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語学


Coreシリーズ 英文法の核

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英語学習と「文法の核」
 中学段階以上の英語学習においては文法の習得が不可欠です。文法は、いわゆる4技能「読む」「書く」「聴く」「話す」すべてに共通の基盤となるもので、基本的な文法の理解なしに4技能の力を向上させることはできません。
 「文法の核」とは、英語学習における文法の根本であり、極言すると「語(あるいは情報)の配列ルール」と「単語の使い方(品詞の理解を含む)」です。

【1】語(あるいは情報)の配列ルール
 いくら単語を知っていても、それらをどのように配列するかがわからなければ、意味のある文を作ることはできません。また、配列ルールを知らなければ、文の意味を素早く正確に理解することもできません。ルールを知らずに単語を順に訳していくだけだと、意味不明になってしまうのです。そのためにも、「情報の流れ方」のルールを知り、多くの例文に接して体得することが大切なのです。

【2】単語の使い方、ルールの理解
 配列ルールを体得すると同時に、基本的な単語の使い方やルールを品詞の概念に基づき理解する必要があります。たとえば、「犬が好き」と言いたい場合に“I like dog.”と言うととんでもないことになるな、(⇒「犬肉が好き」)と直感的にわかるようになるということです。(“I like dogs.”が自然な文です⇒ 6 章)
 これは文法がわからずに単語だけ並べても意味は通じるだろうという暴論に対する反例となる例文ですね。

 英語を使うための土台は、「文法の核」を理解した上で、多くの例文にふれて基本パターンを体得していく過程で形成されます。「文法のための文法」を暗記するのではなく、説明を読んで理解することによって「使える文法」を身につけ、英語の運用力を高めていきましょう。

《なか身をちょっとだけ紹介》
 第2版より新しく掲載した2つのコラムをご紹介いたします。

~COLUMN~
【1】シャドーイングの効用(p.258より)

 シャドーイングとは、耳から聞こえてくる音声に遅れないようにできるだけ即座に声を出したり繰り返したりしながらついていくという作業です。最終段階の音読と共通する効用は、どちらも内的反復(記憶に必要)を声に出して行うことで語彙や文法項目を記憶しやすくさせることです。音読とシャドーイングを両方行うと、語彙のかたまりや文構造・文法を瞬時に認識できるようになります。もちろん、理解した文法を内在化させるのが目的なので、本書による文法理解をベースにした上で行いましょう。ただ声を出していればよいというわけではありません。
 一方、異なる効用もあります。音読は前に述べたように最終的に読解力向上につながるものですが、シャドーイングならではの効用は、音声知覚の自動化によりリスニング力が向上することです。音読でもリスニング力は向上しますが、あくまでも「発音できない音は知覚できない」という段階の話です。それ以上の段階におけるリスニング力を鍛える最高の手段がシャドーイングなのです。シャドーイングは自分では速度調整できませんから、かなりストレスのかかる作業となります。比較的易しい文から始める方が良いでしょう。(本書の基本例文を出発点とすればよいと思います。)
 注意として、音読・シャドーイングは30 分も続けて行うものではありません。脳が活性化しなくなるからです。脳の働きから考えると10 分から15 分を1回として、時間をおいて繰り返す方が有効です。
 ⇒参考文献:『シャドーイング・音読と英語コミュニケーションの科学』(門田修平著、コスモピア)

【2】中間話法(描出話法)について(p.324より)
 本書では話法を扱っていませんが、その理由は直接話法(He said, “I am hungry.” のような形)と間接話法(He said that he was hungry. のような形)の書きかえには何の意味もなく、最近の入試で問われることもほぼなくなったからです。
 しかし物語の読解において中間話法を含む文章が出題され、そこが問われるということがあるので、これだけは押さえておきましょう。中間話法とは、引用符なしに登場人物の言葉や考えが地の文で書かれる形です。出来事を客観に記述する間接話法では読者の視点は外部に置かれますが、中間話法で登場人物の思いが地の文で書かれると読者の視点は登場人物のものとなり、物語内部にいるような臨場感を与えるという効果があります。(だから描出話法ともいうのです。)物語を読んでいて、書き手のものとは思えない視点で書かれた地の文を見たら、中間話法かな、と考えてみましょう。そうであれば直接話法のように訳すのが良いでしょう。東大では頻出です。
 たとえば、可愛い同級生の女の子が前を歩いている。男の子は彼女と話す場面を夢想している。その後が下線部訳で、
 Why didn’t she turn and smile and call to him, saying, “Don’t you like my company?” (以下省略)
 ここで「なぜ彼女は振り向いて彼によびかけなかったのか」と筆者が読者に疑問を提示するわけないですよね。ここでは男の子の内的独白が地の文で書かれていると見破り、彼の視点から直接話法で訳します。(解答例:「振り向いて、にこりと微笑んで、「一緒に行かない?」とよびかけてくれないかなあ」と彼は思った。)

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