大学受験|古文

共通テスト対策


東進 共通テスト実戦問題集 国語〔古文〕

◆入試問題の徹底的な分析
 本書は、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)と同じ形式・レベルのオリジナル問題を5回分収録した共通テスト「古文」対策の問題集である。制作にあたっては、新「学習指導要領(2018年告示、2022年より開始)」や、試行調査以前の段階から「独立行政法人 大学入試センター」が発表したおそらく全ての資料を収集し、それらを徹底的に分析した。その結果に基づいて、本書では現状で考えうる最も可能性の高い出題形式の問題を掲載している。
 さらに、本書は単なる「受験対策用の問題集」ではなく、出題者が受験生に求めている資質・能力を意識して作られている。出題者はいったい何を求め、どのような苦労のもとに作題しているのか。それを受験生のみなさんには十分に理解してほしい。

◆受験生と出題者の認識のズレ
 みなさんは、入試問題の出題者の存在を意識したことはあるだろうか。よく、「古典文法はマスターしたし、単語集一冊分の古文単語も全部覚えた。それなのに、何で入試問題は半分もわからないんだろう」と嘆く受験生がいる。その理由は、受験生と出題者との間に入試問題に対する認識のズレがあるからだ。
 出題者が考える「古文」とは、「文献学の基礎」としての知識・技能であり、入試ではそれを実際に活用できる資質があるかどうかが問われる。そのため、単語や文法の単純な丸暗記では通用しない。それにもかかわらず、受験生の多くは単語や文法の丸暗記で古文を勉強した気になってしまい、結果的に「たくさん古文を勉強したのに、全然得点できない」という事態に陥ってしまう。出題者の求める知識・技能とは、「平安時代の基本的な語彙・語法の理解」である。旧センター試験や共通テストでは、平安時代に書かれた文章から近代普通文(文語文)の評論まで時代もジャンルも様々な問題文が掲載されているが、平安中期の文法体系と基本的な語彙の知識があれば近世や近代の文章も解釈できる。
 例えば、単語の意味は歴史的に変化するだけでなく、同時代であっても状況によって変わってくる。やみくもに丸暗記するのではなく、意味の概念を中心に覚えてみよう。一般的に大学受験に必要な古文単語は300数十語程度なので、1日10語ずつ覚えたら二ヶ月もかからない。文法は、助詞や助動詞が現代語と一致しないので、その構造と機能の理解が鍵となる。
 また、古文は接続詞の少なさや主語のわかりにくさから文章が読みづらく非論理的な表現形式に感じてしまうが、これらも接続助詞の機能を意識したり、連体修飾節と体言の位置関係を学んでしまえば問題ない。古文の構造を理解すれば、非論理的な表現形式などと感じることもなくなるだろう。

◆古文の得点力を伸ばすために
 本書は、古文の入試問題を解くために必要な知識や技能を習得できるよう、問題がそっくりそのままテキストや参考書の機能を果たすように作られてある。ただ採点結果を眺めて終わるのではなく、必ず解説文を熟読してほしい。
世の中には、「選択肢群」の比較や「出題者の意図の探し方」などのいわゆるテクニックのようなものばかりを解説している問題集も存在するが、これでは本質的な実力はつかない。
 本書は、出題者の視点から作成している。出題者の視点がつかめた瞬間に、その受験生はおそらく最強の受験生となることだろう。

2021年9月
栗原 隆

閉じる