語で記憶するだけでは不十分である。

 また、「天候が許せば、食事は外のテラスでお出しします」のつもりで、
× Meals will be served outside on the terrace, weather allowing.
のような「許されない」表現を用いてしまうのも、allow, permitを「許す」と1語1訳で記憶するやり方と無関係ではない。
 I sat outside as often as the weather allowed.
の方は英語として全く問題がないのだから、一筋縄ではいかず、学習者泣かせである。

 さらに、× a new beautiful dress, × a red old suit のような慣用に合わない組み合わせを作ってしまうのも、一つ一つ単語をバラバラに記憶する学習法と大いに関係がある。

 こうした失敗に陥らない最も効果的な方法は、見出し語とその訳語にとどまらず句例・文例をつけて「自然な表現単位」(collocation)の形で蓄積するのが一番いいのである。バラバラに覚えた単語に「文法規則を適用」して、文や発話として瞬時に組み立てるのでは骨が折れすぎるのである。

見出し語の他に派生語、新中学単語、カタカナ語など本書で取り上げた単語の総数は6千語程である。これは一見易しそうに見える本書が、実は日常の英語利用単語の80%超をカバーしていることを意味している。侮ってはいけない分量なのである。

高橋 潔

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