大学受験|日本史

レベル別問題集


日本史〈記述式〉レベル別問題集3 上級編

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 皆さんは,日本史の「記述式問題」にどのような印象を持っていますか。十分な知識がなくても選んだ解答がたまたま正解になり得る選択式問題と比べて,記述式問題は「不正確な記憶だと対応できない」と考えているかもしれません。事実,求められている用語や情報を記憶していなければ,記述式問題で得点できる可能性はきわめて低く,一般的に選択式問題よりも得点差が開きやすいといわれています。つまり,記述式問題の攻略が合否のカギを握るといえるのです。
 記述式問題は「記述問題」と「論述問題」に分かれます。単純に歴史用語を求めるだけの記述問題であれば,教科書の精読などで対応できるかもしれません。しかし,論述問題はどうでしょうか。対策方法がわからなかったり,大学入試の過去問が難しかったりして,どのように取り組んでよいかわからないのが実情ではないでしょうか。ひょっとしたら,論述問題を避けるために志望校変更まで考える人もいるかもしれません。
 でも,もう大丈夫。論述問題に対する悩みは,次の3つの力を培うことで解決します。


【論述問題に必要な3つの力】
❶知識力
 通史の学習を終わらせ,答案を組み立てられるだけの日本史の知識を身につける。
❷解釈力
 設問文の要求・条件を的確に読み取る力を培う。
❸論述力
 抽出した答案のポイントを文章化できる力を培う。


 本シリーズでは,上記3つの力を段階的に身につけられるよう,次のような工夫をこらしました。

(ⅰ)丁寧な解説:要求・条件を解説で再確認し,文章化のためのポイントにできるだけ言及する。
(ⅱ)採点基準の掲載:明確な採点基準を用意し,答案がどの程度できているのか読者自身が採点できるようにする。
(ⅲ)段階的な学習:レベルに応じて,問題の制限字数や出題範囲・分野を増やしていく。

 本書(レベル3)は,レベル2までで培った力を土台として,「あらゆる記述式問題に対応できるようになる」ことを目的としています。そのため,難関大の過去問を中心に,400字までの論述問題を取り上げ,さまざまな切り口の問題に取り組めるように構成しました。本書で応用力を完成させ,難関大合格をめざしましょう。
 少々個人的な話をすれば,私が受験生を指導したり模試や入試問題の解答作成に携わったりし始めた20 代前半は,「書けない」苦労の連続でした。だからこそ,受験生の苦しみは十分理解できます。「書けない」と悩んでいる受験生をどうにかしたい,この想いが制作の原動力となっています。しかし,論述問題が解答者の主観を求めないように,問題や解答作成もまた客観的視点が求められます。論述問題への対策に悩む受験生を救いたい気持ちが強いとはいえ,もし私一人で制作すれば,独りよがりのものになってしまうことが懸念されました。
 そこで,一緒に業務に取り組んできた髙嶋斉先生にご協力いただきました。髙嶋先生の手によって作成された採点基準や添削例は,本書の大きな特長であり,多くの読者の学力を伸ばす礎となるでしょう。また,佐藤一郎先生や大廣学先生といった日本史の諸先生,東進ブックスの中島亜佐子さん,はしプロの大橋直文さんにも力をお借りしました。
 はじめは,書けない苦痛から諦めたくなることもあるかもしれません。しかし,論述問題への対策は,記述問題・文章選択問題など,あらゆる形式の問題への対策を兼ねるものでもあります。まずは本書のすべてを終了させるという強い意志を持ち,さらに上級編への取り組みを視野に入れてもらえれば幸いです。

2019年3月
井之上勇

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